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許すことは、幸せな次のループへの贈り物か、獣を成仏させ葬るための手段か。「君が獣になる前に」最終話感想

※ネタバレ沢山入ってると思います。ドラマ本編を楽しみにされている方は、絶対にそちらを先にご覧ください。

どうも、みーです。
「RANSHIN」から1週間が経とうとしていますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。
ライブレポ、頑張って書いたら1万字を超えたのにも関わらず、たくさんの方々に読んでいただけて、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
また更に、自分の中での曲たちへの解像度が上がった気がしています。

さてさて、そんな時にやってきました「君が獣になる前に」最終回の放送及び配信。
これは、意見絶対割れるだろうな、、
個人的には、腑に落ちるというか、心にいくつか開いていた穴にすっぽりパズルが埋まっていった感覚でした。ただ、別視点から見るとあれって思ってたりもします。難しい。

※ここで記す内容は全て筆者の感想及び推測によるものです。


神崎が最期を2人で決めた意味

「封鎖してくれ。最後の地点まで来たら、全部封鎖でいい。もう、誰も巻き込まない。償わさせてくれ。俺たちは、俺たちで最期を決めたい。」
琴音の毒ガステロを止めるため、猛ダッシュして追いかけた後、琴音を見つけたのにも関わらず、その後は同じスピードで歩きながら、琴音を追っている神崎が、放った言葉。「俺たちは、俺たちで最期を決めたい。」

正直なところ、この最終話を見るまで、2人とも生きてなきゃ意味無いんじゃないかな~とは思っていたんですね。だから、流石にこの展開は想像と全くかすりもしなくて。

だけど、神崎さんの「償いたい」という琴音への気持ち、琴音の「こんな世界なんて壊れてしまえばいい」という絶望混じりの獣性が合致してしまっている以上、いっそのこと終わらせてしまう方がすっきり終えられるのかもしれない、と思ったり。

そして、なんとなく筆者個人の中でも「もう1度ループしてほしいな」という思いが別の事も理由としてあったのでそれは次に。

失ったものが多すぎた

失うもの多すぎません、、?正直なところ、琴音のテロの被害者となり、憎悪を向けたことにより、罪を犯してしまった少年と、それによって亡くなった宮ノ森が本当にもう少しどうにかなって欲しかったな、、って思っていて。

少年は捕まって以降特に何もないので触れないでおきますが、宮ノ森。。
最初は「なんだよこいつ厄介だなぁ」くらいに思ってたんですが、回を進めていくごとに、本当は純粋で、いい子で、本当に琴音の事が好きな子。個人的には「真由ちゃん」って呼びたくなっちゃうくらいに。

そんな子が亡くなりっぱなしでたまったもんか!って気持ちです。
真由ちゃんが生き返って欲しいから、もう1回ループして欲しいまでもある。

あとはジュンペイかな。
正直、捕まってしまったのは自首だし、定義上犯罪となるので仕方ないのですが、撃たれ死んだり、玄奘側に殺されたり、描写が激しいものが多くてですね、、もう少し、彼も平穏になれなかったものかとは思ってしまいました。(が、ジュンペイは致し方ないかな、とも思う。最初犯罪に手に染めたのも、半ば強制だったとしても自分の意思はあるだろうからね。)

また、神崎さんの事で、尚且つ失うとは別ですが
いくら何でも罪を重ねすぎましたよね、、現実的なところをついてしまい申し訳ないですが、こんなに罪を重ねてしまってから、もしこの話で死ななかったとしたら、どうやって生きていくんですかね、、(という率直な疑問だけ置いておこう。)

神崎と琴音は月と太陽、時に入れ替わる

これめっちゃ表現迷ったんですけど、割と月と太陽なんじゃないかなって、尚且つ、その立ち位置は入れ替わってしまう時があるのではないかと。
要は、距離が離れてしまったり、「お前が死ねばよかった」などと言って傷つけられたりしたとしても、結局互いが互いの影響を受けている、意思疎通してしまっているような気がしていて。

どこからそのように感じ取れたか。

まず幼少期。
琴音は幼少期に父親から虐待を受けていて、母親に救いを求めることもできず、神崎家の人たちと過ごしている時間が多かったでしょう。
で、琴音は絶対に笑う事ができない日がいっぱいあったでしょう。でも、神崎さんと過ごしている時は少しでも笑えていた。神崎さんが照らしていれば、自然と琴音も光ることができているみたいな感じ。
逆に、神崎さんのお母さんが事故で亡くなられた時、神崎さんは琴音に対して心を完全にシャットアウトしてしまった。それによって琴音は完全に奴隷の生活を強いられることになる。神崎さんが光らなければ、琴音もシャットダウン。

