濃霧の中を歩んだ最初の1ヶ月
新しいことが次から次へと…
サンディエゴに来てから1ヶ月が経った。およそ11ヶ月しかいないアメリカでの生活の貴重な1ヶ月が終わってしまった…この1ヶ月自分は何をしたのだろうか…何かを習得できただろうか…考えてしまう。
とにかく、この1ヶ月は次から次へと新しいことが起きた。
大学院の集中対面授業
最初の1週間は大学院の集中対面授業。サンディエゴに到着して、翌日からすぐに2泊3日のキャンプに出かけ、アメリカでの生活、英語での生活、大学院の同期と関係を築くことに必死だった。おかげさまで、同期とはたった1週間にも関わらず、夢を語れたり、お互いに応援できたり、つながりを感じることができた。
でも、1週間が終わって、何か振り返りができるかと思ったが、自分の心の中から湧き出るものが何もなかった。
High Tech High Media Artsの教員研修開始
1週間が終わると、翌日からすぐに配属先のHigh Tech High Media Artsの学校が始まった。9日間に及ぶ年度開始前の教員研修。毎日のように学校や学外で会議をしたり、遊んだり、たくさんの時間を共有した。正直、楽しさより戸惑いが大きかった。学校の先生たちのコミュニティはすでにできており、そこに飛び込むことも戸惑ったし、大学院の仲間のように共通の目標があるわけではないから、話すネタが見つからなかった。日本の学校の話しばかりしてもな…と遠慮をしてしまう場面が多かった。一人一人の名前を覚え、名前を呼びながら会話をしようと、できることだけでもやった。
いよいよ学校開始
ようやく、学校の教員の名前を覚えたと思ったら、今度は学校が本格的に始まり、生徒が登校するようになった。また、新しいことの始まり。生徒の動きも分からないし、ルールも分からないし。どんな立ち位置でいれば良いのか悩んだ。今もまだよく分からない。でも、できることを探してやるしかない。
4週間のうちに、おおよそ1週間ごとに新しいことがどんどん始まるので、ついていくのが大変な1ヶ月だった。(そして、アメリカの学校あるあるの大量の大学院の課題にも苦しまされた(笑))
まさに、濃霧にいる感覚。目の前は少し見えるけれど、先が見えない。少し前が見えてきたかと思うと、また新しいことが始まり、霧の中に舞い戻る…そんな1ヶ月を過ごしてきた。
この1ヶ月の自分の歩み
振り返りが湧き出てこない
私は日本にいる頃から、日記こそつけてこなかったが、振り返ることが結構好きな時間だ。時間を決めたり、パターンを決めたりしているわけではないが、勝手に「振り返りスイッチ」が入ると、そのスイッチに身を任せ様々なことを振り返る時間を大切にしている。(あれだけ、振り返るくせに、成長がないのは不思議なくらい(笑))
何はともあれ、振り返りが出てくるということは、なんとなく自分の中で地に足がついていると証拠ともなるので、自分の在り方がわかる。
しかし、この1ヶ月、出てこない…振り返りが全然心から湧き出てこない。あえて振り返りスイッチを入れようと、日記をつけ始めたりしてみたが、出てこないものは出てこない。
だから、冒頭に戻る。貴重な1ヶ月を過ごしたにも関わらず、何も振り返りが出てこないなんて…何も習得できていないのではないかという不安。noteにもっともっと投稿できると思っていた。
せっかちが故に焦るのは自分の悪い癖。「濃霧の中にいる自分」に気づけただけよしとするか…と言い聞かせる日々。
原点に戻った瞬間
霧の中に放り込まれたのは、この4週間のうちに起きた出来事だけではない。大学院の授業も影響している。Educational Leadershipというコースだけあって、どうやって、学校をリードしていくのか、リーダーとして学校をどう立てていくのかという実践が学べると思っていた。しかし、この1ヶ月の授業のほとんどが「自分の在り方」を見つめる時間であった。
リーダーとかではなく「人」として自分の在り方を見つめる時間。バイアスをかけて人を見ていないか。無意識に差別をしていないか。人と意見の相違があったときに自分はどう動いているか、そしてどう向き合っているか。憎しみをどう乗り越えるか。
前に行きたいのに、自分のこれまでの行動を振り返るため、後ろに引き戻されている感覚さえあった。時に、課題をやりながら、こんなこと考えたくないし、読みたくない。と思った時もあった。課題に取り組んだり、授業のあとはグッタリもした。
そんな中、先週から新しい授業が始まった。大学院で一番コアとなる授業で、1年間かけて自分の学びたい分野について、学術的に学びを進めながら、実践をするというものである。霧の中にいた自分は「誰もが幸せな学校創りをする」という目標さえ、ぼやけてしまっていた。そんな時、ある同期が「私は教員が幸せな学校創りを目指したい」と述べてくれた。
ハッとさせられた。出国前、熱く語っていた私の想いを代弁してくれているかのようだった。
そうだ!私はそれを学びに来たのだ。と。一気に目がキラキラして、鼓動が早くなる感覚を覚えた。
大事なことに辿りつけた
原点の戻れた私は、自分の軸と学びを結びつけらるようになった。そして、「過去の自分はこうだった」と終わるのではなく「これからの自分はこうしたい」という想いも湧き出るようになってきた。
肝心なことに気づいていなかったのだ。「学校創り」という外見ばかりに目をとらわれ、それを運営する中身である「それを創る人間」の人間性が重要だということに。
少しだけ、霧があけてきて、少し遠くの道も見えてきたように思える、2ヶ月に突入した今日この頃である。
ゆっくりゆっくりと前へ
留学前に思っていた、「ハイテックハイってこんな場所ですよ!」「こんな学びが出来ていますよ!」という直接的な発信にはなっていませんが、濃霧に迷いこんだありのままの様子をお伝えすることにしました。霧から抜け出した元気な姿を(別に今も飛びっきり元気ですが)、気長に待っていただけると、嬉しいです(笑)
※本当に元気に楽しんでやっています(笑)