フッ素樹脂フライパンって安全なの??
三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。
今回は、炎上が気になり、非常に書きにくくも、店頭でも質問される
「テフロン・フッ素樹脂加工フライパンって安全なの?」問題について。
(以下、フライパンと記載。)
【前提】
◆(2024/8/26追記)
フライパンで有名な物質ですが、総量で言えば、フライパンよりも他のものの方が多く使われている物質です。
以前、離乳食調理をしている工場のフッ素樹脂が、ベビーフードに混入することがありましたが、本当に多くの産業でフッ素樹脂は使われています。
◆完璧な道具は存在しません。何かと比較すればメリット・デメリットがあります。お買い物も、その方にとって最適解かどうかだと思っています。
◆このテーマは、考え方が分かれやすく、炎上しやすい(?)論点なので積極的には書きたくはないのですが、やっぱり気になる方が多いので記載することとしました。
◆様々なメーカーさんに伺った、私なりの現時点での考えを纏めます。
思想のレベルではなく、1人の家庭用品店の人として、お客様に店頭でする話を纏めます。
◆特に大切なのは、ご自身の意思決定をしたときに、ちゃんと他の選択肢を提案してくれる場所が地域に存在するか??は大切だと思います。
例えば、今回であればテフロン・フッ素が嫌だとなった場合は、セラミックや鉄・ステンレスの提案をできるお店がちゃんと残っていると、生活が良くなると思います。
(2024年11月1日追記)
そして、食べ物や身の回りのモノの素材を気にすること自体はとても良いことだと思っています。以上、ご了承いただけましたら、是非ご覧ください。
心配!と思う方へ
まず!テフロン・フッ素樹脂加工フライパンが心配な方は、家庭用品店としては鉄フライパンがおススメです。
「避けたい」と思う方は、避けていただければいいかなと思っています。
ただ、鉄フライパンには
・重たい
・食事が少しオイリーになるかも
・油をなじませながら料理をする手順が必要
というポイントもあり、
鉄フライパンを使いたくても、使えないというお客様もいらっしゃいます。
(重いものが持てない方、油の摂取を厳しく控えている方は特に。)
フッ素樹脂(テフロンを含む)
フッ素樹脂(テフロン含む)はプラスチックの1種です。
(ちなみにテフロンはフッ素樹脂の1種です。)
フライパンにおいては様々な加工の名前がありますが、「フッ素樹脂加工」という名前がついていれば、大きな構造そのものは、日本メーカーさんもティファールさんも、変わりません。
フッ素樹脂の1種である”テフロン”が有名すぎて、イメージが悪い方もいますが、、
実はテフロン自体は、フッ素樹脂加工の中でも厳しく品質管理されているという見方もあります。
いろんな加工の名前
よく耳にする、”なんとかダイヤモンド”や、”なんとかチタン”とかもありますが、今回は大枠の話をします。
更に細かく言えば、セラミック加工というものも存在しますが、セラミック加工にフッ素樹脂加工を合わせている商品も少なくはありません。
(純然たるセラミック加工フライパンは、フッ素樹脂加工フライパンよりも料理が難しいと感じる方が多い印象です。)
フライパンの表面加工よりも本体でチェックすべきポイントは以下にも記載してます。
身の回りのフッ素樹脂
そして、フライパン以外にもフッ素樹脂は使われています。
・スマホやPCを含む精密機械
・食品メーカーの工場ライン
などなど。
フライパンで有名な物質ですが、使われている量そのものでいえば、家庭用フライパンは決して多いとは言えない事実は知っておくといいかもです。
【有害なの??】
①体に吸収されるの?
フライパンのフッ素樹脂が剥がれて人体に入ったとしても「吸収されずに排出される」と多くのメーカーさんサイトでは言われています。
一方で日本でも「絶対に危険」と主張する方がいるのも事実です。
EU圏内ではPFAS(フッ素樹脂全般のイメージ)に関する規制が検討されております。EU圏内では健康問題というよりは、フッ素樹脂の分解されないという環境の観点(以下、④に記載)から規制が検討されている印象もあります。
こういった議論の記事を見た時の注意点ですが、
●議論している物質は何か?
●安全の定義とは?
●危険の定義とは?