大人になった後のシーンでも、琴音がビスケットルームに送られた日に2人であったシーン何かは、まさに、神崎さんが照らし、琴音も光っているような状態は見受けられた。
逆に、最終話の最後の方では、完全に闇落ちして、獣になった琴音を見て、受けて、神崎さんは「テロを止める」という強い意思から変わり、「最期を決める」という意思決定をしたように思えました。ここでは、神崎が、琴音から影響を受けているなぁと。琴音は光っていないように一見取れるかもしれないですが、行動力という点では光っている、照らしているかもとか、、

何を言いたいのかさっぱり分からなくなってしまいましたが、()
互いが互いを照らしたり、照らせなかったりして、良くも悪くも影響を与え合っているんだろうなと思います。やっぱり特別な幼馴染であるのに代わりはないんだろうなと思いました。

2人の最期とキスの意味

これらを踏まえて、何故2人で最期を迎えようとしたのか。
それは、琴音の獣を神崎が許し、2人が各々今までやってきてしまったこと、逆に世の中からされてきたことを受け入れ、許す。そういう時間が必要だったから、分かち合う時が必要だったから、ではないかなぁ、と。
先ほど挙げた「贖罪したい意思」と「獣を解き放ちたい意思」の合致もあるだろうが、1番はこれなんじゃないかなぁと。

獣を許し、琴音の行為を許さない限り、根本的解決には至らなかったから。
「テロを起こさないように止めればよかったじゃん」って考えも絶対ある。でも、彼女自身の意思を最大限に受け止め、尊重し、許す。
この一連の流れが、彼女を獣から解放するための行動だったのだろう。

そして、たちまち話題になったこれ。
なんでキスしたん
いやぁ、ハグとかは全然してたけどまさかそうなるとは私も思いもよらず、、ただ、無意味なものでは全くなかったと思っています。

なんでしたんだろうっていうのは2つくらい理由の候補を挙げていて。

まず1つ目は、純粋に許す行為。今までハグ、頭ポンポンといった描写は描かれてきたけど、それでもなお、琴音は「許してくれていない」と感じていた。だから、それ以上の事はしなきゃならなかった、通じ合うった証明であった、琴音の心を救ったということ。

2つ目の理由の候補は、これが理想だったのではないかという事。
この2人の関係性は幼馴染。でも逆に、幼馴染だからギクシャクする関係にもなってしまっていたのではないかと思いまして。
逆に、この2人はそういう関係性じゃないという理由から、「なんでキスしたの?」っていう疑問が湧くのだろうと思っていますが、
もしですよ、最初から男女の仲で出会っていたら?もちろん、今の世の中ジェンダー観にも色々ありますのでなんとも言えないですが、何かの行動に「待て」をかけたり、守ろうとしたりすることは(幼馴染よりは)考えやすいのではないかと思いまして。
最初から、男女、恋人の「好き」の感情を持っていれば、もう少し変わったのではないかという理想が出ているのではないかなとか思ったり思わなかったり。ムズイ。

幸せなループか、獣を葬るのか

絶対にここで終わりな訳がなさそうな終わり方をしたので、モヤモヤされた方も多いでしょう、、

私は、「この先」にも2つくらい推測の候補を挙げています。

1つ目は「幸せな次のループ」
もう1度、やり直す。
神崎も琴音も分かりあえたからこそ、もう1度、2人がタイムリープする。真由ちゃんも生き残れる。(大事)

2つ目は、もうこの先は無し、来世幸せになろうみたいな話。
ここでもう獣は成仏できたから、琴音は最後の最後に抱えてきたもの、獣から解放され、心が救われたから、もう背負うものが元に戻ってしまうリープは繰り返さない。ある意味、このループはお兄が止められた。

個人的な願望としては、前者であってほしい。やっぱり、この世の中で、この2人に、幸せになってもらいたい。でもそれが重圧になるのならば、全然来世でもいいよ。とにかく、幸せになってよ。正直何でもいいから2人とも幸せになって欲しい。

