ベートーヴェン音楽の根っことは
ベートーヴェンを弾いていると、たまに、こんな気持ちになる。
ああ、これからまだまだやることがたくさんある!
それも、全て、かなりワクワクすること。
ウカウカしていられない。
なんでかわからないけど、大笑いしそう。
というか、体の底からもう笑ってる。
それで、気付いたら、喜びと優しさだけが、心にある。
これら全部は、ベートーヴェンという一人の人の愛が由縁だろう。
ピアニストのアルフレッド・ブレンデルが、本の中で、ベートーヴェンの音楽の特徴として、暖かさと優しさという言葉を挙げていた。
ベートーヴェンの音楽を演奏すると、こういうことが、言葉を超えたもっと確かな形で感じられる。
この感覚は、自分がやっていることは音楽であるものの、もはや考古学なんじゃないかと思うほど。
作曲家の残した作品という土器や石器をよく観察し、何が言えるか、人間の内側の世界について見つけ出し、発表する。
誰にも、純粋な形で、自分の見つけたことを演奏で伝えられるように、今日も練習という名の楽しい仕事に取り組みます。
ちなみに、上の写真は、ウィーンの駅で撮ったもの。電車を待っていたら、ちょうどベートーヴェンが遺書を書いた街、ハイリゲンシュタットの文字が掲示板にあったので。
ハイリゲンシュタットには学生時代に一度行ったことがある。大きなイメージを持って街に着くと、こじんまりとした静かな所だった。こんなささやかな場所で壮大な音楽が生まれるのか、と不思議な気持ちでいっぱいだった。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをお願い致します。音楽活動のためにとても助かります。