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晩夏(8.17-8.21)

8月17日(土)

夕方の海を見ていると、もうなんでもいいや、という気持ちになる。裸足で砂浜を歩いて、波に足をつけて、適当な場所に座って、夕陽が沈んでいくのを眺める。やがて日が沈むと、夜になる前の特別な青色が広がって、そのなかに白い月を見つけることができる。

こういうのばかりでいいよ、夕方の海より好きなものはないよ、ここで本を読んで暮らそうよ、とわたしの声が聞こえる。


8月20日(火)

さっぱりした気持ちで満月の夜を歩きたいから、急いでシャワーを浴びて髪を乾かして、さらりとした着心地の良いワンピースを頭からすっぽりかぶって、サンダルを履いて、外へ出る。街にこもっていた熱が少しずつ冷めてきた。晩夏だ。

炭酸が飲みたくなって、コンビニでスプライトの缶を買って、満月を見上げながら歩く。こういうのがいちばんすき、とわたしの声が聞こえる。


8月21日(水)

睫毛をくるんと綺麗にあげてみる。鏡に映るわたしが、いつもより少しはつらつとして見える。

働く。ここでしか出会えないひとたちと、束の間の目標を追いかける。やがて散り散りになっていくけれど、今は家族よりも長い時間を過ごすひとたち。会社は学校じゃない、と言われたことがあるけれど、そうかな。出会い、学び、場をつくる。あまり変わらない気がするけれど。



夕方の海に行って、満月の光を仰いで、たまに恋をしたりしなかったり、まつ毛をあげたり、あげなかったり。

日々を綴り、言葉をあつめて、食べて、眠って。欲しいものはすべてある。あとはなんだっけ、あとは秋をたのしみに待つだけ。

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