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使った時間に相応しい対価だけを求めよ
僕は、シナゴーグでは話し難い質問をする生徒だったにちがいない。ラビはよく僕を集会の後に「食事していくか」と誘ってくださった。そしてその席で、色々な話をされた。
あるとき、先生(ラビを僕らは先生と呼んでいた)がこんな事を云われた。
「希望や夢や生きがいは、松明の炎だ。どれほど他の人に授けたからと云って自分の炎が少なくなるわけではない。だからそれに対価を求めてはならない。」
僕はインベストメント・ビジネスに生きていた。だからこそ、先生はそう言われたのだろう。
その時、僕は先生が小さい子らにこんな質問をしていたことを思い出した。
「昔、何処までも見渡せる眼鏡。何処へでも飛んでいける絨毯。どんな病気でも治す薬を持っている者がいた。
あるとき、遠くに病気で困っている人を、何処までも見渡せる眼鏡で見つけた人がいた。三人は何処へでも飛んでいける絨毯に乗って出かけ、どんな病気でも治す薬でその人を助けた。
助かった人は、とても貧しかったので、三人の中の一人にだけお礼のモノを渡した。では、その人は誰にお礼したか?」
子供たちは、先生に聞かれると真剣に考える。そして応える。
「どんな病気でも治す薬を持っているひと。」
先生は聞く。
「どうしてだね?」
「だって、薬は使ったら無くなっちゃう。他のものはなくならないから。」
先生は笑いながら子供たちの頭をなぜる。
「そうだね。そのとおりだ。さすがにウチの子だね。」
いくら分け与えても減らないものに対価を求めるな。
使った時間に相応しい対価だけを求めよ。
先生の教えだ。
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