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ネガティブな声ばかり共有する組織に未来はあるのか?

「福祉増進と職員負担軽減との両立をめざす」というテーマで発信している、みきやと申します。関西在住の地方公務員で、2027年4月の統一地方選で地元の市会議員になり、地場産業を取り戻すことをめざしています。

最近も経験したケースなのですが、行政という組織はどうしてこれほどまでに自分たちを貶めたいのかと残念な気持ちになったことを書きたいと思います。ネガティブなことばかり書いてもいけないので最後はポジティブな締め方をしていますが、経過も踏まえてぜひお読みください。

テーマは「市民の声」についてです。


「市民の声」について

「市民の声」に公務員が抱くイメージ

役所には「市民の声」と呼ばれる、市民の皆さまからご意見をいただく広聴施策が存在しています。役所も民主的であるべきという考えのもと、戦後に広聴部門が設置された歴史を持つ自治体が多いようです。

昔は投書や窓口での申し出しか受け付ける方法がありませんでしたが、今では電話やインターネットを通じて意見を届けることができるようになりました。特に最近ではスマートフォンからも簡単に投稿できるため、長文ものも寄せられやすくなっています。

こういった流れで変化しつつある「市民の声」ですが、役所で働く公務員にとって、決して良いイメージのものではありません。その理由は、寄せられる声の多くが批判的であり、匿名性も相まって非常に攻撃的な内容になることが多いからです。

先日届いた「市民の声」

先日、私たちの職場にも「市民の声」に関するお知らせが届きました。その内容は、「オンラインで申請できる手続きを増やしてほしい」というものです。この声のあて先は私の職場ではなく、他の部署でした。

以前から私は「あと数年もすれば『なんでオンラインで手続きができないんだ!』と言われる時代が来ますよ」と職場で話していましたが、世の中の変化は私が想像していた以上に早かったようです。

このご意見を受け取った同僚の中には、「自分たちの職場ではオンライン申請に対応しているので良かった」と胸をなでおろした人もいたことでしょう。しかし、私が伝えたいのは「ホッとした」ということではありません。

いつまでネガティブな声だけ共有するのか

ポジティブな声はどこへ?

私が疑問に思うのは、なぜ広聴担当はクレームめいた意見しか共有しないのか、という点です。

実は私はここ数か月、「オンライン予約ができて便利だった」といったポジティブなご意見を寄せてもらうための工夫というかドブ板営業をしてきました。その結果、2か月ほどの間に5~6件の前向きなコメントをいただくことができました。しかし、こうした意見は他の部署に一切共有されていません。

ネガティブな意見ばかりを共有することのリスク

このような「自虐的」ともいえる広聴施策には、大きく2つの問題があると考えています。

  • ネガティブな声ばかりが届くことで、職員のやる気を失わせてしまう

  • 職員の市民に対するイメージが悪くなる

特に2つ目の問題は放置すると職員と市民の関係が敵対的になりかねません。「どうせ私たちに対して悪いイメージをもっているんでしょ」と思いながら仕事をするなんて、普通のサービス業ではありえない世界です。そんな思いで窓口対応をする職員が仮にいたとして、市民の方に喜んでもらえる対応ができるとは全く思えません。

私が勤務する職場に来られる市民の方々は非常にフレンドリーで、職員のことをとても信頼してくださっています。こういった美しい部分をあえて壊しにかかろうとしている広聴部門の姿勢を見ると、一体何のための広聴なのだろうと思ってしまった出来事でした。

広聴のあり方を見直そう

「市民の声」は、市民の皆さまからの貴重なご意見であり、行政をより良くするための重要なツールです。しかし、その運用方法によっては職員の士気を低下させ、市民との関係性を悪化させる危険性もはらんでいます。

どうせ共有するならポジティブな声をもっと共有しましょう。手前味噌になりますが「オンライン予約が便利だった」という声が何度も上がってきて共有されれば、他の部署でもオンライン予約を採り入れてみようかなと考えることだって十分考えられます。

一方はポジティブな声を聞き、内発的動機づけによって施策を遂行する組織。そしてもう一方はネガティブな声を受け、外発的動機づけによって受け身で施策を遂行する組織。どちらの組織に未来があるのかは火を見るよりも明らかです。

まとめ

以上、最近職場に共有されてきた「市民の声」を受けて思ったことについて書いてみました。

ポジティブな声を共有し、職員が切磋琢磨しながら市民の方に喜んでもらえる施策を遂行していく。これこそが日本全国の役所に設置されている広聴部門がめざすべき仕事のやり方ではないかと思っています。

「いい声も共有してくれ!」と日本各地の役所から「職員の声」あげていきましょう!


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