を意識されるといいと思います。
それぞれが微妙に違うことがあり、同じ前提で議論が行われていないことがあるので、結論だけを覚えるのは不適切な気がしています。
そして以降の論点も同じで、私個人の認識を後述しますが、
「よく分かっていない」ことも多くあるように感じます。
②PFOA・PFOS
ふっ素樹脂を製造する際の助剤、PFOA・PFOSは以前に問題となりましたが、現在のふっ素樹脂(テフロンを含む)は、PFOA・PFOSは使用せずに製造されていると聞いています。
③具体的に有害なケース(360℃)
現在、明確に有害とされているケースは、
「フライパンを空焚きし、360℃(諸説あります。)を超えた場合に発生するガスを吸うと、咳が出る」
というもの。
この360℃という数字。
ピンときませんが、油の発火点が360℃~380℃と言われております。
フライパンから有害なガスが発生する場合は、火事のリスクにも気を付けていただくべき超超高温とも言えます。
なお、フッ素樹脂そのものは260℃を超えると傷みはじめます。
これは高いフライパンでも、安いフライパンでも同じことが言えます。
④環境への影響
フッ素樹脂は、残念ながら分解ができず、自然界に残ってしまう物質のようです。これは事実で、その結果、地下水などに問題が発生することがあります。
(2024年11月1日追記)
でも、これはフッ素樹脂に限らず、綿を生産している地域の農薬だったり、そのほかの薬剤だったり、「便利に何気なく使われている多くのこと」の背景に存在するものの1つなのかもしれません。
環境に関する問題であれば気にならない方も、それが蓄積されて人体への健康問題になったら気になる方もいらっしゃるかもしれません。
どこまで影響があるかは正確には分かっていません。
【現時点での整理】
フッ素樹脂への評価
フッ素樹脂加工は、戦後に一般家庭にも普及した技術です。
静岡の鉄加工メーカーさんと「フッ素樹脂加工」と「日本の生活」の付き合い方を話をしたところ・・
フッ素樹脂と生活(一般家庭)は、まだ100年の付き合いがなく、
●何世代にわたり人間が使うとどうなるのか?
●環境にどんな影響がでるのか?
などなど、調べに調べても「超正確には分からない」という表現があっているような気がするね。という話になりました。
フライパンに限った議論ではないかも
そして、生活に欠かせないフッ素樹脂以外のプラスチック製品についても同じことが言えるのかな??と思います。
2024年2月時点では、
「ペットボトルの水にもマイクロプラスチックが含まれる。」
という内容の記事(※)もありました。
こういった関係の記事は調べれば、調べるほど、インターネットでは出てくると思います。ただし、どこまで問題視するか?は個人の判断になると思います。
※あくまでもコロンビア大の研究です。
この記事の正しさや、評価は今後なされていくと思います。
じゃあ、明日からプラスチックなしの生活をしましょう!
と言ったところで、現実的に困難すぎると思います。
(仮にペットボトルを辞めたところで、水筒内部にも汚れ防止のために、フッ素樹脂加工されているものもあります。市販の総菜や冷凍食品などの製造ラインの汚れ防止にも、フッ素樹脂等は使われていることもあり得ます。)
心配であれば
もし、フッ素樹脂が心配であれば、人間が1000年単位で使っている道具
●鉄
●土(陶器)
●木、竹
●綿
などを使われるのがいいかな?と思います。
やっぱり天然素材系のすごさは、人間との付き合いの長さ。
もちろん、色々な改良の結果、様々な変化はあると思いますが、1000年単位で使っている道具って、やっぱりすごいですよね。
何世代にもわたり使用されているのは事実ですし。
私個人としても「天然素材系の商品」や、「昔の"ふつう"の生活」に関する商品に興味が集まるのは、とても嬉しいです。
この議論について思うこと
いろいろな方が、いろいろな立場から、この議論をされています。
この「現時点で分からない」という状態に対して、非常に不安を感じる方も多くいらっしゃるかと思います。
その「分からないことが怖い」という感覚は、最近特に感じます。
確かに、今「分かっていることが、当たり前」なことが多いのかもしれません。
ただ、その「分かっていること」(今の常識)が、100年後や200年後に変化している可能性も0ではないかもしれません。
★例えば、毒性ありと言われてきた「銅の錆(緑青)」も、詳しく調べたところ、無害に等しいと判定され、教科書まで変わったことがあります。
情報は、意思決定のために
フライパンに限らず、プラスチック製品は世の中に多く存在します。
また、物事には常にメリットとデメリットが存在します。
●どのような選択(生活)をして、
●どんな未来や生活を選んでいくのか
は、「強い情報」ではなく、消費者が決めるべきと思います。
この情報が皆様の意思決定のお役にたてば幸いです。
また、分からないことがあれば、フライパンの販売店スタッフに色々質問してみるのもいいのではないでしょうか??
↓鉄フライパンに関するまとめはこちら。
※当noteは私個人の情報をまとめて記載しております。
また家庭用品としてのレベルを記載しております。新しい情報や経験により、見解が変化する場合もございます。予めご了承ください。
※2024年2月17日、2024年11月1日に一部加筆しております。文章を確認し再度、加筆・修正をすることがあります。