砂時計と狐の嫁入り
出掛ける予定はなかったけど、化粧水がなかったから、しぶしぶ重い腰をあげて買い物に出掛けた。
行って良かった。
かわいい砂時計を見つけた。
家を出たときは雨が降りそうもなかったのに急に雨が降ったり、晴れたり、また雨が急に降りだしたり、かと思えば急に気温が上がって晴れ出したり...不思議な天気。
赤ちゃんのようにコロコロと表情を変える。
確か、晴れているのに雨が降っている状態のことを『狐の嫁入り』って言うんだっけ?
久しぶりにそういう状態を見た気がする。
中学生の頃、わたしは部活でバレー部に所属していた。
あまり強くない学校だったけど、そこそこ人気の部活で1年生~3年生まで合わせると50人くらいはいたと思った。
今思うと、その50人からレギュラーに選ばれるのは、たったの6人だから結構な争いだったんだと思う。
当然、1年生だったわたしは、
レギュラーなんてまだまだ遠い道のりだった。
1年生のうちは基礎体力をつけることに力を注いでいたので、いつも走り込みか先輩達の練習の球拾いだった。
ずっとつまんない部活生活に次々と1年生は姿を消していった。
結局、1年生は半分くらいになってしまっていた。
その日もいつものように私達は学校の外をぐるぐる走り込みをしていた。
いい加減疲れてきたときに突然、
天気雨が降ってきた。
すごい晴れているのに雨が勢いよく降ってきた。
ほとんどの人が雨が降ってきたので走り込みを止めて、一旦校内に逃げ込んで行った。
当時、近所に住んでて仲が良かった友達とわたしは、走り込みをしていて汗をかいて暑かったのと、なんだか晴れているのに雨が降っている状態が面白くて、雨にあたりながら走っていたら、バレー部のコーチがその様子を見ていたらしく、“この2人は根性がある”と勘違いされ、急に3年生が練習しているコートに入れられて、先輩達が次々と撃ち込んでくるアタックをレシーブさせられた。
球拾いばかりで、あれほどつまんないと嘆いてコートに入りたいと切望していたのに急にそのチャンスがやってきたが、実際は受けるのに必死で楽しむどころではなかった。
中学生の1年生と3年生では力があまりにも違いすぎて、体感的には豪速球のボーリングのボールをレシーブしているような速さと重さだった。
しばらく腕がヒリヒリしていた。
買ったばかりの砂時計と窓に映った天気雨を見ていたら、あのときの苦い思い出が甦った。
おしまい。
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