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今までの公務員、これからの公務員 ~「受け身」の窓口から「攻め」の窓口へ~
「福祉の増進と職員負担の軽減との両立をめざす」が最近のテーマとなっている、みきやと申します。関西在住の地方公務員です。
2024年8月にオンライン予約を導入し、アンケートの回収も終了しました。結果については別の記事でご報告したいと思いますが、オンライン予約という手法が存在しているという認識を定着させることはできたように感じています。
そこで新たなチャレンジとして、この12月に取組を開始したことについて御報告したいと思います。
新たなチャレンジとは
新たなチャレンジの概要
「新たなチャレンジ」というと規模の大きなものに感じてしまいますが、そんな大きな規模のものではありません。年間で多くて100人程度の規模のものです。
具体的にどんなことをするかというと、JR定期券割引の証明書発行で来庁が予想される方々にオンライン予約等をお知らせする案内を先行送付するというもの。
割引を受けるためには役所で証明書を発行してもらう必要があるのですが、有効期間は半年のため、そろそろ誰が来そうかというのは過去の記録で判ります。(個人的にはこの証明発行もオンラインで済ませたいのですが、本庁に確認すると今のところ難しいだろうとのこと)
JR定期券割引については、過去に記事にしています。なんとも変な制度だなと感じています。
新たなチャレンジのねらい
この取組のねらいは3つあります。
オンライン予約そのものの周知
オンライン予約に伴う制約の周知
コンプライアンスの順守
1つめは見てのとおり、オンライン予約をして来てくださいねと周知する案内文をお送りするものです。定期券割引制度の利用者が「そろそろ役所に行かないと」と考え始めるタイミングで、オンライン予約の案内が届くことで、周知・定着を図ろうというものです。
2つめに関しては少し厳しい対応になりますが、「予約なしで来ると対応できないことがあるよ」ということを伝えるというものです。少々マニアックな制度なので職員の中でも対応できる人員には限りがあり、万が一対応可能な職員がいなかったときに備えた予防線です。今後さらなる職員数の減少が避けられない中、今のうちに持続可能な組織運営の準備をしている感じです。
3つめの「コンプライアンス」が何を意味しているかというと、それは証明に必要な書類に関してのルールです。実は証明書の発行に写真が必要なのですが、6か月以内に撮影したものが必要、となっています。
ですが窓口で「写真を再利用してほしい」を言われることも少なくありません(実際に相手の要求に応じているか、ここではぼかしておきますが)。しかしオンライン予約なら写真が必要であることを了解しないと予約ができないように設定できるので、手続の適正化すなわちコンプライアンスの順守につながるということになります。
今までとこれから
この新たなチャレンジへの取組を通して、今までとこれからでどう違うのかを対比しながら考えるようになりました。少し整理します。
今まで
今までは「受け身」の対応でした。窓口を担当する職員は、いつ、誰が、何の手続きに来るのか分からないまま窓口で控えています。そして市民の方が来庁し、用件を聞き取ったときに初めて必要な手続きが判明することになります。
このときにベテラン職員ならある程度その場で捌くことができますが、異動直後や新人のときは何を言っているのかよく分からない、という感じになることもしばしばあります。そうすると窓口で話を受けた職員はとりあえずベテラン職員のところに行き、どういう対応をすればいいのか教わる、という流れに。
この間市民は待たされっぱなしということに。これだと市民、新人職員、ベテラン職員全員の時間を使うことになってしまいます。こんな感じで今までの役所の受け身スタイルでは、非常に多くの時間を失うことになっていました。
そこから担当者等による対応がスタートするのですが、この時点で相当な時間が経過していると、来庁者も場合によってはイライラし始めます。そんなときに限って書類に不備があったりするとすごく気をつかうことになります。先ほどの例で写真の有効期限が過ぎていた場合、「長時間待たせて相手もイライラしているから、、、」という感じにならない保証はありません。
これから
これからは事前にオンライン予約が必要とすることで、オンライン予約の際には必要書類に関する同意事項にきちんと同意していただく、「攻め」の姿勢で対応することができるようになります。別に本当に市民の方を攻めるわけではありませんが。
その代わり、予約して来ていただいた方には担当者が責任を持って対応する。市民の方からすれば予約して行くので待たされることが無く、用件が最初からわかっている担当者が直接対応してくれる。その結果市民の方にとって満足度が向上する。そうなると次も予約して来るようにしよう、という善循環になることも期待できます。
ちなみに2024年8月にオンライン予約制を導入した際、「私はスマホを持っていない」というクレームは0件でした。オンライン予約が面倒くさいというクレームがあるにはありましたが、こういったデータがあるおかげで、今回のチャレンジにも取り掛かりやすかったです。
これからの公務員は「受け身」の姿勢から「攻め」の姿勢へ。そのためには新しいデジタルツールを最大限活用すると同時に、手紙というアナログツールを要所で使っていくという工夫が求められるのかなと思っています。