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子供と寝る前に読みたい本『小さな家のローラ』《前編》児童書紹介⑦

今回紹介するのは、何世代にもわたって読み継がれる名作、「小さな家」シリーズです。

私がこのシリーズを知ったのは、母からの紹介でした。
このシリーズは様々な出版社から、様々な翻訳家の手によってシリーズ展開がされていますが、母の年代的に恐らく、恩地三保子さんによって初めて日本語訳された福音館書店のシリーズを読んだのだと思います。

ある時、父方の祖父母の家から、福音館の箱入りの5冊セットが発見されると、「小さい頃、このシリーズをワクワクしながら何度も繰り返し読んだ」と、母は懐かしそうに、そう語っていました。
その姿が印象的で、当時10歳前後だった私もこのシリーズを読み始めたのでした。

箱入りの現物は実家にあり写真が取れなかったが、福音館書店の懐かしい本。
母はこの2冊が特にお気に入りだったよう

「小さな家」シリーズ紹介

『大草原の小さな家』というタイトルでアメリカでテレビドラマ化され、日本でも1970年代から何度も放送されていたため、ご存じの方も多いかもしれません。
著者であるローラ・インガルス・ワイルダー氏の自伝的小説で、アメリカが西部開拓をしていた時代(1870年代)のインガルスー家の5人の物語を、主人公であるローラの成長を中心に描いている素敵な作品です。

1巻『大きな森の小さな家』
2巻『大草原の小さな家』
3巻『プラム・クリークの土手で』
4巻『シルバー・レイクの岸辺で』
5巻『農場の少年』
(※5巻目の『農場の少年』はのちにローラの夫となる少年の物語)

この物語は1870年頃、北アメリカがまだ開けておらず、森や大草原での厳しい開拓生活を描いた物語です。近年、「作品の中に反先住民、反黒人の感情が含まれている」との理由でドラマの再放送がなくなったりと評価が変わってきていますが、一人の少女が大自然の中で元気に生活し、成長していく姿は、読み手に生きる素晴らしさ、日々の生活のいたるところに幸せが転がっていることを、ありありと伝えてくれます。
時代背景は物語が綴られた当時と大きく変わっていますが、それでもこの物語が約一世紀もの間(原初の初版は1932年)、みなに愛され続けていることを考えると、一人の女性の生涯とその家族の物語をいきいきと描いた本シリーズが、いかに素晴らしいかが分かるかと思います。

冒頭でこの物語は様々な訳で出版されているとお伝えしましたが、今回は、最近出版された画家・安野光雅氏による翻訳&挿絵の『小さな家のローラ』をご紹介します。


書籍情報📝

『小さな家のローラ』絵/翻訳:安野光雅(朝日出版社)

書名:『小さな家のローラ』
著者:ローラ・インガルス・ワイルダー
絵/翻訳:安野光雅 
出版社:朝日出版社
対象:読み聞かせ→年長さん/一人読み→小学校中学年
ページ数:272ページ
読了時間:大人で4時間ほど

これは「小さな家」シリーズの第1巻『大きな森の小さな家』を安野光雅氏の素晴らしい絵と翻訳で、新たな息吹を吹き込まれた一冊です。

1巻にはインディアンとの紛争、干ばつや農作物の破壊、病気や死といった話は出てこないため、純粋に少女の目を通じて記憶された素晴らしい日々を追体験することができます。

あらすじ

主人公のローラが5歳から6歳までの1年間の生活を丁寧に描いた作品です。

ローラはお父さん、お母さん、お姉ちゃんのメアリー、妹のキャリーの5人家族。アメリカの中央にあるまだ未開拓の地、ウィスコンシン州の大きな森の中に、小さな丸太小屋を建てて暮らしています。

お父さんは狩りをして食料を得、お母さんはそれらを捌き、加工して暮らしています。長い冬の期間を過ごすために鹿肉を燻製にしたり、チーズやバターをつくったり、魚を塩漬けにしたりと大忙し。
子供たちは、お母さんにつくってもらったトウモロコシをハンカチでつつんだ人形で遊んだり、夜に暖炉の前でお父さんの膝に座って素敵なお話を聞くのが大好きです。

春の喜び、命が芽吹く夏への感謝、冬支度のあれこれ、雪に閉ざされた厳しい冬のしのぎ方など、春夏秋冬、それぞれの季節の移り変わりがとてもたのしく、当時のアメリカの開拓者たちがどのように暮らしていたのかがよく分かります。

次回へ続く

すこし長くなりそうなので、前編・後編に分け、次回はおすすめポイントや読みどころを紹介したいと思います。

後編はこちらをご覧ください。


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