自分の進んでいる道に、心から納得するために。
社会人になって1年半。
振り返ってみると、私は今の法人に入ってよかったと思っている。
入職前、周りからの声を受けて介護業界に就職していいのか悩んだけど、
結局「若いうちに自分の器や人を受け入れる度量を広げたい」という思いが決め手になり入職した。
働く中で、あの頃には想像できなかったくらい色んな人と出会った。
多様な人を受け入れる経験をたくさん積めたと思う。
また、私は入職前に一度メンタルを少しやってしまっているので、自分自身を大切にできる職場で働きたかった。
その点からみても、シフト制でものすごい長時間労働もなく、
自分の時間をしっかりとることができる環境はとても有難い。
そして、自分の法人がやっていることに後ろめたさを感じずに働けるのがいいところだと思っている。
私は、この選択に納得できている、はずだ。
でも、自分のこれからを考えると、本当にこの選択は正しかったのか?と疑問に感じてしまうことがある。
その疑問は、どこからきているんだろう。
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介護職は、社会人としての力がない?
将来のことを考えたときの疑問の一つが、
私が転職したくなった時に介護職をしていた経験はどう見られるのだろう、ということだ。
社会人として必要な力を持っていない人だ、と捉えられるんじゃないだろうか?
でも、そもそも、社会人に必要な力って何なんだろう?
このページでは、社会人基礎力として
①前に踏み出す力 試行錯誤しながら、自ら一歩前に踏み出す力
②考え抜く力 問題意識を持ち課題を発見した上で、その課題を解決するための方法やプロセスについて納得いくまで考える力
③チームで働く力 自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で、目標に向けてともに協力する力
の3つが挙げられている。
では、介護職をしている人はこれらの力が足りていないのだろうか?
私は、そんなことはないと思う。
日々変化する利用者さんの体に合ったケアをチーム全員ができるように、ケア内容を考え、一定期間みんなで実践し、評価を行い、そのケアを継続するか決定する。
PDCAという言葉こそ使わないが、全員が今の状態にあったケア内容を発信し、PDCAサイクルを回すことが自然になっていると思う。
少なくとも、自分の職場ではそうだと感じる。
また、働いている人たちも本当に多様だ。
就労支援という形で働いている障害を持った人、シニア雇用の方、看護師、私たち介護職。年齢も国籍もこれまでの経験も全く違う人たちが、どのように協力し合えば利用者さんの生活や命をより豊かにできるかを考えていく。
「なんでこうなっちゃうの?」と思うこともあるけれど、本当の意味で多様な人とチームで働く力がつく職場だと感じている。
足りないものは何だろう?
こうして考えてみると、決して「介護職だから社会で求められる力を持っていない」と考える必要はないはずだ。
では、私はなぜ胸を張ってこの選択は間違っていなかった、と言えないのだろう?
大きな理由は「知らないこと」だと思う。
就職前、介護の仕事をすることに漠然とした不安を持っていたように、
私は今、形のない「一般社会」にぼんやりと不安を感じている。
頭の中ではわかっているはずだ。
専門的なスキルを除けば、〇〇業界だから身につかない、という力はなくて、そこでどう働くか、そして、どんな力がついたかをしっかり言葉にできているかが大切だということは。
それでも不安になるのは、やっぱり、私は(そんなものはないのかもしれないけど)「みんなが働いている社会」の外にいるような感じがしていて、「一般社会」を私は知らないんだ、と感じているからだと思う。
私は、色々な人と話したい。
色々な人が持っている介護に対する印象を聞いて、自分が見ている現場との間にある溝を埋めていきたい。
今はとても大きいものに感じている溝が少しずつ埋まって、自分も「みんなが働いている社会」の一員だと感じられたときに、心から自分の選択は正しかったんだ、と思えるのかもしれない。