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”社外Ops”を1年やってみた体験談、全部曝け出します!!

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この記事はBizOpsアドベントカレンダー2024 2日目の記事です
前回は一般社団法人日本BizOps協会の祖川 慎治さんによる、
なぜBizOps協会を立ち上げたのか、そして何を目指すのかでした
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みなさん、こんにちは!
SaleOps Lab.の遠藤 未来彦(みきひこ)です

ありがたいことに去年に続き、
このアドカレの執筆機会をいただいてこの記事を書いております

👇️去年書いたBizOpsアドカレの記事はこちら!!



はじめに

①自己紹介

改めまして、遠藤 未来彦(みきひこ)です
昨年の11月に独立して、フリーランス2年目になりました

Xのアカウントはこちら:https://twitter.com/mikihiko_do

現在は主にベンチャー企業のSalesforceの構築、
ならびにBizOps支援を個人でやっております

屋号の「SalesOps Lab.」は正解のないOps領域に一緒に向き合い科学して良い仕組みを作っていきたい
その感じが大学院時代の研究室に重なったのでこの名前にしました

②なぜ、あえて2日目を選択したのか

「BizOps協会・代表理事の祖川さんが描く”BizOpsの世界観”を誰よりも体現しているのは誰がなんと言おうと、間違いなくこの俺だ!」という絶対的な自信とこだわり、そしてそのアピールです笑(Opsとしての実力はさておき)

・個社ごとにではなく、”業界で横断して”BizOps人材を育てる
・「BizOpsが有名なXX社の◯◯さん」ではなく、「◯◯さんがXX社のBizOpsを作り上げた」と言われる”個人”が主語の世界線

参考:祖川さんの語るBizOpsの世界観

2024年は一般社団法人として日本BizOps協会が設立されるなど、日本にとって"Ops元年"であるといっても齟齬はないと私は考えてます

だからこそ、いち早く新しいBizOpsのかたちを提唱したかったのです


”社外Ops”について

①”社外Ops”とは?

元々そんな言葉存在しないので、今自分が作りました笑
特定の会社に所属せず、フリーでBizOpsの支援を行う
自分みたいな人間のことを指します

②社外Opsが活躍できる場所

経験上、社外Opsが活躍できる舞台は"既にBizOpsが組織化・活性化している組織"ではなく、「これからBizOpsを立ち上げて活性化させていきたい組織」だと考えてます

実際私が関わっている組織の共通項は「若くて勢いがあってそれなりに強いけど、組織の仕組みや基盤はこれからのフェーズにある組織」であり、

RPGで言えば、「勇者や戦士は強いけど、僧侶や魔法使いがいないパーティー」が主戦場です

去年も書きましたが、「Opsが大事なのは分かるけど、優先順位としては2〜3番目」という位置付けで、BizOpsを導入していない(または社内のエース級をそこにアサインできない)組織はまだまだ多いと思ってます

そんな"BizOpsポテンシャル群"に位置付けられるような組織こそ、外部の人間が、”社外Ops”として輝ける場所であると考えてます

③社外Opsの限界

"組織のオペレーションの根幹を担うBizOpsを、果たして外部の人間が担うことはできるのか?"

そんな疑問が真っ先に思い浮かぶと思います
私も独立した最初の3ヶ月は外部の人間がその会社のBizOpsを担うのは現実的に難しいのではと考えてました

いや、正しくは今でもそう思ってます
なので、社外のBizOpsが発揮できるパフォーマンスは
社内の人間と比べて"良くて7割"だと私の中で定義しています

残りの3割の乖離はどこから生じるか

・社外秘の情報(特に経営関連のクリティカルな数値)など、外部の人間には共有できない内容
・その会社の組織図や定常業務の体験・根本的理解
・その会社に流れているカルチャー・DNAの根本的理解

社外Opsの超えられない3割の壁(遠藤調べ)

あくまでも外部に共有できない情報もあるし、社員と全く同じ時間と労力を共にするわけじゃ無いから、どうしても現場との溝があるよねって話

ただ、勘違いしてはいけないのは、「組織のオペレーションはOpsだけの力で成り立つものではなく、あくまでも旗振り役」であり、社外の人間とか関係なく、現場との協働があって初めて成立するものであること

言い換えれば、埋めきれない3割の溝は内部の人に補ってもらい、外部からでも貢献できる部分にフォーカスすれば、社外Opsでも十分にバリューを発揮できるポジションであると考えています

