「チャーハンで何かやれば?」きっかけは仲間の言葉。“チャーハン栄養士”佐藤樹里さんの原点
仲間の何気ない一言でチャーハン好きを“解禁”
――佐藤さんは今までに5,000食以上のチャーハンを食べてきた“チャーハン栄養士”として活動されていますが、そもそも「なぜチャーハンなのか」を教えてください。
フリーランスになる前に起業塾でコンサルを受けていたときに、仲間にぽろっと言われた一言が始まりです。
そのときはチャーハンとは全然関係なく、管理栄養士としてダイエットをサポートするサービスを提供していたんですけど、1年くらい全然結果が出なくて。売上がないのでお金はなくなるし、メンタルもかなりきつかったです。そんな中でフリーランス仲間とご飯に行くタイミングで、私が「チャーハンを食べたい」って言うことが多かったんですね。
もともと大のチャーハン好きだったんですが、チャーハンってカロリーが高いし、管理栄養士を名乗っている以上あまり公言しないほうがいいかな、と思って隠していたんです。
そうしたらフリーランス仲間の一人が「チャーハン食べてる時の樹里ちゃんすごく楽しそうだし、チャーハンで何かやってみたら?」と提案してくれたんです。それなら管理栄養士であることを活かして、チャーハンとは真逆のイメージである「ダイエットチャーハン」を作ってみよう!と。それがチャーハン栄養士としてのスタートでした。
――それからはどんな活動をされていたんですか?
ダイエットしている人向けに「米なしチャーハン」を開発して、普及させるためのイベントをやっていました。芸能人やタレントさんでチャーハン好きを公言している人があまりいなかったこともあり、イベントの様子をこまめにSNSで発信を行っていたら、そのうちメディアにも呼ばれるようになりました。
実は“チャーハン栄養士”という肩書は自分から名乗っていた訳ではなく、テレビ番組のプロデューサーさんから名付けてもらったものなんです。それから周りの人も“チャーハン栄養士”として認知してくれるようになって、今に至ります。
――メディアにも引っ張りだこで、いまや「チャーハンといえば佐藤さん」といっても過言ではないほどですよね。ちなみにいつ頃からチャーハンが好きだったんですか?
小学校の頃からです。初恋の男の子がいて、その子のおじいちゃんの家が私の実家の近所にある中華屋さんだったんです。そのお店でよく出前を頼んでいたんですけど、そこのチャーハンがすごくおいしくて。私は必ずチャーハンを頼んでいて、子どもながら一人前を完食していましたね。
気づいたらその男の子のことはどうでもよくなっていましたが(笑)、チャーハン好きは変わらず、大学生になるとチャーハンブログまで書いていたほどです。
――チャーハンにそんな素敵な思い出が!今ではレシピ本も出版されていますが、子どもの頃から家で料理を作られていたんですか?
実を言うと、昔は料理が本当に嫌いだったんです。大学の調理実習では何回も試験に落ちましたし。
だけど、チャーハンってすごく簡単じゃないですか。小学校の頃は包丁すら握れなかったので、市販のチャーハンの素でぱぱっと作れるのが好きで、たまに家で料理をする機会があれば必ずといっていいほどチャーハンを作っていました。
「時間やルールに縛られずに働きたい」海外生活を経てフリーランスの道へ
――ここからはフリーランスになるまでのことについて聞いていきたいと思いますが、佐藤さんは社会人になってからもフィリピンへの留学やカナダでのワーホリなどいろいろな経験を積まれていますよね。フリーランスを目指していたのはいつ頃からですか?
カナダでの1年間のワーホリから日本に帰国して、スポーツ栄養の会社で事務職として働き始めた頃です。
カナダに滞在中は老舗レストランのシェフアシスタントとして働いていたのですが、仕事の自由度が高くてみんなフレンドリーでした。盛り付けはある程度は決まっていてもトッピングは自由だったり、上下関係があまりなく仕事中にも同僚とハイタッチをしたりするぐらいで。もちろん大変なこともありましたが、楽しく生き生きと働けていました。
――たしかに海外で自由な働き方を経験していると、より日本の会社との違いを実感してしまいそうですね。
そうなんです。帰国してから勤めていた会社では、日本特有の暗黙の了解のようなものや細かいルールがあり、その中で働くことに疑問を持ってしまったんですよね。
「上司が帰るまで帰ってはいけない」という雰囲気があって、定時に自分の仕事が終わっていても帰れないことがよくあり、そういった部分に違和感を感じて結局1年で退職してしまいました。
外国の職場のように厳しい上下関係やルールに縛られない自由な働き方や、一緒に働く人を選べる点に魅力を感じて、転職ではなくフリーランスの道を志しました。それからは起業家やフリーランスの方と積極的に関わりを持つようにしていましたね。仕事が終わってからフリーランスになるための勉強をしたり、モニターを募って栄養カウンセリングをしたりと準備を進めました。
――フリーランスになったばかりの頃はなかなか売上が立たない日が続いたということですが、ターニングポイントとなったことはありますか?
