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「自分だけでなく周りと一緒に成長したい」就活を経て生まれた想いの変化。目指すのは”人の価値が最大限発揮される世界”ー岩澤龍さんインタビュー

岩澤龍です。新卒4年目で、住宅関連のベンチャー企業で人事として働いています。古い家を買い取ってリフォームし販売する事業を行っていて、1年目は営業、2年目からは人事として主に新卒採用の仕事をしています。

静岡県三島市の出身で、高校までを三島で過ごしました。小さいころから本や漫画を読むのが大好きで、色んなジャンルのことに興味があったので、周りの子に比べて知識量は多かったと思います。小学5年生からは卓球を始め、高校時代は県大会にも出場できました。
僕の人生に強く影響を与えたのが5歳上の兄です。僕は兄と、祖父母のことも大好きで、親が「私は育児してない」とふざけて言うほど、兄と祖父母と一緒に過ごしていました。兄から認められたいとずっと思っていて、卓球を始めたのも、本や漫画をたくさん読んでいたのも兄の影響です。友達には驚かれるのですが、兄とは中学生くらいまで毎日一緒にお風呂に入るほど仲良しで、お風呂ではその日あった出来事を話したり勉強を教えてもらったりしていました。すごく楽しくて、知識の交換をする時間、人と教え合う時間が昔から好きでした。
家族もみんな僕のことが大好きで、愛されて育ったなあと感じます。


「自分だけでなく人と一緒に成長したい」就活という”価値観の交換”で確信した想い

大学時代は自分のやりたいことを言語化して確信できた期間でした。
大学は名古屋工業大学の生命物質工学科に進学し、タンパク質、主にアミノ酸の勉強をしていました。タンパク質の仕組みってすごく面白くて、酸性やアルカリ性といった性質や、温度によって形が変わるんです。たとえばがんの組織はちょっとだけ酸性で、そこにたんぱく質が入ったら形が変わるので、発光成分をいれておいたらそれががん組織であることがわかります。そういった”自分の手を直接施さなくても仕組みで変わる、勝手にうまくいくもの”が面白いと感じていました。

就職活動では「人の成長に関わることがしたい」と思い、インターンシップや就活支援の学生団体に複数参加していました。
大学3年生の夏から就活を開始して、専攻が理系なのではじめは就職も理系職で考えていました。自動車部品メーカーのインターンに参加したのですが、会社の人からあまり仕事への熱量を感じず、違和感を持ちながら理系の就活をする日々。ですがたまたま参加したイベントで就活支援団体をやっている友達に出会い、そこから文系就活への道へ足を踏み入れます。

その友達からのつながりで、学生と若手社会人に向けたキャリアスクールの合宿にも参加しました。合宿では、参加者と一緒に自己分析をしたり、自分のやりたいことを言語化したりするワークショップをメインに行います。そこで主催者の方に言われたのが「仕組み化することが面白くて、人の成長に関わりたいなら、場づくりしたら面白いんじゃない?」ということ。たとえば学生団体などで人の成長に関われるような場づくりで価値提供ができたらと思い、周りに就活支援をやっている人がけっこういたので、そこから就活支援団体に3つ参加しました。

自分の中で「人の成長に関わること」への理解が深まったのが、先輩に誘われて人材会社のインターンに行った時のことです。
社員さんと面談をする中で、「自分が成長するのが面白くて、成長し続けたい」と話しました。卓球の練習では自分なりに考えて、フォームを見るなど試行錯誤して練習したら上達していったこと、受験勉強では解けなかった問題が解けるようになったことや、点数がどんどん上がっていったことなど、”できなかったことができるようになること”に楽しさを感じていたので。
すると、「なぜ成長したいのか?成長してどうしたいのか?」と問われました。正直はじめはわからなかったけど、よく考えるうち「自分だけ成長するよりは人と一緒に成長したいんだ」とそこで気付けた気がします。
僕にとって就活の面白さは、人との価値観の交換ができることでした。社会人の考え方や目標を聞けたり、自分に対してのフィードバックをもらえたりすること、人との関わりの中で自分に無い価値観が入ってくることが面白いと再確認しました。

「今、自分が一番大事にしたいことを大事にしよう」大学院進学ではなく就職を決意した、エージェントからの言葉

就職活動中、自己分析をぐっと進めるターニングポイントとなったのが、3年生の2月に参加した「逆求人フェスティバル」というイベントです。1~2ヶ月かけてメンター(先輩)にESやプレゼンの添削をしてもらって、イベント当日に企業の人にプレゼンをするものです。そのイベントに参加してから、”成長すること=人の考え方・価値観を共有し、更新すること”と言語化されました。自分にない価値観が入って来たり、価値観を共有したりすることが自分にとっての成長であり、それが面白いんだなという気付きがありました。
4年生になってからは自分の就活と並行しながらそのイベントの運営側に回りました。本当は大学院に行くつもりでいたけれど、社会人と話すのが面白いから就活も続けていました。ですがある出会いが転機となり、4年生の夏前に大学院への進学ではなく就職しようと決意して就活を再開することになります。

そのきっかけとなったのが、学生向けの就活エージェントとの会話です。
「大学院に行こうと考えているけれど、将来は人の成長に関わることがしたい」ということを僕が言うと、エージェントから「人の成長に関わることを考えた時、大学院に進むか就職するかどっちがいいと思うか」と聞かれました。
社会人の方が成果を求められ、周りの基準値が高い状態で働くことができます。一方、大学院だと狭い価値観になってしまうことが多く、社会に出て色んな価値観を知った方がいいと思ったので、それなら就職する方がいいと考えました。大学院へ行きたかった理由は、普通の人はあまり行かないので単純に好奇心があったのと、周りと違うことができることに興味を持っていたからです。
さらにエージェントからは「自分が一番大事にしたいことを今ないがしろにしていたら、この先自分が大事にしたいことを大事にできなくなるよ」と言われ、その言葉が深く刺さりました。

