ビタミンB3のポジティブとネガティブな副作用 No.11
エイブラム・ホッファー博士の論文を翻訳しました。
昔、FBへ投稿したのをこちらにまとめておきます。
No17までありますのでお楽しみに!
今回はNo.11です。
ナイアシンの肝機能検査への影響
1950年、メチル欠乏症によって生じる病気が発見されました。
これは、動物による実験で脂肪肝が生じた、というものでした。
ナイアシンおよびナイアシンアミドは、いくつかのメチル受容体のうち、
2つのメチル基と結合します。
したがって、このビタミンの大量投与がメチル欠乏を引き起こすと
考えることには意義があったのです。
メチル受容体のひとつとしてノルアドレナリンがありますが、
ノルアドレナリンのメチル化はアドレナリンを産生します。
私達は、ノルアドレナリンによるアドレナリン産生を阻害することに
よって、アドレナクロムの産生を減少させることを仮説しました。
これは統合失調症の治療において、ビタミンの方向性を示す多くの要因の
1つでした。
しかしながら、脂肪肝を引き起こす可能性について懸念もありました。
1942年、動物に関する研究は、ナイアシンが肝臓を損傷させることを
示唆しました。
Altschulは、この動物実験を繰り返しましたが、相反して肝臓への毒性など少しも示すことはなく、組織学的および化学的な検査においても
肝臓は正常でした。
私は、ナイアシンで治療している幾人かの患者に試して、肝臓の損傷はないという証拠を再確認しました。
ごくまれに、患者が閉塞性黄疸を発症することがあります。
明らかに反応が起こる可能性がある場合は、黄疸が解消するまでに日常的にナイアシンの使用を止めるようにしています。
患者の1人に、精神状態の悪化が再発し、ナイアシンを再開したところ、
黄疸は再発しませんでした。
20年間において、黄疸の発生は非常にまれで、その症例はありません。
しかしながら、現代の肝機能検査を受けた際、ナイアシンおよび
ナイアシンアミドを摂取している患者の一部に数値の上昇がありました。
医師の多くは、これを肝臓の病理と警告し、ナイアシンを使用によるものだと仮定しました。
パーソンズもこの件を憂慮していましたが、長年の豊富な経験により、
最終的にはナイアシンを摂取による肝機能検査の数値の上昇は、
根本的な肝臓の病理ではないとしました。
ナイアシンは肝臓の毒性とは無関係であると結論しました。
この見解は、1966年から1974年に実施された冠状動脈薬品プロジェクトの
結果によって強固なものとなりました。
これは5〜8年間、ナイアシンを摂取した1,100人の男性を
追跡したものです。
主任研究員のDr.Paul Cannerは、ナイアシンに起因する異常はないと
パーソンズに報告しました。
肝機能検査で上昇した数値は肝臓の病理ではなく、
上限の2〜3倍に数値が上昇した場合のみが異常を示していると
結論しました。
「肝機能を反映する酵素検査における軽度の上昇は、
ナイアシン療法を中止する理由にはならない。」と述べました。
パーソンズは、徐放性製剤(ナイアシンアミド)が肝機能検査の数値を
上昇させることがあるが、それはナイアシンを服用しているうちに
数値は正常に戻ると指摘しました。
しかしながら、肝炎の場合はビタミンを大量に投与してはなりません。
それは有害ということではなく、何かしら起きた場合、
関連性がなくとも、ナイアシンが責められることがわかっているからです。
Capuzziは数十年間、ナイアシンを研究してきました。
患者にレシチンを1日2回、1.2g与えれば、肝機能検査の数値の上昇を
防ぐことを発見しました。
McCartyは、ナイアシンによって作られたメチル基に対する高い需要が、
サモデシルメチオニンのレベルを低下させ、ホモシステインの産生を
増加させる可能性を示しました。
これは、ナイアシンとベタインのサプリメントを使用することで
回避が可能ということです。
しかし、レシチンはベタインよりも非常に安価で手に入れ易いです。
レシチンとベタインの両方がメチル供与体です。
ナイアシンアミドへの肝機能検査の影響はまだ研究されていません。