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猫の衣替えと人間の衣替え
〜冬毛から夏毛へ。
さっぱりしました僕、クレイでございます。
はい、猫の方ですよ。
○ ○ ○
人間界は長いお休みに入ると衣替えという苦行をするらしい。
ちょうど季節の変わり目に当たるので都合が良いらしいね。
その日、母さんも渋々やり始めた。
不思議なんだけど人間の着ている服というものには虫が付くらしい。
母さん曰く、紙魚、ヒメカツオブシムシ、イガ、何たらかんたら・・
う〜ん、服なんて美味しいのかな?
とにかく、そういう虫が服に穴を空けてしまわないように樟脳というものを一緒に入れて仕舞っておくんだって。
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〜樟脳の箱はバリバリという派手な音を立てて勢いよく開けられた。
次の瞬間、目の前に未知の物体Xが転がってきた。
僕は飛び上がる。
何だこれは!!
〜落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる。
僕はそれを恐る恐る前足で突いてみた。
そいつはピョンと跳ねた。
シャーー!!
僕は大ジャンプをして難を逃れる。
危ない、危ない。
「攻撃は最大の防御なり」だ。
僕は攻撃を仕掛ける。
Xを両足で抑え込み動けなくして噛み付いた。
そしてぴょんと放り投げまた抑え込む。
やがて物体Xはへなへなと力を無くし、ぐったりと動かなくなった。
・・僕の電池もここで切れた。