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「100聞は1デモに如かず」- 生成AI導入の試行錯誤から見えてきた実践アプローチ
11月21日、弊社が開発・提供する会話型AI構築プラットフォーム「miibo」の公式パートナープログラム「miibo Partners」向けに、限定イベントを初めて開催しました。
コンセプトとしては、「こういうことが分かった、これでうまくいった」という知見をどんどんオープンにしていき、一緒にナレッジを共有・構築していくこと。
弊社からは、生成AI導入プロジェクトを成功させるための試行錯誤と、その過程で得られた知見を共有しました。今回はその内容を大公開したいと思います!
この内容が「ベータ版」として議論が進み、生成AI導入のベストプラクティスを作る足がかりになれば嬉しいです。
「魅力的」と「導入」の間にある深い谷
「手応えが持てる時代がついに来た!」
生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)の登場により、DXが圧倒的に進むだろうという期待が高まりました。
しかし、実証実験を超えて現場に本当の意味で浸透しているAIアプリケーションは、まだまだ限られているのが現状ではないでしょうか。
これほど魅力的な技術である。なのに浸透が進んでいない。
このギャップはなぜ起こっているのでしょうか?
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これに対して、miiboは1つの仮説を持っています。
その正体は、「何が起きるか分からない不安感」。
恐らく、AI導入を始めようとした時に、クライアントの頭の中には不安の声が次々と浮かんできます。
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これらの疑問が渦巻く中で、前に踏み出せる人は「相当特殊な人」です。
裏を返せば、これらの疑問が解消されない限り、プロジェクトの実現は極めて困難なのです。
結果として、導入が進まない、あるいは商談の期間が異常に長くなるという事態が発生しているのではないでしょうか。
深い谷を乗り越えるための仮説
先ほどの仮説を乗り越えるために、miiboでは成功に向けた2つの必須要素を定義しました。
「充分に魅力的である」こと
「プロジェクト全体の見通しが大体立っている」こと
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この2点をクリアすることで、受注する角度が上がり、安心して任せていただける関係を構築できると考えています。
ではそのためには何が必要か?
それは「未来からの逆算」をクライアントに示すことです。
「3ヶ月後、あなたの組織の中で活用が進んでいる生成AIアプリケーションが導入されました。」
この理想の未来から逆算して、プロジェクトを組み立てていく必要があります。
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例えば、クライアントの「見えないモヤモヤや分からない不安」を解消するには、
どんな体験が待っているか
どんな便利なものが実現されるか
どんな障壁があり、どう乗り越えたか
どんな困難があり、どう対処したか
を明確にする必要があります。
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そして、それをスケジュールに落とし込みます。
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パートナー企業様限定でテンプレートを共有しています
こうすることで、クライアントの不安は解消され、更には「他にも何か起こるかもしれないが、この企業に任せておけばきっと大丈夫」という安心感を与えることも出来ます。
miibo流のAI導入プロジェクトを成功に導く実践的アプローチ
ここからは具体的に、この「未来からの逆算」を行ううえで、100社以上と対話する中で見えてきたmiibo流の実践的なアプローチをお伝えします。
1. 「100聞は1デモに如かず」
生成AI導入サービスの営業において、サービス説明資料での営業はむちゃくちゃ難しいです。なぜなら、AI導入サービスを販売するのは、無形物を売っているから。
AIに対してリテラシーがないクライアントからすると、いわゆる「魔法の杖買いませんか」みたいなことに近いのです。
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だからこそ、テレビショッピング的にデモで売るのが1番効果的だという結論に辿り着きました。これはまず間違いないと考えています。
2. 要件・ゴールをしっかり固める
AI導入において、要件とゴールを固めておくことは非常に重要です。
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miiboでは要件定義フォーマットを整え、クライアントと丁寧に議論しながら、認識齟齬が極力なくなるように意識しています。
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パートナー企業様限定で共有しています
また、要件整理と並行してゴール設定も当然重要です。
しかし、生成AI導入におけるゴール設定には私たちも非常に難しさを感じています。
なぜか?それは従来型システムと生成AIには決定的な違いがあるからです。
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確率推論技術をベースにしている生成AIは、100%の精度保証を事前にすることはできません。「ハルシネーション100%出ないようにできますか」という話に執着すると、「できません」という話になってしまいます。
そのため、例えば以下のような現実的な評価指標を設定するように意識しています。
カスタマーサポート担当者の満足度80%超
AI分析機能での信頼度95%超
90%の精度+10%の人的チェックでコスト半減
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さらに、課題対応への判断基準も設けておくこともお互いの認識齟齬を避けるための重要なポイントです。
例えば、データの持ち方の問題であれば改善の余地はありますが、LLMの性能限界による制約であれば改善は難しい、といった形です。
3. 運用とPDCAこそ最重要
「開発よりも運用におけるPDCAの最適化の方が重要」
これは生成AI導入の重要な原則です。
「100%ゴールしないと踏み出せない」という考え方では、AIの速度についていけません。アジャイルな進め方を受け入れ、継続的な改善を前提とした開発が必要です。
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特に重要なのは、非エンジニアでの運用を可能にすることです。なぜなら、AIの改善サイクルは技術者だけでなく、実際のビジネス現場で回していく必要があるからです。
私たちも日々試行錯誤を重ねており、以下の取り組みを通じてベストプラクティスの構築を進めています。
最適化チェックシートの活用
どのメンバーでも最適化の話を具体的に説明できるナレッジの整備
定期的な効果測定の実施
具体的な改善アクションの計画と実行
ローンチ時の工夫
対象ユーザーを限定的に設定(例:社内オペレーターのみ)
カスタマーには段階的に展開
AIがあるプロセスとないプロセスのABテストを実施
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パートナー企業様限定で共有しています
また、運用部分を支援する際は、より具体的な最適化のアクションプランを提示しています。「こういうことをやる」「このように改善を進める」といった具体的な作業内容とともに、その効果を説明することで費用に対する納得感を得ていただいています。
これにより、技術的な理解がなくても、ビジネス目線でAIの改善プロセスを把握・管理できる体制を整えています。
まとめ:ベストプラクティス構築に向けて
冒頭で挙げた「魅力的と導入の谷」という課題に対して、「100聞は1デモに如かず」で魅力を示し、「要件・ゴール・進め方の適切な設定」により、導入への不安を取り除くことが、miiboが辿り着いた現時点でのベストプラクティスです。
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そのおかげもあり、最近では実用事例も着実に増えてきています。
とはいえ、本記事で書いた内容は、あくまでmiiboの「今」のベストプラクティスであり、まだまだ「みんなで作っていく」フェーズであると認識しています。
この記事で共有した実践的なアプローチが、皆様のAIプロジェクト推進の一助となれば幸いです。
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