すべてのお母さんに読んでほしい『おかあさんの目』児童書紹介⑤
おすすめ児童書紹介ということで、これまで物語を取り上げてきましたが、今日は絵本を紹介したいと思います。
絵本も、大人のためにあるのではないかと思うほど、心に響くものばかり。特に、絵本は読み聞かせてあげるものばかりなので、読み手である若い親御さん、おじいちゃんおばあちゃんなど読み手の心を温かくしてくれるお話がたくさんあります。
その中でも、私が最初に取り上げたいのが、あまんきみこさんの『おかあさんの目』です。
📝書籍情報
あらすじ
3,4歳の女の子が、お母さんの膝の上でおしゃべりをしていると、ふと、お母さんの目の中に、自分の姿が映っていることに気がつきます。
お母さんの目の中には畳が映り、カーテンが映り、その度に女の子は後ろを振り返って部屋にあるのを確かめます。そうして、お母さんはちょっと女の子を驚かせることをするのです・・・
おすすめポイント
あまんきみこさんといえば、『ちいちゃんのかげおくり』『車のいろは空のいろ』など有名な作品がたくさんあります。
ありがたいことに、仕事であまんさんにもお会いさせていただく機会に恵まれましたが、あまんさんのお人柄は、あまんさんの作品そのもの。あの優しい文章がそのまま人格をもったら、きっとあまんさんみたいなお人柄だろうと思うほど、「この方が、この作品を生み出したのか」ととても感動したことを覚えています。
どの物語も文章が美しい。ほっこり優しく包み込んでくれるような温かさがあるのです。それでいて、あまんさんの物語にはファンタジーの世界も混ざっていて、それがとても綺麗に調和しているのです。
『おかあさんの目』も、そんなあまんさんの世界観で書かれているので、おかあさんの目にはいろいろなものが映ります。ぜひ続きは本を読んでみてください。
ステキな文章
『おかあさんの目』から、ちょっとだけステキな文章を引用させていただきます。
絵本というのは文章が短いからこそ、逆に難しいと思うのです。
「なんとふしぎだったことでしょう」、このひと言を読んで、3歳くらいの女の子の気持ちがスーッと入ってきました。子供たちの素直な気持ちを、文章にしてくれている。
「むちゅうになって、わたしは、おかあさんのひとみをのぞきこみました。顔をよこにしてみたり、ななめにしてみたり、手を振ってみたりしました」
この文章も、小さい子供のしぐさをそのまま表現しています。こういう風に小さい子供の心の感動を綺麗に文章にできるのかと、とても感動しました。
こんな人にオススメ
私はこの本は、子供のためにあるのはもちろんですが、日々忙しく子育てをするお母さんにこそ、読んでほしいと思います。特に、乳幼児に読み聞かせてあげてほしい。
きっと、日々の育児や家事で心身ともに疲れてしまったお母さんの心に、ビー玉のような透き通った純粋さとは何かを教えてくれる気がします。
私はよく、友達の子供の1歳の誕生日祝いなどでプレゼントしています。
出産祝いだと、まだ早すぎる。幼稚園入学だとちょっと遅い。1歳くらいで子育てにも少し落ち着きが出て、いろいろ考えだす余裕が出てくる時くらいのお母さんに読んで癒されてほしい。
絵本で気軽に読めるのも、相手に負担がなくいいなと感じています。
そのほか、おすすめ作品
あまんさんの本で他にオススメはと聞かれると、正直まよってしまいます。全部が全部、面白いので読んでほしい。あまんさんの世界観は大好きです。
ですが、絵本と物語、エッセイそれぞれ一冊ずつ紹介します。
絵本では『きつねのかみさま』。
この本は、幼稚園に上がったくらいのお子さんに読み聞かせるのがお勧めです。少し自我意識が芽生え、ともだちとおもちゃ遊びがうまくできなかったりするような時期に読んであげるとよいかもしれません。
酒井駒子さんのイラストもぜひゆっくり見ていただきたいです。
物語はやっぱり、『車のいろは空のいろ』シリーズがおすすめです。短編集なので、どの巻から読んでも面白いです。私は「星のタクシー」のお話がとても好きです。
このシリーズは、小学校低学年の教科書にも載っているので、お子さんが一人で読むのもおすすめです。
最後に、あまんきみこさんの貴重なエッセイ本も紹介させてください。あまんさんの語り口調そのままで、優しいタッチでご自身について、物語について書かれています。
あの名作はこうして生まれたのか、とその背景も知ることができます。
秋の夜長のおともに、ぜひ読んでみてください。
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