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ムカついてもすぐに忘れる

急ぎじゃない用件はガッツリ後回しにして、今週は月曜朝からシャカリキ翻訳者モードでした。

途中、新しいプロジェクトのための新プラットフォームの使い方のバーチャル・レクチャーを受けて準備を始めてもいますが、月曜夜から今朝までは、煮詰まって、一度カウチで仮眠とって、早朝から仕事する=ガチで寝不足。でもこの忙しさ、めちゃくちゃ気持ちいいです♪

今週のほとんどを費やした仕事は基本的には実務翻訳だったのですが、イベントの企画書orプレゼン用書類という感じで文芸翻訳要素もあり。面白い内容で作業が楽しかったです。

元原稿が全部揃うまでに時間差があったので納期が数回に分かれ、そのおかげで、後からもらった原稿を翻訳している最中に納品済みの原稿にも出てきた文章があると、校正済みの文章が翻訳支援ツールのメモリに入っていて、自分の翻訳の最終形を確認できました。

普段なら他人の校正にはケチをつけないで「そうきたか」と思う程度です。しかし、企画の本質を尊重して、全体の文章の流れを考えながら注意深く訳した部分が書き換えられていたのを見た瞬間に、湯沸かしポットのごとく「きーーーーっ!」と怒りが沸騰。この怒りを鎮めるために、仕事の手を休めて、瞑想アプリでクイック瞑想しちゃいました(笑)。

この書類、敬体で訳すという指示があったのですが、私、内容のキモ部分は意図的に「常体」を使い(スローガン的文章ゆえ常体の方が収まりがいい)、さらに関係者の発言は性別が分かっていてもワザと「無性」な言葉遣いを採用したのです。

ところが、「常体」は「敬体」になり、「無性」は「有性」になっていました……。抑揚のないノッペリした文章でがっかりだし、だいたい、今どきの女子が「〜だわ」「〜よ」なんて、いかにもな女言葉を使う?

作業を続けるうちに、最初に登場した常体→敬体の書き換えが鳴りを潜めたことに気づきました。校正者さん、読み進めるうちに私の意図を理解した模様です。無性→有性の言い回しは残っていましたが、理解してもらえて何より。

ただね、こういうときの私はいじわるばあさんモード全開になるので、件の校正者さんに倣って、前のファイルで常体にした文章を今回のファイルではすべて敬体で訳しました。だって、こっちがいくら文章を考えても校正者の手によるノッペリ化は防ぎようがないので、端っからノッペリでいいでしょ、と。

企画書やプレゼン用書類は読み手に訴えたいことや、売り込みたい能力・技術・アイデア・思いが込められていますよね? だから、もともとの原稿が趣向を凝らしてあって面白い。

そういう文章を見ると、自然に「よっしゃ、翻訳も頑張る!」となっちゃうわけです。自分が読んでみて面白いと思った文章は、その面白さを翻訳で伝えたいと考えるのが普通ですよね?

翻訳会社の担当者さんは忙しいので、元原稿をじっくり読んではいないと思います。それに、企画書やプレゼン書類を一般書類とみなしたら敬体指示は自然なことですし、私も特に指示がなければ敬体での翻訳がデフォルトです。

味気ない取説をわざわざ面白く訳す必要はないでしょう。でも私は無意識に書類が何を目的に書かれたのかを考えて翻訳することに気づきました。だからこそ、校正する翻訳者にも同じ能力と感覚を求めてしまうわけです。

翻訳の技術は本から情報を得たり、学校で習えば身につくでしょうが、自分が翻訳する元原稿が求める言葉や文章に気づくのはほぼ「勘」です。機械翻訳に負けたくなければ、普段からその勘を磨くことをおすすめします! その書類の文章が何を伝えたいのかを全体を俯瞰して理解するだけです。難しいことは何もありませんよ♪

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