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意外性のつくりかた。 #2 「逆」にしてみる意外性
お世話になります。コピーライターの杉浦です。
前回の記事は、こちらから。↓↓↓
本日から、どうすれば「意外性」を意図的に自らのクリエイティブワークに盛り込んでいけるのか…その具体的な手法についての話をしていきたいと思います。
コピーライティングやデザイン、写真の撮り方や編集ソフトの使い方など、そういう基本知識は、学校に行ったり本を読み漁れば解決できますが、そういう基本ベースあるけど、なかなか突破口が見つからない時に思い出して欲しい、意外性をつくるための「合言葉」のように思ってもらえたら嬉しいです。
「逆」にしてみる。
担当しているお仕事、商品、サービス、プロダクト、ブランドいろいろあると思いますが、「一般の人に抱かれているイメージ」とは、逆になる言葉やビジュアルをとりあえず脳死で当ててみてください。(反対になるもの、遠いところにあるもの)
言葉で例えると、こんな感じです。
商品:アイスクリーム
逆イメージ:温かい、朝食、ダイエット。
これらをキャッチコピー風にすると、
・アイスクリームで、温まろう。
・アイスクリーム・ゆるダイエット。
・朝食アイスクリームという提案。
…どういうコンテンツになるかは別として、逆のイメージをくっつけるだけで意外性を付与できるという例です。これだけでも、かなり気になる存在になります。
ここからは、「逆にする」を意識して考えた作品をいくつかピックアップして紹介していきたいと思います。
リクルート → ウミルート
リクルート面接の「リク」の部分を逆に「ウミ」にしただけのしょうもないアイデアですが、水中で面接する姿はなかなかシュールで意外性があったと思います。
全員集合できなかった写真
全員集合して撮るはずの写真が、逆に全員集合できなかった写真のイラストです。当時はコロナ禍が始まったばかりで、これが現実に起こった学校もあったかもしれません。
デスクワークの二宮金次郎
こちら、働くスタイルを逆にすることで意外性を狙いました。
ここから先は、bird and insect にて実際に担当した案件の中で、この「逆にする」という手法を使ったコピー事例を紹介していきたいと思います。
「変化って実は、かんたん化」
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政務活動管理のアプリケーションソフト「セムカン」
紙ベースで行われていた政務活動管理の手続きを、すべてデジタル化してくれるアプリケーション「セムカン」のキャッチコピーである、「変化って実は、かんたん化」という言葉は、
いままでやってきた方法を「変化」させるって、すごく腰が重いかもしれませんが、長い目で見ると実は、めんどくさかった手続きが「かんたん」化されます。というメッセージをギュッと短くしつつ、
「変化」という言葉が持つ「難しい、めんどくさい、大変なこと、進歩すること」というイメージとは逆の「かんたん」という言葉を用いることで意外性を狙いました。
「誰かの人生が名作なら、 キミの人生は最新作だ。」
株式会社リロードエッジの採用ムービーに使用されたコピー、「誰かの人生が名作なら、 キミの人生は最新作だ。」では、
・誰か→キミ
・名作→最新作
といった感じで、すべての単語を逆にしています。簡単に言えば「自分にしか歩めない人生を切り拓こう」ということですが、これだと意外性がないので、「これからの自分の人生」に目を向けられるよう「成功者の羨ましい人生」の逆側に「自分にしか見つけられない人生」があることを伝えています。
地中から 地球を照らす
応用地質株式会社の企業ムービーに使用されたコピー、「地中から 地球を照らす」も地中という暗い場所とは逆である、照らすという明るいイメージのある言葉を置くことで、地中のような見えない場所から人々のインフラに関わる重要な仕事をしていることを伝えています。
以上が、「逆にする」という意外性のつくりかたとその事例でした。
次回は、意外性がなくなってしまうと、どんなクリエイティブが誕生する危険性があるのかを、お話ししたいと思います。
それでは、また。