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【市会議員への道】保育施設の充実の前に守りを固めよう
長野市で住民からの訴えがもとで公園が廃止に至ったという、センセーショナルなニュースがあったことを記憶している方も多いと思います。
実は最近、私が関わっている分野で規模は小さいものの、似たような事例に遭遇しました。事例を紹介させていただくとともに対応策を考えたいと思います。
事例の紹介
私のところに一本の電話がかかってきました。電話の主は以前から地域で子育て中のお母さんが集まれる場づくりに奮闘されている、志の高い方です。
その方は最近も認可外の保育施設を開設されました。個人で所有している空き家を再利用したのかと思いきや、家賃を払ってまで開設されています。認知度が高まるまでは固定経費の支出のほうが大きいだろうなと心配していました。
その方から「認可外の保育施設を閉園する」との連絡が。開設してから1年も経っていない状況です。経営難から閉園を決断されたのかと思いきや、閉園を決めたきっかけは「隣家からの苦情」とのことでした。
苦情の内容
どのような苦情だったかというと、騒音に対する苦情とのこと。
苦情を入れてきた方というのは昼間は家で休んでいることが多いのだとか。属性を聞くと高齢男性とのこと。長野市の事例と同じやん。
ちなみにこの認可外施設ですが、認可保育施設のすぐそばにあるため、認可保育施設でこども達が遊ぶ声がもとから周辺に聞こえていました。
深夜に騒ぐこともありませんし、昼間は近くの認可保育施設から聞こえてくるこどもたちの声に紛れているからいいのでは、と思うのですが、がまんできなかったようです。
事例を受けて考えたこと
この事例を受けて、私が考えたことは3つです。
誰が年金を払ってるねん
そんなことするから孤立化するのでは
これ、認可保育施設に矛先が向いたらヤバい
①誰が年金を払ってるねん
ひとつ目の「誰が年金を払ってるねん」について。年金を払っているのは現役世代。お金を払って認可外保育施設にお子さんを預けてまで働きに行き、得られたお給料から年金保険料が支払われているわけです。
認可外保育施設を廃止に追い込むということは、そこを利用している保護者の働く機会を奪うことになります。自らに支払われている年金がどこから来ているのか、年金受給者の方にもっと認識してもらう機会を増やすことが必要かなと思いました。
②そんなことするから孤立化するのでは
それまでは空き家だった場所に人が来てくれていたわけです。それを追い出したということは、家主さんからすれば今後借りたいという人に対して隣から苦情が出る可能性のある物件だと伝えないといけません。
家を借りるとなった場合、隣にどんな人が住んでいるかは誰もが気になるところ。隣から苦情が来る可能性があると最初に言われて、そこに住みたいかと言われたら、そうはいかないですよね。貸す側にとって迷惑な話です。
こういう話は地域の人も結構知っているので、苦情を言ってきた人の周りから少しずつ人が出ていくという流れになることも十分考えられます。
そうすると孤立化が進み、死後何日も経って発見されたというケースに発展することも十分ありうる話です。
③これ、認可保育施設に矛先が向いたらヤバい
追い出した側からすれば成功です。自分の要求が通ったわけですから。
この成功体験が次への動きにつながらないか懸念しています。この場所は認可保育施設が近くにあるため、今度はそこへの苦情に向かう可能性もゼロではありません。
保育施設はけっこう近隣に気を遣っています。こどもたちの遊ぶ声もそうですが、しょっちゅう発生している苦情は送迎時の駐輪です。私も過去に駐輪に関して近隣ともめているケースに遭遇したことがあります。いい歳した大人が、こどもたちの目の前で大声でケンカする様はなかなかの地獄絵図でした、、、。
ひょっとしたらすでに苦情を入れてきているのかもしれません。認可保育施設がすぐに廃止になることは考えにくいですが、預けている保護者の側からすると、近くにそんなややこしい住民がいたらちょっと心配ですよね。
保育施設を守るには
以前にも書いたのですが、役所には多くのクレームが「市民の声」という形で寄せられます。表向き中立的な仕組みですが、「市民の声=クレーム」という認識の公務員は多いです。
クレームの入れ方にも上手な方法があり、過去に指南する記事を書きましたが、
この記事の最後に「称賛しよう」という話を載せています。
「保育所があって助かります。これからも子育て環境の充実をがんばってほしいです。」
というコメントが1件寄せられるだけで、公務員にとってはクレームの5件や10件よりもはるかに励みになります。近隣からのクレームにも対抗していくことができます。
「市民の声」に称賛が寄せられる文化を作っていく。それが職員の励みになり、政策がよりよい方向に進んでいく。「福祉の増進と職員負担の軽減を両立する」という私の方向性にマッチした方策です。
議員になってそんな活動を展開していきたいと考えています。