盗作防止の工夫
今回は英語圏で行われている、盗作防止の工夫について書いていきます。
特に、ひとつの例としてコンピュータによって行う盗作度を判定するシステム Turnitin というものについてです。
このシステムは、今や世界中の大学で使われているもの。日本の中にある大学でも使用している所はあるようです。私が卒業した 西オーストラリア州のCurtin University でも使用されていた。
これはどういう仕組みかといえば、単位を与えるかどうか判断する際に必須の課題を提出する時、文章の場合の多くは、このTurnitin というシステムにいったん盗作率を判断させる仕組み。
パソコンで制作したデジタル文書を、このTurnitin に読み込ませ、
他人と同じ箇所がないか
参考文献を写したり参考にしていたりした場合は、しっかりそれを記載しているか
を判定するものになっている。
少しでも他人と同じ箇所があり、それを隠していると判断された場合はそれが検出される仕組み。
そして、%で表示される。
この%が多すぎれば、盗作と見做されその点数は0点とされたり最悪落第させられる場合もあった。%を無視して提出し、その割合が高かったら調査がなされる。
そして、同じ文章が数人で見つかれば連帯責任で処分される仕組みだった。
それなので、私も課題提出する時は引用や参考文献の書き方をかなり注意したし、人に文章の書き方を拝借しないようにかなり注意を払っていた記憶だ。これにかなりの神経を尖らせていた。
ここで最近の問題となるのは、ChatGPTをはじめとするAI の登場である。
ものすごく簡単な言い方をすれば、プログラムによってAIはネット上を移動し機械学習をしていっている。
そうして、要約したりする能力がある。
これを上手く使えば速くできると考え、使っている学生もいるだろう。
しかし、その情報をどこで学習してきたか明確ではない状態でもしそのまま書き写す人が増えたらどうなるだろう。
大量に同じような文章が提出されるはずだ。
多くの盗作者が産まれるだろう。
実際に他の問題もある。
AIは正確かどうかは別として、ただネット上を彷徨い記憶するものなので、使う側が考えなければ間違った情報をあたかも正しいように生成してしまうようなものにもなる。
使いこなそうと思えば、正確な知識がなければ出来ない。少なくとも、情報がどこから来たかが理解できないとまずい。
現に専門家は危機感を抱いているので、この盗作防止の工夫であるTurnitin にAIの文章を検出する機能を拡張していっているという話だ。
自分で頭を使いながら文章も生成しない、そして与えられた情報だけを単にコピーする。
そういう独創性もない、自分で組み立てもできない人間を有能とする教育機関は碌でもない。
まともな考えを持った教育機関は、Turnitin のようなシステムを使いAI検出も行い、尚且つ一層盗作防止の仕組みを作らなければと工夫している最中。
そして、コピーを見つける頻度が多くなっているから過去に戻り紙で作文させよう!みたいな場所も出てきていると耳にする。
便利な道具もただ簡単だからという理由だけで、上手に使えなければ、将来「盗作犯」とみなされる危険だってあるのだ。
もちろん実務や学術の分野では、書き方のフォーマットはあるのだが文章の構成は丸写しでは良くない。
また、情報が正確かどうか、それに加え何処からとってきた情報でそれはどれくらい信頼性があるのか又はないのかを判断して文章を生成しなければならない。
自分で組み立てる事ができる能力があってこそ、便利な道具も生きる。
最初から全てAIに頼るなんてとんでもないのだ
ネット上には出鱈目な情報や、商売のためにかなり偏りが激しいポジショントーク、素人が匿名で妄想で書いた文章もある。それらを、全て総合的に拾うかもしれないのがAI。
又は知識がないものがAIに指示を出し、選んで学習させるかもしれないのだ。
現にChatGPTでも、特定の情報でバイアスがかかっていることが確認されている。
機械学習である以上、全てのAIにそういう危険性はある。
世界はとてつもなく盗作に厳しい。
作品や執筆者も何も許可を得ず、使われることにはNOと大きな声を上げるのが主流。
自分で遊んでいる範囲ではなく、正式な文章などで道具に委ねすぎれば、盗作したと思われかねない観点からも危険なのだ。
なので、もしAIという道具を使用したいなら、英文もその例に漏れず、自分で組み立てるようになった上で使わねばいけないのだ。
道具も土台がない人間が使えばただのゴミになってしまう。
盗作防止の工夫が世界でされていることからも、道具に頼りすぎ自分の頭を使わない状態であれば、悪気がなく犯人になってしまうとかも起こり得てしまうことは頭に入れた方が良いだろう。