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どうして、海外で定期的に転職するの?

私は、2000年から海外に移住し、基本的にはフランスやアメリカのいわゆる、ラグジュアリーとかハイエンドとか言われるファッションブランドで、ウィメンズ・レディ・トゥ・ウェア (女性用高級既製服) のデザイナーとして、会社内のデザインチームの一員として働いています。

詳しい私の経歴はこちらからどうぞ。



元々はパリが拠点だったのですが、2015年にキャリアアップのためにニューヨークに移住。そしてこの春に、3年半勤めたコーチ社を退社しました。
現在、パリに拠点を戻して、次の転職先を探しています。


私が転職する際は、基本的に正社員として採用していただける仕事を探します。(フランスとアメリカでは契約の名称がそれぞれ違うので、今回はそれについては詳しく説明することはせず、自分で辞めたり、クビにならない限りはずっと会社にいられる契約のことを「正社員」と呼ばせていただきます。)


基本は正社員
会社によってはフリーランスのデザイナーもいることにはいますが、レディスウェアの布帛デザイナー、特にランウェイショー(パリコレ、NYコレなど)のあるブランドのデザイナーはフルタイムの方がほとんどだと思います。

フリーランス
ニットや刺繍、プリント、グラフィックデザイナーにはフリーランスの方も多いです。もちろん、会社によってはフルタイムの方もいらっしゃいます。

派遣社員
パタンナーや縫製として働かれている方は、派遣会社から来ていることも多いですが、デザイナーに関しては、フランスでは派遣会社から採用ということはまず聞いたことがありませんし、逆にアメリカの場合は、デザイナーでも短期で採用したい場合は派遣会社を経由して求人したりもします。

クリエイティブ・ディレクター
ファッションショーの最後に、ちょこっと登場する、デザイナーの「代表」であり、ブランドの「顔」であるクリエイティブ・ディレクターは、基本、3年契約や5年契約で会社と契約していることがほとんどだと思います。売り上げの結果によっては、契約が途中解除されることも、また更新されることもあります。




転勤
デザイナーは基本、本社勤務なので、転勤とかはありません。もし、住む街とか国を変えたかったら、今働いているブランドを辞めて、いちいち転職しなければなりません。

稀に、クリエイティブ・ディレクターの都合で、フランスの会社なのにロンドンにオフィスを移転させたり、スペインからパリに移転したりということがあります。その場合はスタッフも一緒に引っ越しです。家族の都合などで引っ越しできない場合などは、やはり転職を考えざるを得ません。




どうして定期的に転職するのか

1、クリエイティブ・ディレクターの入れ替わりが激しい
2、昇進、昇給の交渉には限界がある
3、定期的に、違うタイプのデザインをしたくなる



1、クリエイティブ・ディレクターの入れ替わりが激しい
ファッションブランドのデザイナー達は、チームで一緒にコレクションのデザインをしていきます。
ファッションブランドの顔であり、上司でもあるクリエイティブ・ディレクターが退任することになると、たとえ正社員で採用されて、末長く会社に残っていたくても、連帯で退社しなければならないケースは非常に多いです。



2、昇進、昇給には限界がある

フランスやアメリカでは採用される際、必ず契約書があります。サインする前に契約内容とお給料の交渉をひとりひとり必ずします。だから、同じ役職で採用されても、契約内容とお給料の額が人それぞれ違っていたりすることもよくあります。その差額に愕然とすることも。だから同僚とはお給料の話はしないようにしています。あちらの方が高いと嫌なので。苦笑

昇給は毎年あるにはありますが、大体年間1%くらいから3%アップくらいで、それ以上上げて欲しい場合は、予算年度末前に、嫌がる上司をなんとか捕まえて、値上げのリクエストをしなければなりませんが、これが結構ハードルが高いです。

上司の立場から言うと、次年度のチームの予算がきちんと決められていて、その予算内でそれぞれの値上げ額をやりくりしなければならないので、チームメンバーひとりひとりの要望には、残念ながら全部答えられないのが現状です。

昇進に関しても、長い目で社員を育てるという感覚は普段あまりなく、例えばもし "デザインディレクター" という役職に欠員が出た時、自社のシニアデザイナーがそのポジションにふさわしいレベルなのであれば、昇格させることもあるにはありますが、それよりも、他のブランドから "デザインディレクターレベル" の人を採用するということの方が可能性としては非常に高いです。


その時の状況にもよりますが、本気でキャリアアップを目指すのであれば、会社を変えて、希望の役職と給与額で契約しなおした方が、確実にキャリアアップできるのではないかと思います。



3、定期的に、違うタイプのデザインをしたくなる

これは私個人的なことなんですが、同じブランドのデザインを3年とか4年やってると、たまには違うデザインもしてみたくなってきます。仕事もルーティンになってきて、新しいことにチャレンジするのが億劫になってきます。そんな時は、やはり転職した方が、違うデザインチームと気分一新、今までと違うデザインメソッドで、新たなことに挑戦することができます。


常にデザイナーとしての「鮮度」を保つための転職です。




では、実際に転職するときにはどうしたらいいの?




転職先の探し方については次回お話させていただきますね。




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大森美希 / パリ在住ファッションデザイナー
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