魅力ある企画を生み出す「企画発想力」/vol.3
「面白い企画をぽんぽん生み出したい」
そう思ったことはありませんか。
何を隠そう私もその一人。いつもこう思ってます。「万人に支持される、魅力ある企画を継続的に生み出せる力があったらいいのにー」。
でもね、思っているだけではやっぱりダメのようでして。
「生みの苦しみ」とはよく言ったもの。おそらくクリエイティブにおける一番苦しい部分であろう「企画発想」について、ここでまとめてみたいと思います。
「企画発想」とは?
ここでいう「企画発想」は、単なる思いつきや、合コン時に笑いの取れたネタ、などでありません(それも大事ですが笑)。「企画ターゲットに対して、魅力ある企画を形作る」という、「顧客価値」が盛り込まれた「企画を発想する」ところまでを目指します。
「企画発想」方法自体は世の中にたくさん溢れています。企画関連書物もたくさん出ています。ということでいくと「何が正解か」という視点でいけば、みんな正解。
大事なのは、自分にあった方法をみつけることだと思うのです。ここでは、わかりやすく、再現しやすい形を目指して紹介してみます。参考にしていただくとともに、のちのち自分の考えやすいようにアレンジする、というところまでを視野に入れて読んでいただければと思います。
◎今回の内容
・その「企画」の「顧客価値」を考える
・「企画発想」は、まず「情報収集」から
・「企画発想」の早道、「情報収集」を「習慣化」してしまえ!
・「企画発想」するための「必要項目」と「思考ステップ」
・<おまけ> 企画が通らない「原因」を探る
◎今回の対象としている方
・雑誌・WEBなどの編集コンテンツや、広告制作に携わるスタッフ(編集スタッフ・制作スタッフ・企画営業など)で、経験1〜3年くらいの方
・顧客に対してアイディアを求められる企画営業や、商品開発に携わる経験1〜3年くらいの方
・自分の考えを形にするのが苦手な方、「企画」「発想」に対して苦手意識をお持ちの方
・企画立案をするが、一度ではなかなか承認を得られない方
◎今回の位置付け
「企画発想」は、クリエイティブにおけるファーストステップとなりますが、その後の「構成」や「レイアウト」の考え方を知ってからの方がイメージしやすいと思い、vol.3として位置づけました。
「構成」の考え方は『ブレない「構成力」を身につける』としてまとめていますので、こちらを参照ください
レイアウトの考え方は『読み手の理解を導く「レイアウト力」』としてまとめていますので、こちらを参照ください
■その「企画」の「顧客価値」を考える
企画を立てることはとても手間のかかることですが、企画が形づけられたからOK、というものでもありません。大事なのは「相手(読者、カスタマー、クライアントなど)にとって価値があるか」。盛り込んだはずのその「価値」が、ありきたりなもの(競合がすでに行なっている、など)や、もうすでに存在するもの(社内商品に同じものがある、など)だと「価値」は無いに等しいと判断されてしまいます。
また、その「価値」を相手に「伝わる状態」にすることも意識しなければいけません。魅力ある企画は「顧客価値」が明確です。よって企画の良し悪しを判断する基準として、「その企画の顧客価値は何か」と問われた時に「◎◎だ」とシンプルに答えられること、答えられない場合は、考えがまだまとめきれていない状態、という判断基準を持つといいでしょう。
つまり、大事なのは
・顧客にとっての「価値」は?
・その「企画」の「顧客価値」をひとことで言うと?