けだもの?琴音の父

結局のところ、けだもののような立ち位置に居たのって、琴音の父ですよね。琴音の父があんなことをしなければ、何も起きずに済んでいたはず、、

ただ、その父が居なかったら、神崎と琴音は出会うきっかけがなかったかもしれない。あるいは、その父の葬儀が無かったら、神崎母が亡くなった後、神崎と琴音が心を開いて話すことはできなかったかもしれない。。

なんだか、そのような所の可能性まで追求していくとより一層、琴音の父の存在が憎いです。でも逆に、父が普通にいい人で、きっかけもなく神崎と琴音が出会っていなければ?この2人は出会わなくてよかった存在と言わざるを得ない、、うーん、、

裏テーマ「許す」

このドラマは、人の獣性を問う~と色んな所で言われてきていましたが、裏テーマはもう、皆さんご存知の通り「許す」ことなのでしょう。

許すということは、誰か他人が行ったことを「許す」というイメージが強いかもしれない。
だが、時には自分の事を救う手立てにもなるのではないかと考える。
「琴音、全部許そう。俺は許す。自分も、どんな理不尽も、、許そう。」
当初は、神崎さんが、琴音を許す、という事だけなのかなぁと思いきや、自分の事、世の理不尽を許す。そして琴音にも許すことを促している。

何か悪いことがあった時、自分にしろ他人にしろ「許す」という行為は簡単なことではないだろう。だが、最後には広い心で受け入れ、「許す」ということが、自分の心を縛っている何かを解き放つことができるのではないかと思いました。

人生上手いこと着地するのは難しい。だから許す。

様々な時間軸を神崎と琴音と獣の物語を通してみてきましたが、どこを取っても、色んな物を失い、すれ違いが起き、結局1度も上手くは行っていなかった。

でも人間は生きている以上、受入れて許すしかないし、逆に生きていくにはそれしか方法が無い。そんな人間の儚さ、大変さ、でも時には美しさを、神崎と琴音の死に際に教えてもらったのではないかなと思います。

「この先どうなっていくのかわからない、でも俺は必ず止める、君が獣になる前に…」
もし、この2人に「この先」があったとしたら、すれ違いも、悪さも、全て受け入れ、許して許して、穏やかに生きていくことができますように。

その他総括

演技の事とか、全く書けなかった!すまん!
北山くんの涙の演技はやっぱり、こちらも悲しくなってしまうくらい、印象が深く、リアルだなぁというのが大きいです。
そして瞳、顔での演技がほんとに、、深い。
本当に、回を重ねるごとに神崎が神崎になっていくのを見て、ドラマを見るのが楽しみになっていたし、闇落ち神崎も、普段の比較的温厚な神崎も、全てまるっと素晴らしかった。

ティナちゃんの役は、他の人(玄奘たち、家族、神崎さん)からの影響をもろ受けてしまう、受け取ってしまうような人物だろうから、、絶対大変なんだろうなぁ、、

そして宮ノ森、、さっきも上げたけど、真由ちゃんが鳴海唯さんで本当に良かった。いい子で、凛としてて、でもどこか少し危なっかしいというか、そんな真由ちゃんが大好きだった。

社会的な部分で言えば、ひと昔前に起きた「地下鉄サリン事件」を少し彷彿とさせたのかなと。(生まれてないけどさ、、ドキュメンタリーとか結構見るんですよね。)
これらに限らず、近年様々な国でテロが起きたり、多くの死傷者を出す事件が起きる中で、日本でもなかなか油断できない。多くの命が奪われるということは、それだけの人物の「この先」が奪われ、その家族にとっては大切な人が奪われる。そしてさらに、新たな獣を生み出してしまうかもしれない。(今回で言う少年みたいな)
そういった所への問題提起にもなったのではないだろうか。

そして、芸能の裏社会や政治家、企業家たちの危ないコミュニティ。
もし、このような形で自分と同年代、あるいは少し上の人達がどんどん怪我されているのだとしたら、本当に許せない。こればかりは何を許そうとたぶんできない。そんな暗闇の中にある悪い組織、今日本にどれくらいあるのかは分からないけれど、本当になくなって欲しい。


そして、うまく書きたかったが、全く書けんかった。ごめんなさい。
本当に噛み砕けば噛み砕くほど、分からなくて、でも面白くて。そんなドラマでした。出演者の皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました。



P.S.
テレビ局等のお偉い様、北山宏光氏に恋愛ドラマのオファーをお願い致します。平和な題材で。何卒。

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