お金にならないクラシック業界!
「は?クラシックなんて儲からないよ!」
クラシックの生演奏サービスを始めてから、業界関係者になんども言われたインパクトある発言。
わたしがクラシック畑出身ではないからこそ、親切心で忠告してくれているのは間違いありません。
ところでクラシックの器楽演奏家は、なかなか辛い職業です。
ヴァイオリンやピアノだと、演奏を始めたのが3才から、という方がザラです。
にもかかわらず、小中高と部活や先生について真面目に習う→さらに難関を突破して音大でアカデミックに学習→プロになれるかは分からない!という、ある意味、プロスポーツより狭き門と言えます。
そんな業界で生き残っている演奏家さんにとって、培った技量や費やした時間に対して、収入がままならない…というこの感覚は、まず事実でしょう。
一方で、ビジネス目線だとどうなのでしょうか?
演奏/コンサート市場はどれだけあるの??
まずは、市場規模を分析してみましょう。
総務省の社会生活基本調査(H28)(※1)を使います。
この調査では、10歳以上の約1億1,300万人が調査対象(=母数)です。(1%以下の誤差は適当に丸めてあります)
さて、関連しそうなのは、以下3カテゴリです。
「音楽会などによるクラシック音楽鑑賞」
「音楽会などによるポピュラー音楽・歌謡曲鑑賞」
「楽器の演奏」
もっとも演奏会の観客に近いと思われる「音楽会などによるクラシック音楽鑑賞」を抜粋しますと、
男性は7.3%、女性は12.9%(各全体比)です。
母数から算出すると、全体の10.2%で、1,598万人…(a)
これってスポーツでいうと、水泳やハイキングとほぼ同等です!
ゴルフ、野球、サッカーを軽く上回ります。
もう一度、書きますが「音楽会などによるクラシック音楽鑑賞」だけですよ!
「演奏」も「クラシック以外」も含めないで、これだけのユーザーがいるのです。
次に、市場規模を金額で見てみましょう。
イープラスなどを見てみると、チケット1万円超もありますが、S席 7,500円くらいが多いですね。
では、(a)が1度だけ7,000円のチケットを購入したとしましょう。
1,598万人×7,000円チケット = 8,312億円 …(b)
この金額を他と比較してみると(※2)、このあたりと同額です。
語学ビジネス8,272億円
コールセンター8,196億円
ちなみに、以下を上回ります!
缶コーヒー 7,334億円
スポーツ教室 6,510億円
レンタカー 6,480億円
家庭用ゲーム 4,343億円
保育園・託児所 5,240億円
パブリッククラウド 2,614億円
通信教育 2,813億円
Jリーグ 1,106億円
あれ?・・・ デカくない?
「クラシック」を「コンサート会場」で「年1回」楽しむだけで、これほどの市場があるのです!
POPSやロックなども含めると想像以上に大きい!
ちなみにですが、先に上げた「音楽会などによるポピュラー音楽・歌謡曲鑑賞」は、1,598万人います。…(c)
クラシック以外にも「生演奏を楽しむユーザー」と範囲を広げた場合、万が一、(a)全員が(c)に包括されているとしても、最小1,598万人。…(d)
(d)は(a)の1.35倍ですから、市場規模は単純計算で 1兆1,191億円となります。
デカい!
まとめ
クラシックや他ジャンルの生演奏の市場を考えると、5,000億円~1兆円の潜在規模があることが分かっていただけたと思います。
では、演奏する側(プレイヤー)はどれほどいるのか?
これを次回に考えてみます。
あ、その前に「ところで、アンタ、誰?」に答えないといけません。
やっぱり次回は、自己紹介します。
(※1)総務省の社会生活基本調査(H28 http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html)
対象:10歳以上 1億1,330万人(男 6,167万人、 女 6,508万人)
(※2)市場規模マップ 参考 https://stat.visualizing.info/msm