初めてチャーハンイベントを開催したことでしょうか。当時のビジネスの師匠に「100人集めてイベントをやろう!」って言われて、代々木公園でお花見とチャーハンを掛け合わせたイベントを開催しました。減量している人に向けた、低糖質高タンパク質のチャーハンである「Vチャー」を振る舞うお花見イベントで、3カ月くらいかけてレシピを開発しました。
――100人ですか、すごい!「集まらなかったらどうしよう」とか不安になることはなかったですか?
なかったです。当時は駆け出しだったのもあって「集められるっしょ!」という根拠のない自信がありましたから。代々木公園の近くのレンタルキッチンを借りてフリーランス仲間にも協力してもらってチャーハンを作って、公園までみんなで手で運んで。手伝ってくれたみんなに感謝です。
結果的に109人集まってイベントは大盛況。そのイベントをきっかけに人脈が一気に広がって応援してくれる人も増えましたね。
――イベントを機に、チャーハン栄養士としての活動やメディアへの露出が徐々に増えていったんですね。
以前、チャーハンを食べながらダイエットをして、2年で8kgの減量に成功したことがあるんです。外食で食べることは少なかったですが、家ではお米の半量を鶏むね肉に置き換えたチャーハンをメインに食べつつ、トレーニングもしっかりして。
その後出場したボディコンテストで入賞したことがメディアの方にけっこう注目されたみたいで、そこからテレビに呼んでいただくことも多かったです。
私としては頑張ってメディアにアプローチしていた訳ではなく、自分にとって楽しいことを続けていたら勝手に呼ばれるようになった感じです。あとは番組受けするようなことを言うとか多少は意識していますが、基本的にはプロデューサーさんの言うことに従っているので、メディアに呼ばれ続ける秘訣のようなものは特にないです(笑)本当にありがたいことですよね。
夢があるならとにかく行動すること、そして楽しむこと。
――仕事やプライベート含め、今後やっていきたいことがあれば教えてください。
仕事と言えるかどうかわかりませんが、“チャーフェス”をやりたいなと思っています。去年はキッチンカーを借りて一般のお客さんにチャーハンを販売するイベントをやっていて、それをラーメンフェスみたいに、もっと色んなお店を呼んで大規模なイベントをやりたいという野望があります。
チャーハンが好きでも、意外と隠してる人っているんですよ。話してみると「実は私もチャーハン好きなんですよ」みたいな。そういう“隠れチャーハン好き”を集めたいですね。
――チャーフェス、ぜひやりましょう!プライベートでは何かありますか?
プライベートでは、親子留学に行きたいです。娘が今1歳なんですが、もう少し大きくなって言葉をしゃべれるようになったら、フィリピンとかカナダとか毎年色々な国に行って、多文化の人と触れ合う体験をしてもらいたいです。
というのも、私が海外に行って多様な文化を持つ人と触れ合ったことで価値観がガラッと変わったんですよ。もともと完璧主義だったのが、物事への許容範囲が広がったんです。なので、娘にもそういう経験をしてほしいなと思いますね。
――では最後に、「夢に向かって頑張る人」をサポートするアスドリファクトリーの代表として活動をされている佐藤さんから、メッセージがあればお願いします。
もし何か夢があるなら、とにかく行動すること、そして楽しく行動することが大事です。私なりの楽しむ秘訣は、自分がやりたいことを、人を巻き込みながらやっていくことです。むしろ私が人を巻き込んで一緒にやっていかないと続けられないタイプなので、もし私と一緒のタイプだったらその方が頑張れると思います。
夢に向かって、一緒に楽しんでいきましょう!
――今後もご活躍を楽しみにしています!今日はお話を聞かせていただきありがとうございました!
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