英訳版『三体』
今、Netflix とテンセントの両方でTVシリーズ化されている『三体』の英訳版(The Three-Body Problem)を読んでみた。
とても面白く、ページをめくる手が止まらなくなった。感想としては、SFとしては文章は読みやすい部類なので大人の英語学習者、特に科学分野の話が好きな人におすすめしたい。
ざっと概略をいうと宇宙人の話だ。
三体星人とでも呼んでおこうか。
私的には、とても好きな分野だった。
宇宙人目線から見た地球が描かれているのも非常に良い。
材料科学の基礎について考えたことある人や、量子力学、宇宙の話が好きな人は楽しいと思う。それに加えて、アカデミックの世界の話も絡んでて良かった。
中国の共産党政権の歴史。そして、政府主導の人材育成のために発動された「三体」。プログラムされた仮想空間と、宇宙文明が重なり合う様子がドラマチックで最後まで綺麗にまとまっていて天国と地獄が重なる様子が見事だった。
科学は未だ解明されていないことが多い。高性能の素粒子を用いた加速器で高性能のコンピュータを作り上げれば人類文明の基礎を解き明かせるかもしれない。
そして、量子力学にみられる矛盾や答えがない解も探すことができる。そうすれば、あらゆる事が明らかになり不均衡がなくなりひとつになる。
どんな技術でさえ、発展させることが可能になっていく。それは宇宙人しかできないけれど何光年も離れた先にいる……
科学の謎を考えると、宇宙の不思議やその中にいる人の小ささ。そして重なり合う部分について色々想像を膨らましたことがある人はいると思う。
このようなSFでとっておきの題材を見事に文章化してあり、尚且つ読みやすく楽しかった。
人間は遥か昔に可能だったことが出来なくなっている可能性もある。応用された科学を極めすぎて不均衡が生まれているかもしれない。
基礎科学の真理を追求すれば、様々な問題が解決するかもしれない。余計な雑音はいらないのだ。遥か星から交信を受け取るのと同じように。
中国の中に作られたアカデミーの特殊な環境は、それが天国に転ぶか地獄に転ぶかワクワクドキドキさせる状態を作り出している。
ピラミッドは遥か昔に作られたけど、すごく正確な形。ひょっとしたら発展していたのに、荒廃してしまったのではないか……。そして文明がバラバラに粒のように散ってしまい全員滅びてしまったのではないか。
三体問題は、科学を学んだ人にはとても謎なのだが面白くしかし未だ解けない。現代は高度化されているはずにも関わらず……
何かもっと単純なシンプルなことなのではないかと思ったこともある。そんなモヤモヤがちゃんと言語化されていた。
私は材料科学をやってきた人間なのだが、理論を証明しようとしても観察しないと正しいとは限らない。けれど、少しブレるだけで大きく変化し再現性をとる事が大変だったことがある。
精密な結晶を作る規則正しいプログラムが出来る未来はあるのだろうかとか考えたこともある。実際、そういうシミュレーションも複雑な式だけどまだ全部分かってはいない。
もしかしたら、難しくしてしまっているのではないか??などとぐるぐると頭で考えた事も見事に言語化してくれている。そんな感じの記憶を思い出し何やらスッキリとした。
不均衡な状態で突き詰めすぎると恐ろしい未来が来る。しかし、科学の基礎に近づけばその不均衡が減り静かに太陽が照り続けてくれる。
良い結末にも悪い結末にも取れる。
科学をやるものには、責任がある。
SF好きな人には、英語慣れにおすすめな本。多分だけど、理系で真面目に研究してきた人などは馴染みがある単語も多いはずなので難しくないのではとも思いました。
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