てか、そもそも1.5人力を発揮して、
7割の力で100%にすればいいだけの話なんですけどね笑

④社外Opsの優位性

社外の人間がBizOpsとして活躍できる根拠
まだまだ専門的な人材が少なく採用が難しいからというのもあります

しかし、社外Opsが持つ圧倒的な優位性は

「社外のOps事例を知っている。そして、それがリアルタイムでアップデートされている」

という点にあると考えています

当然だけど、組織が違えば抱える課題や実現させたい未来は違います
しかしそれは、その会社特有のケースではない場合が多々あります

「これ、うちの会社ならではの課題だと思うんですけど・・・」
👆️そんなことはありません、割と同じ課題持ってる会社多いですよ😂

A社で表出している課題は、B社では表面化していないだけで奥深くに同じものを抱えており、いずれ表面化してくるなんてこともザラにあります

そんな時に、過去にA社で上手くいった方法を用いて、B社では早期に発見・解決できるし、課題が表面化する前に潰すこともできます

A社の課題に対して、その課題を抱えていないB社と比較することで解決の糸口を見つけることもできます

そんな「リアルな事例の横展開」が社外Opsの圧倒的優位性と言えます

⑤社外Opsの留意点

ここで、社外Opsとして活躍するための留意すべきポイントを2つ紹介します

1️⃣事例をそのまま当てはめない
A社で上手くいったケースも、そっくりそのままコピーしたとて、B社に上手くフィットするとは限りません

成功の要因には必ずその会社特有の変数が何かしら存在してます
なので、「成功したHow toではなく、そのエッセンスであるWhatやWhyを抽出し、横展開する」ことが大切です

「なんか上手くいったから横展開しよう」ではなく、「なぜ上手くいったのか」を言語化した上で、その会社にフィットするようにカスタマイズしてから横展開することを徹底しています

2️⃣いずれの会社にも"不利益をもたらさない"配慮
社外Opsを活用する際、「自社のノウハウを外に持ち出されることによって自社の不利益になるのではないか」という懸念が生まれると思います

リスクマネジメントの観点から、この懸念が出るのは当然です

だから、出していい情報かどうかをしっかり切り分ける必要があります
これは1番の信用問題になるので、最も留意しなければいけません

「他社で上手くいったエッセンスを提供するからには、ここで上手くいったエッセンスも他社で活用します」といった合意は取るべきでしょう

幸い私の周りには「ウチで生まれたノウハウはぜひ他社でも活用してもらって構わない。むしろ、それで遠藤さんのプラスになるならぜひ有効活用してほしい」という支援先しかいないのですが、そう言ってもらえる信頼の獲得や関係構築も重要になってきます

⑥社外Opsとしての基本スタンス

社外Opsとして「他の会社はA社を成功させるための実験台」「科学ノ発展ニハ犠牲ガツキモノデース」というスタンスは御法度です
BizOpsの支援をするからには「すべての会社のプロジェクトを成功させる」「私、失敗しないので」というスタンスが必須です

すべての支援先に対してGiveの精神ではなく、「Give&Takeの精神」を見せることが社外Opsとして成功するためのベースとなるマインドになります

逆にいうと、秘密主義だったりテイカー気質の強い組織には介入すべきではないとも考えています

業種・業界問わず「”社外Opsである自分”を基軸とした、間接的な協業関係に賛同してくれるパートナー選び」が重要になってきます


社外Opsの支援の流れ

①全体設計ではなく、部分最適から始める

これは、組織全体の戦略設計から入って各部門を最適化していくという、「上から下へ」という一般的なBizOps構築の流れとは真逆になります

なぜなら、社外Opsはいわば外来種なので、いきなり上流の組織の抜本的な立て直しから入ると、その会社の生態系が壊れる(大きな混乱やハレーションが起こる)からです

なので、いきなり上流の改革に乗り出すのではなく、最初はバランスを見ながらISOps、SalesOps、CSOpsといった部分最適を同時並行で行なっていく形になります

②早かれ遅かれ来る部分最適の限界、その時がチャンス!

