人事評価制度の本質と効果的な構築方法:落とし穴を避け、組織の成長を促す
評価制度を勘違いしてた新人マネージャー時代
「人事評価制度は、給与を決めるためのもの」
1社目でマネージャーをしてた時は、そんな風にしか捉えられていませんでした。pay for performance(成果主義)の会社だったので、マネージャーとして「メンバーが結果をだせる状態をつくる」ことに集中していました。
今思えば、評価制度が成果主義でシンプルだったので、チームとして大きなゴールにたどり着くために別でアプローチする必要があったんですよね。これはこれで正解です。
だけど、評価は退職のキッカケになるくらい大きなイベントです。
報酬の多寡というより、評価フィードバックに対する不満が大きいです。
「見てくれてない」「やって損した」のような感情が積み上がっていく。もしくは、「私はあなたを評価しているけど、上司が…」と他責的なフィードバックに失望した経験をもつ人はいるのではないでしょうか。
人事制度の本質的な役割
人事制度に限らずですが、制度は会社から社員へのメッセージです。
今と②のギャップを埋めるための手段が③。
③を後押しするものの1つが人事評価制度です。
この役割を理解せず、「評価制度をつくろう!」から始めると、単に評価を決めるだけの形骸化した制度ができてあがってしまいます。
人事評価制度構築の第一歩
人事評価制度をつくる / 改善する前に「そもそも、自社にとっての評価制度は何のためにあるんだっけ?」「評価制度を通じて、実現したいことはなんだっけ?」を考え抜くことが大事です。
弊社(ユアパト)で人事評価制度をつくる際のファーストステップは、この部分の言語化に時間をかけます。
など、複数の項目セットして明文化するようにしています。
何か決めるときの判断軸にもなるし、プロジェクト参加者の目線が揃うので非常におすすめです。
人事評価制度構築の落とし穴
人事評価制度をつくる上で、陥りやすい落とし穴についてお話しします。
①「納得感」「公平性」がキーワードにあがりやすいが、危険
人事評価制度の目的について議論しているとよく出てくるキーワードが、「納得感」や「公平性」です。これらは非常に重要ですが、もう少し具体的に掘り下げて考えてから進めないと落とし穴にはまります。
・「公平性がある状態」はどういう状態をさすのか?
・「納得感」は誰にもってほしいのか?
この問いを投げかけると、言葉につまる会社が多いです。
「公平性」一つとっても、プロセスの公平性なのか、結果の公平性なのか、機会の公平性なのか?要素は色々ありますよね。
評価制度を設計する際には、「公平性」と「納得感」のような曖昧な言葉のまま進めず、明確に定義し、実際の運用に反映させることが不可欠です。
②「誰がやってもブレない評価制度にしたい」は、幻想
この気持ち、めちゃくちゃ分かります。評価の時期が近づくと、評価面談や評価会議に膨大な時間が取られ、ビジネスに時間が避けないジレンマに襲われます。部門間の調整は紛糾して、時間も精神力も削られる。もういっそ、「誰がやっても一緒の結果になるようにすればいいのでは?」となりますよね。
だけど、評価は本質的に人間同士のコミュニケーションです。完全に機械的な評価システムは、個々の従業員の独自の貢献や成長の機会を見逃す可能性があります。モチベーションが単なる数字として扱われると、やる気でないですよね。ただし、賃金を決めることと、成長のためのフィードバックを別で考えて運用するならありだと考えています(詳しくはご相談ください!)
評価基準を統一し、人によってブレが少なくなるようにすることは重要ですが、完全にデジタル判定にしない限り、ブレは避けられません。
重要なのは、「判断基準の目線」を「会社-評価者-評価される人」で事前に擦り合わせておくことです。これにより、評価プロセスの透明性と公正性が高まり、社員の納得感も向上します。
③「全員がちゃんと運用できるよう"厳格に"やりたい」は要注意
事業環境が変化する中で、期初に立てた目標が実態と合わなくなることはよくあります。このため、目標と結果を厳格に運用しすぎると、社員が「やったことが評価されない」と感じるリスクがあります。
目標にあげたこと以外評価されないとなると、それ以外のことをやらない人がでても不思議ではありませんよね。これでは、人事評価制度の本来の目的からどんどん遠ざかってしまいます。
目標の定期的な見直し、現在地の確認と目線合わせ、具体的な未来に向けてアクションにつながる対話を意識するとよいでしょう。
④「他の経営メッセージとつながらない」は、もっとも危険
会社が掲げる経営メッセージと評価制度が一致していないと、社員は混乱し、不信感を抱きます。例えば:
なぜこのようなことが起こるのか?
・MVVの再定義、目標管理の導入、カルチャー醸成などがバラバラにプロジェクトとして進められることが多い。
・各プロジェクトが独立して進行し、最終的に統合されることなく並べられる。
この「繋がらない状態」は、「言っていることとやっていることが違う」に直結します。
重要なのは、すべてのプロジェクトが一貫したメッセージを持ち、統合されたアプローチで進められることです。これにより、会社のミッションやビジョンが評価制度にも反映され、社員は自分の努力が組織全体の目標にどう繋がっているかを理解しやすくなります。
⑤「人事評価制度説明会が、"説明"で終わる」 だと意味がない
人事評価制度の説明会は、何のためにあるのでしょうか?
多くの人が「社員に正しく評価制度を理解してもらうため」と答えますが、実際にはそれだけではありません。
評価制度説明会の本来の目的は、社員の感情を動かし、目指す場所へ到達できるよう行動を変容させることです。
そのためいは、社員が会社の目指す場所とその理由を理解し、人事評価制度がそれにリンクしていると感じることが大事です。「その場所へ向かいたい」「評価項目に沿って頑張れば近づける(会社の成長に貢献できている)」と信じられれば、日々の行動は確実に変わります。
評価制度は「社員をジャッジするものではなく、成長を後押しするもの」と理解してもらうことも重要ですし、実際にそのような制度になっているべきだとも考えています。
社員が会社を選び続けてくれるよう努力することが、経営目標を達成するために必要不可欠です。高い報酬を払えば留まってくれる?そんなの長くは続きません。
説明会は人事任せにするのではなく、経営からのメッセージとしてしっかりスピーチします。ユアパトでは、スピーチ構成を考えて内容の赤入れまでやってます。それぐらい大事!!!大事なんですよ。
さいごに
人事制度は運用がすべてです。運用の中でも、社員に直接フィードバックを行う評価者の役割が鍵になります。
どんなによくできた制度でも、説明会で経営が社員の心に火をつけたとしても、大事なのは「日常」です。日々のやりとりや評価面談でのフィードバックが、本当に重要な要素なのです。
制度の本質を理解し、社員の成長を後押しするフィードバックを通じて、会社全体が目指す場所へ確実に近づくことができます。
とはいえ、むずい!
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