#19　そこへ行っちゃダメ

91年さて東欧のどこへ行こうかというときにウィーンで出会った日本人の話

その当時は日本人は旅行客としてあちこちで見ることができたが、
きっと日本人に会うとほっとすることもあったと思う。
しかし、彼らから聞いた話はほっとできたどころの話ではなかった。

ルーマニアは絶対行っちゃダメ

補足すると当時、独裁政権のチャウシェスクが倒れて公開処刑された。
ルーマニアがニュースでとりあげられることはまれであるが、それはテレビのニュースで伝えられそのこと自体は知っていたが、その後ルーマニアがどうなったかまでは伝えられていなかった。

まずルーマニアの鉄道乗務員が信用できない。

移動する電車の中で、パスポートの提示を要求され、パスポートは取り上げられる。どうやらお金を払わないと返してくれないそうである。
つまり、国が混乱して、十分な生活費がもらえていないのだ。
しかしだからといって、日本が仮にそのような状況に陥ったとして鉄道乗務員が外国人からパスポートをとりあげて金払わなかったら返さないというだろうか？その当時も今考えても想像の域をはるかに超えていた。

ルーマニアの出国のために列車のチケットを手に入れるのに長蛇の列に並ぶ必要があり、なかなか入手困難だったようである。
今でも頭から離れないセリフは、

出国できた時、日本人同士で抱き合って泣いて喜んだの。

ルーマニアは、自分の行きたい国のリストから外れることになった。