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今年もありがとうございました!大晦日にやることリストが半分も残っている魔術師は、残り7時間でどうする?『魔法のカクテル』児童書紹介⑬

2024年があっという間に終わろうとしています。
私自身の今年1年を振り返ると、本当にあっという間だったなと。
10月末からはnoteの更新を始めたりと、激動の一年であり、転機となった年でもありました。

年末は、大掃除をして、温泉に行って心身ともに穢れを落とし、家族でコストコで爆買いをし、、、
やり残したことはないかなと自己満ですが思っています。
(大掃除は大雑把で大目に見てます笑)

ところがどっこい、2024年の最後に紹介するのは、大晦日に年内のやることリストが半分も残っている魔術師のお話。
ゆっくり過ごせる年末年始に、笑いを届けてくれるオススメの本です。


書籍紹介📝

書名:『魔法のカクテル』
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波書店
対象:一人読み→小学校高学年
   読み聞かせ→小学校低学年
ページ数:318ページ
読了時間:大人で3時間ほど

あらすじ

大晦日の夜、魔術師イルヴィツァーはあせっていた。真夜中までに自然を破壊しなければ、地獄の魔王との契約が果たせないのだ。そこへ魔女が現れて、どんな願いもかなう魔法のカクテルをつくることに。
悪だくみを止めようと、猫のマウリツィオとカラスのヤーコプが大奮闘! たっぷりの遊び心と風刺がきいた長編ファンタジー。

HPの紹介文より(https://www.iwanami.co.jp/book/b480357.html


著者は『モモ』『はてしない物語』を生み出したエンデ!

著者は、児童書好きなら知らない人はいない、ミヒャエル・エンデ
デビュー作の『ジム・ボタンの機関車大旅行』以降、『モモ』や『はてしない物語』などを発表し、現代社会を鋭く見つめて描かれた作品たちは、児童文学の枠を超え、世代や国境を越えて世界中に愛読されています。

『モモ』の時間泥棒の話はNHKの「100分で名著」シリーズでも取り上げられたことがあるので、ご存じの方も多いかと思います。日本語版は350万部を突破する、大ベストセラー。

『はてしない物語』は、映画『ネバーエンディングストーリー』でご存じの方も多いかもしれません。
現実の世界ではいじめられっ子の少年が、不思議な力で本の世界に入り込み、勇士となって幻想の国を滅ぼそうとする敵を探す冒険物語。
読み手である私も、本の中に吸い込まれるような、そんな不思議な感覚のファンタジーです。

エンデはそれぞれの作品にテーマを持たせ、様々な思いを込めてつくり上げています。その思いを知った上で読み解くと、より一層楽しめる世界観です。

ここがポイント

『魔法のカクテル』はとにかく言葉遊びが面白い。

訳者である川西芙沙さんがあとがきで
「西洋の故事来歴をふまえた人名や事柄が多く、言葉遊びや韻文が随所にでてくるこの物語の翻訳は、時に魔法のカクテルを飲みたくなるような作業でした」
と綴っていますが、、、
日本語での言葉遊びがとても楽しいので、元のドイツ語ではどんな感じで表現されていたのか、とても気になりました。

例えば、本書の重要なアイテムであるカクテルは、「ジゴクアクニンジャネンリキュール」。
しりとり言葉のように、言葉が連なっているのです。

その他、言葉遊びはいたるところにちりばめられているので、一人読みをするなら小学校高学年くらいがおすすめですが、読み聞かせで言葉遊びのリズムを楽しむのもとっても楽しそうです。
子供がリズム感を楽しむのはもちろん、大人も読んでいて楽しくなること間違いなしです。

おもしろポイントを抜粋

全編を通して面白いので、抜粋して紹介するのが難しいのですが、、、
まず主人公が〝悪の〟魔術師であるというのも魅力です。
冒頭、魔術師としか書かれていないのですが、読み進めていくうちに、その魔術師が地獄の大王と契約を結んで、世の中に悪を広める仕事(環境を破壊したり、疫病を流行らせたりなど)をしていることが分かります。

ところが、その1年の契約の仕事の内、半分しか終わっておらず、大晦日の17時に代理人からこのままでは契約破棄の旨を告げられる。あたふたする様子が傍から見ていて滑稽です(笑)。

また、目次がとても不思議なことになっています。

この本は大人になってから内容を知らずに初めて読んだのですが、目次の意味が分かるととても面白い。
24時に鐘が鳴る前にすべての悪事をやり遂げなければクビになる。僅か7時間の物語を、時系列に刻一刻と追っていくのですが、こちらまでハラハラドキドキしてしまう。

そんな新たな緊張感と、様々な教訓を(笑)、ぜひお子さんと一緒に楽しんでいただきたいです。
長期休暇の宿題を後回しにするとどんな目に合うのか……、魔術師が身をもって教えてくれています笑。

表紙に表れていますが、猫とカラスも重要な登場人物。
魔法のカクテルづくりを失敗させようと、小さいながらも奮闘する姿がとても可愛らしい反面、勇気を持った行動や二人の友情にいろいろと教えられることがありました。

紹介している時点が既に大晦日ですが、読む分には年明けでも間に合います!(笑)
ぜひ楽しい休み期間にしてください。

それでは皆さん、今年もありがとうございました。
よいお年をお迎えください😊

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