それは、今まで自分が本当にやりたいことを後ろ倒しにする人生を送ってきた自覚があったからです。たとえば小学校時代に1年だけ野球やっていて、野球が好きだったのに卓球のほうが上手だったからやめてしまった、”本当に好きなことを選ばなかった経験”がありました。

大学の進路選択でも、本当は早稲田大学のスポーツ科学部に行ってスポーツトレーナーになりたかったのですが、そこは文系の中でも学費が高いんです。親がぼそっと「学費が高い」と言ったのを聞いて勝手に忖度してしまって、国公立に進む道を選びました。
大学生になってから思っていたのは、本当にその大学に行きたければ奨学金を借りるとか何か道はあったはずで、自分はそれをやらなかった。本当にやりたいことだったのか?意思が弱かったのではないか?と悶々としていました。だからこそ、エージェントの言葉が響きました。
4年生の夏から就活をするのは大変だけど、自分が一番大事にしたいことを大事にしない人生を歩んでしまうかもしれないと思ったとき、「そういう人生って嫌だな」と思ったんです。

「今自分が大事にしたいことを、大事にしよう」。そう思って就活することに決めました。
人の成長に関わるという面で考えると人材系が多いけれど、自分はそれで対価をもらいたいかと言われるとそうではないと気付きました。会社を決めるにあたり、部下や同期、上司といった組織の中で人の成長に関わりたいと思い、組織の制度として早くマネジメント業務をできる体制があって、人に何かを届けたいと思ったときに受け容れてくれる風土かどうかを意識しました。結果として住宅業界のベンチャー企業である現在の会社に入社を決めました。

大切にしている価値観「自分にしかない言葉で、伝え、残し、つなげていく」

「人の成長に関わること」を画として表現するなら「つないでいくこと」で、「人からもらったたすきを次の人に渡すこと」と考えていました。ですが、数年前にあるコラムを読んでからこの表現についての解像度がより上がりました。

人間を一つの箱・入れ物だと考えたとき、人からもらった言葉や人と一緒に見た景色、人と一緒にした経験など、色んな人の色、形をしたものが自分の中に入っている。そして単体で見れば他の人と同じものでも、その組み合わせ自体は自分にしかないもので、全く同じ組み合わせの経験をしている人はいないと思うんです。だからこそ、箱の中から掴んで何か言葉を発するとき、アクションするとき、自分にしかない言葉になります。
つないで受け継いでいきたい、残していきたいという考えを言語化できたのは大学生になってからですが、昔から潜在的に大事にしてきたと思います。部活で後輩にアドバイスするのが好きだったり、4年間アルバイトを続けた居酒屋では、「バイトでもなにかしら時給以上のものを持って帰ってほしい、もっと良いお店にしたい」と周りに対して声掛けをしたりしていました。もう亡くなっているのですが、おじいちゃんおばあちゃんのことも大好きでした。自分が大好きな人たちが残してくれたものを途絶えさせてしまったら、おじいちゃんおばあちゃんの価値は変わらないし、それを決めるのは自分。だからこそもらったものを次に繋げ続けていきたいと強く思いました。

自分にしかない組み合わせで、大切な人たちから今まで受け取ってきたものを自分にしかない言葉で相手に伝え、残し、つなげていくこと。それによって、大切な人が残してくれた”価値の度合い”を間接的にではあるけれど高めていくこと。これこそが自分の生きる意味で、人生をかけてやり続けたいと思っています。

人の価値が最大限発揮される世界を目指して

今の段階では自分の周りの人に何か価値提供ができればいいなと考えています。例えばプライベートな関係、もし自分に家族や子供ができたとしたら、そこで一番に相談されるのが自分でありたいですね。なんとなく相談に乗るのではなく、ちゃんと価値を提供したいと思います。今までも相談に乗ったり人の話を聞いたりする機会はありましたが、その悩みが晴れない経験もあって、自分はこのままだったら目の前の人に価値を提供できないと痛感していました。大事な人に価値を届けられるようになりたいです。

将来的にはもっと多くの人に影響の輪を広げていきたいと思っています。1対1だと限度があるので、場づくりや仕組みづくりなどをして、幅広い人の価値観の交換、その人の価値観が変わっていくようなことをやりたいです。

そして、人の価値がもっと最大限発揮されるといいなあという願いがあります。具体的には、人との比較や評価を気にせず、自分の大事にしたいことを大事にできて、精神的な制限がない世界を目指していきたいです。僕自身、人との比較や人からの評価を気にしたりして行動を制限してしまったことがあったので、そうやって行動ができない人たちにアプローチしたいです。
就活を通して人の成長に関わりたいと思ってからはコーチングや心理学を学び始め、今はコーチング講座を受講しています。会社でも先輩と、コーチング部を作りたいねという話が出ていて、そういう企みも徐々に進んできています。

価値が提供できたと感じるのは”自分の働きかけによって相手の行動や言動が変わったとき”ですが、人に対しての価値提供ってどこまでいってもエゴでしかないとも思っています。自分がこうしたいから、相手に対して何かをする、みたいに、自分が目指したい世界観があって、最終的にはそのために周りを使っている感覚になると思うんです。なのでそれを自覚してないといけないし、エゴであると自覚したうえで相手にとって何がよいのか考えることを大事にしています。
でもどこかのタイミングで、心から相手のために動けるようになれたらいいなと思っています。


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