『度胸星 続編もどき』_第7話「交信」
scene_アンテナを組み立てる無声シーンの挿入
コマ① フレームを継ぎ足して大口径にしていくブラッドレーと筑前。
コマ② モジュールの通信機を内蔵アンテナとつなぐ石田とブロンソン。
コマ③ ローバーで自分たちの着陸機まで行き、ローバーのウインチで崖下まで降りて、つぶされた着陸機から部品を運び出す筑前とブラッドレー。
コマ④ 合板を叩いて薄くのばしていくブロンソンと石田。
scene_地球との交信
完成した大型のパラボラアンテナの画(アンテナは地面にじかに設置されている)。
それを前にして歓声を上げる四人のクルー。
居住モジュール内に戻り、地球との通信を開始する。
ブロンソン「手作りのアンテナだ。精度は劣るはずだからどこまで電波が届くかわからないが、届くまで根気よく交信を続けよう。」
石田「オーケー、僕は文字での通信を担当するよ。」
ブラッドレー「じゃあ、始めるぞ。」
「スキアパレッリ4号よりヒューストン。スキアパレッリ4号よりヒューストン。応答願う。」
「こちらはスキアパレッリ4号。応答願う。誰か聞いていないか?」
石田「続けて、文字メッセージを出力するよ。」
ブロンソン「よし、しばらく待とう。」「つながらなければ繰り返すぞ。」
何度か同じメッセージを繰り返すシーンの挿入。
scene_探査船M1の度胸たちが受信し、交信が始まる
静かな探査船M1コックピットの描写。突然、アラームが鳴り響く。
ハリコフ「どうしたんだ? 通信電波キャッチのアラームだ。」
「連邦宇宙局との定例交信の時間ではないはずだが・・・」
急いでコックピットに向かう四人。
通信機からは雑音交じりの弱い音声が聞こえてくる。
――ガガガガガガ、ジジジジジジ
ハリコフ「こちらはロシア火星探査船M1。応答願う。聞こえるか?」
弱い音量で「こちらはスキアパレッリ4号。応答願う。」
度胸「!!」「スキアパレッリ4号だって!」
「筑前たちだ!!」
武田「生きてたのか、あいつら!」
度胸と武田は顔を見合わせ、がっちりと右の手のひらを組み合う。
茶々はへなへなと床に座り込む。
ハリコフ「こちらはロシア火星探査船M1。私はハリコフだ。君たちの救出に向かっている。君たちの声は聞こえたぞ。オーバー。」
【場面スイッチ】
スピーカーから小さく聞こえてくる「こちらはロシア火星探査船M1。私はハリコフだ。君たちの救出に向かっている。君たちの声は聞こえたぞ。オーバー。」の音声。
無言で顔を見合わせる筑前たち四人。
全員「やったーー!!」「通信できたぞーーっ!!」
ブラッドレー「ハリコフ! 俺だ、ブラッドレーだ! お前、俺たちを助けに来てくれているのか?」
まだ小躍りして喜んでいる筑前、石田。ブロンソンがブラッドレーの肩に手をかけ、通信に加わる。
ブロンソン「ブロンソンだ。ロシアの宇宙船か? あとどのくらいで着くんだ。オーバー。」
【場面スイッチ】
ブラッドレーたちの応答を受信するM1コックピット。
ハリコフ「お前たちの通信が途切れて3ヵ月後に離陸した。まだ半年近くかかりそうだ。」
「搭乗しているのは私のほかに、日本人の市原、武田、三河だ。オーバー。」
【場面スイッチ】
固唾をのんで見守るスキアパレッリ居住モジュールの四人。
再び受信でき、安堵の空気が広がる。
ハリコフ(繰り返し)「私のほかに、日本人の市原、武田、三河だ。オーバー。」
筑前と石田がそれを聞き、さらに喜びを顔に表しながら通信を代わる。
筑前「筑前だ。度胸ちゃん、茶々、武田、本当に助けに来てくれてるのか? ありがとう。本当にありがとう。」
「だけど、気をつけろよ。ここには未知の物体がある。いや、“いる”って言ったほうがいい。」
「俺たちはそれにやられたんだ。」「詳しい情報は石田がデータ送信するぞ。オーバー。」
・・・・・しばらく経って
ブラッドレー「じゃあ、この交信記録はNASAにも送ってくれないか? ハリコフ。」
「この電波じゃ地球まで届いていないかもしれない。」
ハリコフ「ああ、了解した。おそらく非公式だが、我々の情報は逐一NASAとNASDAと共有されているから安心しろ。」
「ただな・・・アメリカは大統領が代わり、火星計画が中止されたんだ・・・」
「!!」驚く四人、そして落胆する。
ブラッドレー「オブライエン大統領は落選したんだな・・・」
「アメリカからの物質的な支援は期待できなくなったってことか。」
天を仰ぐブラッドレー。
・・・・・しばらく経って
筑前「じゃあ、テセラックの情報は定期的に送るからな。坂井輪さんにもよろしく伝えておいてくれ。教えてもらいたいことが山ほどあるんだ。」
「それから茶々、用心しろよ。」「早くお前を・・・抱きしめたいぜ。」
「ヒューー」と冷やかしが入るモジュール内。
茶々は顔を赤らめ、「バカね。」とつぶやく。
度胸は微笑している。