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青空に向かって叫んだ日

青空に向かって叫ぶのは、四年に一度あるか無いか。

台風が太平洋に発生し、そのウネリが湾に入ってきて、波のピークとセクション、フローラインを見極められて、ベストのライディングが出来た時。

ラフからなんとかグリーンに乗せられ、6m近くのパッティングを読み切り、カップにボールが吸い込まれた時。

2024年8月11日日本海リーグ第27回戦、それと同じ滅多にない経験を、このゲームでは味わさせてくれた。

5回を終わって、4対1。

ツーランHRは打たれ、2打席連続の押し出しフォアボールとデッドボールは与え。

四番三好選手の弾丸ライナーでライトスタンドに飛び込むソロHRで一矢を報いるも、今日もこのままズルズルと敗戦の色が濃くなってくる。

6回裏、母校富山商業が甲子園で明日初戦を迎える石橋選手が、花向けの美しい放物線を描くレフトスタンド最上段へのスリーランHRで、6対5まで詰め寄る。

7回表、対する石川ミリオンスターズの四番打者大誠選手に2点タイムリーヒットを献上。
8対5。

7回裏、まだ諦めない意地を見せてくれて、なんとか2点追加で8対7。

セットアッパーの瀧川投手が雄叫びを上げながらガッツポーズで8回を抑えると、クローザーの日渡投手も9回をきっちり3人で打ち取る。

なんとか踏み止まったこの流れを生かしたい。

この二人はサンダーバーズにとって、勝利の方程式

9回裏、先頭打者の岩室捕手はライナー性の強い当たりを逆方向に放つもセカンド正面、1アウト。

次打者佐野選手は、フォアボールを選んで出塁。
今釘選手、センター前テキサスヒットで1、2塁。松重選手、ショートゴロを打つもWプレー崩れで、2アウト1、3塁。

四番、三好選手が打席に向かう。

「三好〜!四番の仕事!」
との声が響く中、それが聞こえたのか、長打を警戒してバックしていた外野陣の前にポトリと落とす。
同点タイムリー、8対8。

五番、墳下選手。
初球を思い切り引っ張り、白球がレフト線を抜ける。

ベンチから選手達が飛び出し、スタンドはハイタッチと歓喜の渦が巻き起こる。

サヨナラゲーム。

墳下選手、ヒーローインタビューに向かう

今季の富山GRNサンダーバーズにとって、初めての事。

ドーパミンとセロトニン、β-エンドルフィンが一気に噴き出し、その心地良さに自分もどっぷりと浸る。

”負けている時でも、自信過剰で傲慢でいること。それが秘訣だ。ゲームは、恐怖と傲慢さを持ってプレイしなければならない。”
〜『Bull Durham』(邦題:さよならゲーム)


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