企画書などを作成する場合は、この2点が反映されていることを意識すると質が変わってくるはずです。そんなゴールイメージを持って、「じゃ、企画をどう発想する?」というステップに進んでいきましょう。
■「企画発想」は、まず「情報収集」から
いよいよ企画を考えよう、と思っても、情報が何もない状態では考えられません。「企画を考えることが苦手」という人の多くは、前提となる情報が足りないのではありませんか? ここでは、「どんな情報」を「どう集めるか」を、以下3ステップにまとめてみます。
1.「目的」を設定する
「何のために」情報を集めるのか、まずは目的を設定します。目的を設定せずにかたっぱしから情報を集めると、時間・パワー・コストだけがかかってしまい、とても非効率。ですが、多くの現場で「どう集めるか」という手段に議論が集中し、「なぜ集めるか」が明確で無いケースを見かけます。手段に走る前にまず「目的」。「手段」を「目的」にしてはいけません。
2.「fact(事実)」を集める
集める情報は、まず「fact(事実)」情報。売り上げ推移・利用者属性・利用意向などの定量情報や、商品に対する顧客の意見・営業販売などの社内スタッフ意見・グループインタビュー意見などの定性情報など。目的をみたすと思われる、定量・定性情報を集めましょう。
⒊周辺の「感情」を集める
「fact」を集めれば情報収集は基本的にOK、なのですが、あなたの腹落ち感はどうですか?「だからこの企画を提案したい」という“本気”の感情は宿ったでしょうか。
実は私は、データ情報だけでは宿りにくいタイプ。その場合のコツとして、私はfactだけを集めるのではなく、その結果をクライアントはどう思っているか、企画ターゲットと近しい友人・知り合いたちの印象・感想はどうかなど、自分が聞いた「生の声」「感情」を合わせて集めます。これがとても効果的で、定量・定性情報に自分なりの理解が芽生え、感情が宿り、企画プレゼン時に「企画立案者の意志」として効力を発揮します。
よって、ここでは「fact」だけでなく、それにまつわる周辺の「感情」も情報収集の対象としておすすめします。
■「企画発想」の早道、「情報収集」を「習慣化」してしまえ!
クリエイティブに携わる者としては、世の中に溢れる変化を素早く察知して、変化の意味をくみ取りたいもの。そのスキルをあげる近道は「習慣化」です。企画を考えなければならない対象メディアや、顧客、業界などがすでにわかっている場合は、日頃から「情報を取りにいく」ことを癖づけることが大事。心がげておくといいスタンスを3つ紹介します。
1.常に「見る」「聞く」「知る」
常に情報を得ていれば、情報の理解が容易になりますし、変化や特徴が感じやすくなります。雑誌であれば本屋の平積みの変化をくみとる、イベントが行われていると聞けば直接現場に行く、クライアント担当者や承認する上司などの本音に触れるよう接点を自ら設ける、対象商品・競合商品の特性や機能を詳しく知る〜などなど、ちょっとでも意識して行動してみましょう。
2.常に「なぜそうなの?」「だから何なの?」と考える
「見る」「聞く」「知る」を意識して行動すると「あれ?これは何で?」「だから何なの?」と思うことがでてくるはずです。これがとても大事。自分なりの答えを導き出してみましょう。ここではあっているかどうかはあまり重要ではありません。答えを導けることが大事です。
3.常に「話す」
自分なりに導き出した答えについて、ぜひ誰かに話してみましょう。友人でもよし。身内でもよし。飲みのネタでもOKです。会話をすることで、自分の考えが的を射ているか否かがすぐに反応としてみえますし、相手からの反応により自分の理解や考えが精度を増していきます(これは「“会話”により気づき発見を促す」という、カウンセリングの考え方を参考にしています)。積極的に話してみましょう。
上記1.2.3を繰り返しおこなっていくと、情報収集スキルが向上し、企画を考えやすくなります。それだけでなく、情報理解のスキルもあがり、結果、「企画を論理的に考える」「考えた企画の理由・背景が論理的に設定できる」「企画を論理的に説明する」スキルに直結していきます。この習慣を「楽しく」行える手段を見つけてしまえば鬼に金棒。ぜひトライしてみてください。
(私はお酒が好きなので、何か思いついた時には、すぐに気心知れた仲間との飲み会を設定し、ペラペラ楽しく話す、ということを実践しています笑)
■「企画発想」思考ステップ
<企画発想時におさえたい6つの必要項目>
発想の元になる情報を集め終わったら、いよいよ!企画を発想します。発想の手順を6ステップにまとめます。
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