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『コングレス未来学会議』

いやあ、面白い作りですよ。この『コングレス未来学会議』(原題:The Congress) という映画は!

前半は実写、残りの殆どは薬で幻覚をみてトリップしたようなアニメーション映像が続く。

ぶっ飛んでていい!

制作がイスラエルとフランスの合作というのも影響していると思うけど、ハリウッド映画の皮肉もさりげなく入れています。

そんなにスッキリとは分かりにくい作りなので、(というか、確実にわざとやってるはずです。あらすじ的には…)万人には受けないかもとは思いますが私は良い映画だなぁと思いました。

すごくしっかりとSFしていました!
驚いたのがこの映画のベースになった原作小説は1971年に最初に出版されたとの事…。なんかすごいなぁと、感心。

内容を観ると、あながちこんな未来も近いうちに来ないとも言えないなとか真面目に考えちゃう瞬間もあってブラックジョークのつもりっぽいけど、なんかいろいろと考えちゃいましたね。

主人公は映画に出演してきた女優さんです。その撮影方法の変化の流れから、段々とあらすじが、今でいうネットでの空間上の自分を変える事ができるアバターやメタバースのような概念にシフトしていく。

メタバースは仮想空間に入るものですが、この映画の面白いところは、これを医療ビジネスに置き換えている所です。薬で幻覚を見せる事で意識を飛ばすんです。

結局は、現実も幻覚も脳内物質の生成により見えているものだからそんな変わらないじゃないかという概念がある世界。

そして、副作用的なものができれば時間軸をいじる事もできます。一旦、そのキャラとやらを凍結して戻す事をする。この技術も完全に不可能とは言いきれない世の中になってきているなぁと…。

しかし、その時間軸とやらも薬で感覚が変わる以上通常の流れではない感じなんです。

もう、いい加減、わけわからんぞーって感じ笑

本物と虚構が比喩でバンバン出てきます。トリップしたような画とともに。ほんとクレージー笑

すごい考えさせ、観る人をあっちこっちにわざとい行かせ、振り回しながら問いを投げかけてくる面白い映画。

現実が苦しい時には、いつでも楽園に逃げ込むことができます。それが虚構の世界。
しかし、それは本物ではない。もがき苦しみ格闘する現実を選ぶ人もいる。

どちらの世界を選ぶか決めた時、本物と虚構をどちらを選ぶ人もいます。

権力者に薬で操られ幻覚を見ることで感じる幸福
自由から苦しみを得ながら格闘する方を選ぶ幸福

どちらの人も存在する世界において、

どちらも同じ脳内物質が生成されるんじゃないのか!

あなたは“自分で”どっちを選ぶんだい?

という話。

ちなみに原題のThe Congress は議会の意味。物語の途中で主人公が意志を持ち反抗する場です。自らの生を持って演じていた女優さんなんだなぁと伝わる。話の核の部分です。

ディストピア物として良作でした!

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