トゥルク大学とEU共同出資ポスドクプログラムSYS-LIFEと2つの民間財団助成金に採択された
私のポスドク期間が3年間延長された話。
私の海外ポスドク生活の扉を開いていただいた上原生命科学財団の奨学金の期間は1年であった。ポスドク生活を続けたければ1年以内に新たな奨学金/ グラントを獲得する必要がある。
フィンランドでも研究者は競争的研究費を獲得する必要があることは日本と変わりなかった。大学が毎月送ってくる助成金情報をにらみながら、助成金申請を続けた。フィンランドが福岡県と同程度の人口の国と考えると、民間財団の数が日本に比べて豊富であるように感じた。基本的にはフィンランドに住んでいれば国籍は問わない助成金が多かったので大変ありがたかった。手元のメモを見ると1年間で助成金に9回応募していた。
いつものことであるが、不採択の知らせがつづく。今回は滞在許可書の有効期限(8月末)との戦いであり、どんどん日がのびて夏休みムードが高まるトゥルクの街の空気に反比例するように私の睡眠時間は減っていった。
しかし、とうとうXデーはやってくる。娘を保育園に送り、ふと手元のスマホを見ると”application granted”とのメールのタイトルが目に飛び込む。心身医学研究の助成をするフィンランドの民間財団 Signe and Ane Gyllenberg Foundationからの採択通知だった。とても嬉しかった。それだけでは数ヶ月の滞在延長しかできない額であったが、フィンランドにきて自分で立てた研究計画がフィンランドの方に評価されたという事実は私をとても勇気づけた。フィンランド社会の一員になっていけるような気がしたのだ。
結果を報告したボスからは”ketchup bottle has opened” という言葉をもらった。最初の一滴を得るには何度のボトルを振る必要があるが、一度蓋が開けばその後は十分な量を簡単に得られるという表現である。ボスの言葉の通り、数週間後に医学および生命科学研究に対する助成を行う民間財団Minerva財団の歯科研究助成に採択された。最後に本命であった、トゥルク大学とEU共同出資ポスドクプログラム(SYS-LIFE)に採択された。欧州委員会による研究者支援プログラムにトゥルク大学のポスドクプログラムが既に採択されており、第一弾として11名のポスドクが公募されていたのだ。このプログラムは3年間であるため、私のフィンランドポスドク生活が3年間延長できることが確定された。保育園の夏休みのため日本に一時帰国する2日前のことだった。