【松組の吉永先生】
3歳。
人間が遡って覚えていられる記憶の年齢、以前どこかで読んだ。
オレが4歳、幼稚園年少さんだった時のこと。
定期的に持ち物爪切り検査が行われていた。
ハンカチ、ちり紙、そして爪切り。
「ハンカチ、良し。」
「ちり紙、良し。」
「爪切り… あれ、KenG君お母さんに切ってもらえなかったね。」
その日はオレが自分で爪を切っていた。
「ボク、自分で切った。」
「KenG君、えらい! じゃぁ、良し!」
と、多少伸び気味できれいに整っていない爪を見ながら吉永せんせいはそう言ってくれた。
別の日の爪切り検査。
「KenG君、爪伸びてるね。」
爪切りを忘れていたオレは言う。
「ボク、自分で切った。」
オレの顔を覗き込んだ吉永先生、
「嘘ついたらダメだよ。」
分かりやすい性格は今でも変わっていない。