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【おいしい本#2】背中をそっと押してくれる、そんなお料理

今日は、おいしい本屋さんを始めてから初の本紹介です。

さっそく今回のおすすめ、おいしい本の紹介。

うしろむき夕食店(冬森灯)

好きな作家さんの一人でもある冬森灯さん。

うしろむき?
なんかマイナスな訳アリの人が集まるのかな…と思いきや
そんなことはまったくない!むしろそっと背中を押してくれるようなお話でした。

店主の志満さんは落ち着いていてキリリとした雰囲気の大人の女性。
(あんな気配りのできる素敵な歳の取り方をしていきたい)

そしてお孫さんの希乃香ちゃんは、おっちょこちょいだけれど憎めない、応援したくなってしまうような女性。

そんなふたりが出迎えてくれる「うしろむき夕食店」では、細い路地にひっそりと。(はじめてだとたどり着けないかも…!?)

志満さんの作るお料理、希乃香ちゃんが選ぶお酒がとにかく美味しそう。(大事なポイント!!!!笑)


訪れる人の悩みにそっと寄り添ってくれて、読んだ後は心があたたかくなる。

登場人物が少しずつ交わっているのも、わたしはすごく好き。
おいしい料理を通じて、人と人が交わって、さらに少しずつ輪を広げて…。そんなご縁が、過去から未来へとつながることも。

どのお話も素敵だったけれど、最後の章の「待ちびと来たるハンバーグ」がすごくよかった。

時間は前にしか進まない。
だけど、うしろを振り返れば、それまで辿ってきた、そのひとにしか歩めない日々が連なる。そこで得たやさしさや、あたたかさの中に、明日へ踏み出す一歩へのヒントが、詰まっているのかもしれない。

巻き戻しも、やり直しもきかない、不自由に重ねる時間の中で、ひとつだけたしかなものがあるとしたら、自分で選び取り、進む、一日一日でしかない。
未来を見ることが難しくても、うしろを振り向けば、辿ってきた日々は、そこに残っている。自分にしか醸せないゆたかな時間として。

冬森灯さん「うしろむき夕食店」より

冬森灯さんの分かりやすくてシンプルだけれど、心があったまる文章、すきだなぁ。

おいしい本屋さんの、2冊目のおいしい本紹介でした。
もし気になった方は、ぜひお手に取ってみてください!
ご覧いただき、ありがとうございました。

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