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外資系で必要なアサーティブネス


アサーティブネスとは、該当する概念が日本語に無いため、カタカナが使われている言葉です。日本に最初に導入したアサーティブ・ジャパンが「自分の気持ちや意見を、相手の気持ちも尊重しながら、誠実に、率直に、そして対等に表現すること 」と説明しています。

義務教育の過程で、人前で発言することを訓練されない日本人にとって、英語人と仕事をするに当たって慣れるまで、なんと言っても苦労するのが彼らの文化では重要なこの「アサーティブネス」なのです。

例えば、先日、日本最大級のバイリンガル求人サイトのキャリア・フェアでオンライン・セミナーを開催しました。言語が英語だったためか、フタを開けたら参加者91名の大多数が海外に住んでいる外国人という結果になりました。「最後にQ&Aのパートがあるので、質問がある人は聞きたいことをチャット欄に書いてください」とだけ頼んで、セミナーを開始しました。

日本人相手のセミナーの時は、最後のQ&Aのパートはドキドキします。質問がすぐ出ないことが多いので、心理的に安全な雰囲気を醸し出すようにします。最初の1人が質問すると、あとは次から次へと質問が続くので一安心ですが、日本人にとって人前で質問する緊張感はとても大きく、できれば何も発言したくない人も多いからです。

外国人の参加者はどうだったかというと、Q&Aの時間になりチャット欄を見てビックリ仰天。山のようにコメントが入っていて、とても20分で全部に答えられると思えませんでした。(後で数えたら、98個の質問が入ってました!)他の人にどう思われるかを気にしている人は誰もいなくて、「無料で聞けるんだから質問しないと損」みたいなノリなのでしょう。セミナーの中で伝えたことや、今回のセミナーにあまり関係ないと思われる質問も入っていて、そもそも姿勢が日本人より気楽なことがわかります。

外資系ではアサーティブネスが大事ですと、日々お伝えしている私も、流石に驚きました。そう言えば、オーストラリアの学校で先生が質問すると、ものすごい勢いでオーストラリア人にクラスメートが発言していたことを思い出しました。留学組は英語力でかなわないですし、あそこまでの瞬発力で先生の質問に喰らいつく人はいませんでした。ベースが狩猟民族で、アサーティブであることを良しとして教育を受けた来た人たちとの差を埋めるのは、それなりに覚悟も努力も必要ですね。

外資系で働いている外国人は、日本滞在期間が長くなると「郷に入れば郷に従え」で、少しは遠慮したりするようになりますが、根っこでは、これだけアサーティブに自分をPRしたり主張できる人達なのだと認識したいです。海外とのビデオ会議で、自分がまだ話をしている最中なのに遮られることがあり、日本人は驚きます。でも彼らのスタンダードからしたら、マナー違反ではないのです。気後れすることなく、"Let me finish."と少し強すぎるかなと思うような口調で言い切って大丈夫です。相手の名前を呼びかけると、相手が注意を向けていったん止まるので、その隙に自分が話すとさらに有効です。例えば"Anshuman, let me finish."のように。

これから外国人と仕事をする人も現在すでに仕事をしている人も、英語でのコミュニケーションにおいては、このアサーティブネスを意識したいです。良く考えると日本人は、確かに田畑と向き合ってきた農耕民族ですが、同時に海洋民族でもありました。眠っているDNAを活性化させれば、アサーティブになることも問題なくできるはずです。そのためには、日々の生活の中で同調しなくて良い時に、自分の意見をさらりと日本語で伝えることから始めましょう。

* コロナ前、ランチタイムに誰かが「生姜焼き定食」というと、「あ、俺もそれでいい」と言っていませんでしたか? 本当に生姜焼き定食が食べたい時はともかく、"なんとなく皆んなと同じ"をやめて、自分はどうしたいのか口にする習慣をつけましょう。小さなことからでいいのです。

* 同調圧力が強い場面で、反対意見を言いにくい場合は、提案型の文章にすることも有効です。「○○してください」と言い切るのではなく、「○○してはどうでしょうか?」「○○しませんか?」と相手を巻き込むようにすると応援されやすくなります。

人前で自分の意見をいうことを良しとされない同調圧力の強い国で育つ日本人ですが、グローバルに仕事をする場面では、「アサーティブネス」が必要になります。外国人と一緒に仕事をする場面で相手の自己主張が強くて、ストレスを感じることがあったら、彼らに「悪気は全くない」し「自分の存在をアピールすることを良しとする文化で育っている」ので、ストレスを感じることは無意味なことを思い出せますように。

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('O'*) 右脳の女王からおまけ ('O'*)

右脳の女王は、感情移入の激しい人でもありまして、侍映画を観ていると主人公が切られそうになって、思わず目をふさいだり大騒ぎ。夫に言わせると「主人公が切られるはずない」そうです。その冷静さが私にも欲しいわ。

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鈴木 美加子(グローバル人材塾)
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