最初は部分最適からOpsの支援から入っても、
半年も続けていくと、ある大きな壁にぶつかります

それは、「あれ?この課題ってこの部門単体で解消するの無理じゃね?」という壁です

私の経験した1つの大きな壁が、FSが失注した商談をISがフォローする「失注掘り起こし」に対する相談、まさに部門間連携が必要となる課題でした

👇TheModel型組織の部門間連携についての記事

そのMTGで私はISマネージャーに伝えました
「マーケからCSまで、すべての責任者を集めてください。この境界線の溝を埋めるための定例を組みましょう!」

部門間のコミュニケーションが出来ていないTheModel型の組織は多いので、自分がハブとなってコミュニケーションを取る機会を創出することが1つの転換点となります

※この段階で、各部門の責任者の信頼を得られるアウトプットを出せているかどうかが1つの大きな鍵になります

③その後は全体最適と部分最適の往復

BizOpsとして大切なのが、複数の部門の課題を横断的に解決するところです

オーソドックスな例で言うと、アポ獲得時・受注時の情報の引継ぎ
この部分は多くの会社が仕組み化できていると思います

しかし、失注・解約後はどうだろうか?
失注・解約理由がメモ書き程度にしか残っておらず、
分析や再アプローチに活用できない会社は多いんじゃないでしょうか

失注・案件終了後のリサイクル♻️を実現させようにも、再アプローチ時期の明確化や、時が来た時にリストに出てくる仕組みは1つの部門での実現は難しいです

そこで、各部門を横断した仕組み(全体最適)の実装と、各部門にフィットした仕組み(個別最適)の実装を往復しながら、組織全体の連携や循環を強化していきます

④社外Opsとして私が追っている1つのKPI

私が社外Opsとして活動する中で勝手に設定しているKPIがあります

それは、「組織の一員としてカウントされること」

私は外部のコンサルとしてではなく、
組織の内部から営業組織やBizOpsの改革に取り組んでいます

内部の方々と同等もしくはそれ以上の理解が必要だし、
限られた時間でも遜色ないパフォーマンスが大前提となります

組織の一員としてのカウント方法は会社によって違いますが、おおよそこんな感じだと思ってます

・その会社のドメインのメールアドレスが割り当てられる
・座席表に自分の名前がバイネームで割り当てられている
・社内の何かしらの具体的なポジションや肩書きを任命される
・「うちの社員よりウチのこと詳しいよね」「社員よりもコミットしてくれてる」のようなことを複数名から言われる
・「で、いつ入社してくれるんですか?」みたいなことを日常的に言われる

社外Opsが「組織の一員として認定される」一例

すぐにこの関係性を築くのは難しいですが、おおよそ半年以内に2つ以上は達成したいところです

⑤Opsが取り組む課題は組織が成長している限り尽きない

BizOpsのやるべきことは大量かつ広範囲に及びます
大きなアップデートをやりきって少し落ち着けると思ったら、もっとデカい波が来るなんて当たり前です

むしろ、その波が来ない組織は"成長してない"と言い切っても良いでしょう

日々多方面から押し寄せる大波に時には揉まれ、それでも乗り越えて、新しい発見や成長があるところに社外Opsとしての面白さがあります


社外Opsとして私が大切にしてること

先にお伝えすると、すべて「諸説あり」です
「甘い、プロ意識に欠ける」と感じる方もいるかもしれません

けど、あくまでもこれが私なりのプロ意識だと思ってます

①「コンサル」とは名乗らない

”BizOpsコンサル”という言葉を少なくとも私は一度も聞いたことがありませんが、いま口に出してみて改めて違和感を感じました

”社外Ops”という言葉が本記事で初めて生まれたというのもありますが、私がBizOpsという役割を主に「社内からオペレーションを最適化させる役割」であると捉えていることからそう感じているのだと思いました

社内で抱える課題解決をする人を「コンサル」とは呼びませんよね💦

BizOpsを成立・成功させるには、業務に対する深い理解が必要となります
また、外部の目線を持ちつつ、内部の人間として一緒に作っていくスタンスを保つという考えから、コンサルという表現はしっくり来なかったのです

(あとは自分みたいなレベルの人間が”コンサル”なんて強い言葉を使うと、途端に胡散臭くなりそうだからというのもあります笑)

②「御社」とか言わないし、「お客様」とは呼ばない

現場への深い介入をしていくにあたり、私が個人で支援している支援先はどこも私を組織の一員として扱ってくれています

そんな中、「御社」とか「お客様」という言葉を使うことで、せっかく向こうから歩み寄ってくれているのに、わざわざ自分から線を引いているようで、なんか失礼だな・・・と思ってそう呼ぶのをやめました

だから、第三者との話題に上げるときは「支援先」呼ぶし、社内での主語は社名やサービス名、文脈によっては「ウチ」という表現も使ってます

こういった表現を用いながら、外からではなく組織の一員として一緒に並走していくスタンスを大事にしています

③その組織やカルチャーへの適応

私がよく使う例えとして、「助っ人外人」があります
以下はフリーランスの文脈で書いていますが、社外Opsも同様です

プロ意識を持つことは大事ですが、表に出しすぎるとプライドが邪魔して、解像度は一向に上がらない👉️最適なアウトプットが出てきません

また、「出社」はオススメです!目や耳に入ってくる情報量が全く違います
部署ごとの座席の位置関係を見るだけでも、その会社のコミュニケーションやカルチャーがよく分かります

週5日のフルタイムは難しいにせよ、SlackやMTGでのやり取りだけでなく、支援先が出社文化であれば自分も可能な限り出社して、現場とのコミュニケーションも大切にすることで、現場業務の解像度も一気に上がります

実際に月2回以上出社している支援先は、やり始める前と比較しても軒並み成果出てますし、スピード感も早くなってます

ちなみに、これらは別に義務感でやってません
この組織で成果を上げたい、だからもっと身近に一緒に働きたい、
これを伝えたい、自分の発信でみんな喜んでくれる、
だから続ける、それだけです


おわりに

この1年でOpsという役割が市民権を手にし始めてきましたが、
まだまだ手を回しきれていない組織がほとんどだと思ってます

また、社内だけで完結させようとすると、
その組織の常識や当たり前が邪魔して、
大きな変革は長い道のりになるかもしれません

大きな変革を起こせるのはいつだって
「よそ者」と「ばか者」と「若者」

尖りまくった社外Ops人材が吹き込む風は、
組織に大きな変革をもたらしてくれるでしょう

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

祖川さん、日本BizOps協会主催の勉強会での
登壇のお誘いお待ちしてます!!

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