哲学して批判的精神を身につけよう
ディドロ(18世紀フランス、啓蒙思想時代に百科全書を編纂した)は、「哲学を広めることほど緊急なことはない」と当時言いました。
市民が、理性以外のこと、感情とか偏見、信仰など、それのみに考えを支配されている状態を深刻にとらえたからです。
現在、フランスで子ども哲学を広める活動をしているフレデリック・ルノワールさんも、今はかつでないほど哲学することが求められている、と、ディドロと同じことを言っています。
ですので今回は、哲学することで身につく大事な一つの力・精神について話します。
精神って聞くと根性とかやる気みたいな精神論って感じがしますが、フランス語だと「エスプリ」"esprit"と言って、知性・知力・才気など幅広い意味をもっている言葉です。
では、どうして現在また哲学が必要なのか?
特にフレデリック・ルノワールさんは子どもに哲学することを広めているわけですが、理由としては一つ。
現代の子どもが触れる情報が莫大な量であり、それに加え、それらの多くは何の根拠もなかったりする情報たちだからです。
Twitter、TikTok、InstagramなどのSNSで、フェイクニュースや陰謀論を見かける機会が増えましたよね。
例えば、こんなフェイクニュースがあったそうです。
世界の権力者たちは子どもの生き血を飲んでいるから健康でコロナにも感染しない
そこに添付されていた写真は、フランスとドイツの間のトンネル開通のときに行われた祭典で、悪魔の格好をした人たちが踊っているのをドイツのメルケル大統領とフランスのオランド元大統領が眺めている、というものだけ。
この写真だけではこの情報の根拠になりうるはずがないと、たいていのひとは分かると思いますが、子どもはそこまでわかりません。
こういう情報に踊らされないために必要なのが、「批判的精神」フランス語では"esprit criqitue"(エスプリ クリティック) である、と言っています。
批判的精神とは何かというと、情報などをすぐ鵜呑みにして信じ込むのではなく、吟味して、識別、判断するという意志のことです。
否定することと批判することは違うので、注意してくださいね。
哲学するということは
①驚く
②問う
③論理だてる
ということは以前書きました。
この論理だてる段階で、自分の考えを支えているものはなんなのか?をはっきりさせることが大事になってきます。
偏見や迷信に基づいたものではなく、しっかりとした根拠を持って自分の考えを主張することに慣れれば、他の人も同じように根拠を示せているか、ということにも敏感になります。
また、批判的精神があれば、ただ受け身でいるのではなく、主体的に情報を読み取ろう、理解しようとするので、自主性も育まれます。
学校でも、教わったことをただ「へえ〜」と聞くのではなくて、「本当にそうかな?」「他の時代ではどうだったのかな?」「他の国と比べたらどうなの?」とか、自分の興味にひきつけて、子どもが学べる環境があるといいなと思います。
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今後、公開哲学カフェLIVEを実行しようと計画中です♪