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あの時に閉店を防げたなら

なんで自分は今の仕事をしてるんだろう?と思うことが時々あります。ネガティブな意味ではなく、どういう価値観で今の仕事、職能を選んだっけという感じ。

広告を作ったり、工事現場で使う足場のマーケティングをしたり、ホテルや旅館に来てくださる人を増やす、もっと好きになってもらうには?と考えたり。業種は違えど、いわゆる販促畑を歩んできたわけですが、上記のTwitterでのやりとりで思い出したことがありました。

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私が広告の制作会社に入る前に大阪のとある小さなデザイン事務所で働いていました。飲食店や美容室、歯科医院や町の病院のグラフィック・Webをデザインする会社です。


当時、仕事柄かさまざま飲食店に足を運んでいたのですが、私が住んでいた兵庫県・宝塚の家の近くで家族経営のフレンチレストランがありました。最初は別のエリアでされていたそうですが、引っ越してリニューアルオープンをしたとのこと。


お父さんがシェフ、元気なお母さんと気の利く娘さんがサービス担当。カウンターとテーブル席が5~6席ほどある小さなお店でした。3種類くらいのコース料理が基本なのですが、そこで出てくるサラダが感動的な美味しさでした。


「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日いや、この味がいいねと思ったのは私でしたが、その日が私のサラダ記念日になりました。


さまざまな新鮮な野菜が使われており、満遍なく混ぜられているわけではなくエリアごとに分けられています。食べる度に味が変わるようになっていて、最後まで楽しさが消えない素晴らしい一品でした。


前菜のサラダが特に印象的でしたが、コース全体が本当に美味しかった。シェフのお人柄、ご家族の雰囲気もよく「良いお店だな〜」と大満足で帰路につきました。

翌日、感動のあまり手紙を送りました。内容は詳しくは覚えていませんが感動をどうしても伝えたかったんだと思います。

それからも、自分の中の少し特別な日にそのレストランを利用しました。ランチに一人で行ったり、恋人とディナーを楽しんだり。人に紹介する時も


「こんな美味しいサラダ食べたことないから絶対行ってみて!」


と相手がちょっと引くぐらいに推していました。


ところが……初めて行った日から2年後くらいにお店が閉店しました。


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飲食店経営は難易度が高く、3年以内の廃業率は70%、5年で80%以上といわれています。それは分かる。街を見渡しても閉開店は繰り返されて、「あそこ前は何の店やっけ?」みたいなことはザラにあります。

……でもあのお店が?

絶品のサラダが食べられなくなることより、あの家族のことが気になりました。私は今、宿泊業の現場で働いているのでお店を新しく作る時のことをある程度イメージできます。

お父さんとお母さんと、娘さんの3人で色々話し合って新天地でのリニューアルオープンまで漕ぎ着けたんだよなきっと…。そう考えると今でも不甲斐なくなります。

なんとなくデザイン事務所で働いていましたが、もし、自分にそのお店の魅力を人に伝える力があれば。もし経営面でサポートすることができたら…という気持ちが強くなり、「自分の周りの人が困った時にちゃんと役立てる人になりたい」と思うようになりました。

商売に販促は必要だろうマーケティングは役立つだろうと当時、22歳そこそこの私は考えるようになり、その後のキャリアを選んできました。


「田中さんって業界バラバラですよね」


と時々言われることがあります。でも私の中で行っていることは一緒なんですよね。自分が良いと思ったものを、人を、サービスを必要な人に届けたい。その結果として、関わる人がより長く経営を続けたり、より豊かな生活ができる。そこを目標にしています。

先日、同じ業界であるホテルの方からステルスメンションをいただきました。

Aに関しては(某)田中さんや、(某)金井塚さん、(某)大丸さんに是非お願いしたい所存だ。

でもみんなホテル業界。自社の採用にも苦労してるだろうから厳しいだろうな…あとPR記事書いてる所見たことない。

そもそも、どんな人材を求めているか等、普通のことを普通にちゃんとやる所からやらんとあかんねやろうけどね。

どーしましょうね。

「リファラルの枠をもう少し広げたい」より引用

こんな感じで運営や経営に困っている人がいたら、手伝いたくなる。(実際に上記のホテルでお手伝いすることになりました!)

きっとあの時のレストランの出来事がそうさせている。あの時の悲しさや虚しさはもう経験したくない。

まだまだ、学ぶべきことも多いし、どのように貢献できるか分からない場合もある。でも、今まで得てきた自身の知見は使いたい。それがどれだけ微力でも。


あの時に閉店を防げたなら。
今でもずっと同じ想いです。だから、私の周りのナイスな人には頼まれなくても応援したい。という気持ち



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