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大勢の登山者が急ぎ足で登っていく
それに混じって私も急ぐ

日の出前
薄暗く靄がかかっている

見上げると空は暗く
見下げると雲が見え
人々のヘッドライトが天の川のように連なり
ここが星空の中かのよう

頂上まであと少し
その「あと少し」が遠い

歩幅の広い岩の階段は
一歩上がるだけで息切れが増し
続けてもう一歩へと勢いをつけるのが辛い

後ろの人に抜かされる
少しでも足を止めると前と距離ができてしまう

周りの人がひたすらに上がって行くので
若い自分の体力が疑わしくなる

頂上付近まで来たらもう
人を動かすのは体力ではなく思いなのだろう

「日の出を見たい」「頂上まであと少し」
という欲望が人々を上へと動かしているのだろう

必死さから伝わるその思いの強さを
他人事のように尊敬する

登らなければ

「これを登ればあの子と両想いになれる」

私は活力になるおまじないを
心の中で唱えながら重い足を動かした

(思い返すと足と同じくらい私の想いも重い)

登山は人生と同じだ
あまり頂上のことを考えたり
上を見ながら登っていると
気が遠くなってしまう

それよりも今一歩足を前に出すことに
集中すればよい
その一歩が確実に自分を頂上へと近づけている

〜続く〜

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