悲しみに触れる 【NPO経営に挑戦するみほの記録 #4】
(※重い内容が苦手な方はブラウザバック推奨です)
ずっと感じてきていることがある。
どれだけ自分の大好きなことをやっていようと、
心躍ることをやっていようと、
自分の心の奥底には深い悲しみがある、と。
そして、その深い悲しみこそが私が「生きている」実感であると思っている。
この深い悲しみはなんなのか。
…
小学校の時、とても仲良かったのにある日絶好してそれ以来話していない子への思い。
中学の時に1日だけ訪問した児童養護施設で、一緒に遊んだ少年への思い。
高校の時に訪問した長島愛生園で、壮絶な人生と心を共有してくれた元患者の方への思い。
高校で嫌がらせをしてしまった後輩への思い。
大学の時、同じ寮に住んでいた自死してしまった知り合いへの思い。
寮の隣の部屋で自死をはかり、精神病院に入院し、退学することになった、かわいい後輩への思い。
自死してしまった高校の友人への思い。
精神を病んで退学し、復学をずっと目指したのに急死してしまった大学時代の親友への思い。
その後、彼女の故郷で1日を一緒に過ごしてくれた彼女のお父さん、そして会えないけど私たちを気にかけてくれているお母さんへの思い。
出張先のインドの田舎の病院で夢を語ってくれた年下の女の子への思い。
エチオピアの田舎で私たちが調査に入っていた酸素ボンベも足りないクリニックに、出産にきていた女性への思い。
アマゾン奥地で出会い、なぜか心を開いてくれた音楽ダンス大好きのあまり喋れない子への思い。
20代から終身刑務所に入り、今もおそらくそこにいるであろうラップを聴かせてくれた青年への思い。
住んでいたオークランドで、警察に射殺された Black & Brownの若者たちへの思い。
問題行動を繰り返し、でも実はただお母さんに振り向いてほしかっただけの今も数ヶ月に一度は返事がくるブラジルルーツの少年への思い。
いくら頑張っていても、親に、兄弟に、社会に、夢を諦めろと言われ続ける若者への思い。
同じ国で生まれ育っているのに、遠慮して生きなければいけないと感じている若者への思い。
…
いつからか分からないが、本当に楽しくて幸せを感じている時にも、常にこの深い悲しみの実感を感じるようになった。もはや、そうでなかった時のことを覚えていないので、だいぶ前からかもしれない。
でも、私にとってこれは嫌なことではない。
なぜなら、この悲しみに常に触れているような感覚で、私は「生きていること」を実感するから。
悲しみがあるから、この人たちと今も繋がっているから。
(向こうが繋がっていたいかは知らないが)
極端に言えば、悲しみを感じることが私は「好き」なのだろう。
楽しいわけではないが、変わった趣味のようなものだ。
できれば悲しみを極限にまで味わいたい。
でも、人間なので、時には、これらの悲しみが溢れて、いっぱいになってしまう時がある。身体的な痛みを感じるくらいに。
たとえば、人と溝ができてしまった時。どうしようもない不条理を見た時。人との分断、社会の分断、世界の分断。
そういうものが、私はとても悲しいのだと思う。
そして未熟な私は、時にそれを「怒り」として表現してしまう。
なんで誰も何もしなかったんだ。声をかけなかったんだ。私も含めて。なんで社会は、世界は、こうなんだ。構造や、権力や、神や、すべてが腹立たしくて仕方ない時もある。
「怒り」はもちろん活動のエネルギーにもなる。でも、人を防御的に、時に攻撃的に、してしまう。すると、さらに分断を生む。悲しい。怒りに注がれる。悪循環の繰り返しだ。
深い悲しみを、そのまま表現できれば、周りの人の反応は違う。
もちろん、良い結果ばかりではない。同情や浅いレベルでの慰めであしらわれ、言わなきゃよかったなと思ったことも多々ある。
それでも。
ものすごく深い悲しみと痛みを、夫や、今は修道院に入ってしまっている親友が、共有してくれた瞬間があった。同僚やチームが共有してくれたこともあった。そして時に、私が傷つけてしまった相手と真の意味で和解Reconcileできたこともあった。
そういう瞬間のことはこれからも一生忘れないだろう。
そういう瞬間が、生きててよかった、と感じられる瞬間だろう。
社会的な活動をしていると「怒り」の方が表面にでてくることが多い。
でも本当は、悲しみの声を聞いてほしいんだと思う。
私の、ではなく、社会で不条理を受ける人々の悲しみの声を。
同情してほしいのではない。
悲しみを共有し、感じることで、「生きて」ほしいのだと思う。
それは、多分、「愛」だから。
これを伝えられる活動を作っていきたい。と思ってます。そのために、もっと内面もアプローチも組織も成熟しないといけない。
怒りではなく、悲しみを、そのまま表現するために、書いてみました。
NPO法人代表の振る舞いとしてこれを公開するのが正解なのか知らんが・・・試してみるのはええやん、と思って。
私が代表をつとめる団体immi lab のnote記事も是非読んでみてくださいね。
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