【懐古回廊】アトリエフォンテーヌ@東京都港区(and アンドレと窪寺昭のこと)
🎓「アトリエフォンテーヌ」って?
アトリエフォンテーヌは六本木にあった劇場です。
(歩いて行く時は麻布十番駅からの方が近かったです)
フォンテーヌビル地下1階にありました。
⛳東京都港区六本木5-13-13 フォンテーヌビル B1F
今は「Zoom六本木」というビルになっていますが、あのZoomとは関係ないみたい。
⚔️フォンテーヌ観劇記録@アンドレとの出会い
私がアトリエフォンテーヌで観劇したのは2回だけなんです。
1999年 AND ENDLESS の二本立て公演「堕天・神殿」を1本ずつ観ました。
※AND ENDLESS =以降愛称の「アンドレ」と記します。
大阪の実家に住んでいた時の観劇は、主に近鉄劇場(1985年10月-2004年2月)で行われていた劇団四季や、小規模でも近鉄アート館で行われていた宮本亜門などだったので、商業演劇として軌道に乗っているお芝居だったんです。
舞台役者をやっている友達が何人かいて、彼女たちはいわゆる小劇場の舞台に立っていてそれを何度か観に行きましたが、大きな劇団の研究生だったりしたので、「小劇団の役者」とは違うものでした。
上京して一人暮らしを始めてから観劇とは離れた生活をしていたのですが・・・よくある話でバイト先にいた劇団員から「芝居やってるから観に来てよ」と渡されたのが(売りつけられたのが🤭)アンドレの「堕天」のチケットでした。
当時の彼らのほとんどは日芸の学生で、旗揚げから3年目のことです。
劇団員にチケットノルマがあって(アンドレは厳密には「ノルマ制」ではなかったと思いますが)劇団員が知り合いに手売りしているようなお芝居を観たのはその時が初めてでした。
当時・・・というか今でもなんですが座長の西田大輔(すべての作・演出を手掛けています)は台本が出来るのが本当に遅くて、公演初日に書きあがっていないなんていうこともありました。
お芝居の後半は座長が台詞を叫ぶ、役者がその役なりの情感を込めて復唱するなんてシーンが続いたりして、お芝居としてそういう演出っぽくも見えましたが、単に台本が完成しておらず、座長が舞台上で即興で台詞を言って役者が復唱している時もありました。
本当に粗削り・・・いや、粗削り以前の問題?? というくらいでしたが、とにかく熱量があった。
20年以上前の小劇場にはまだ「難解さがかっこいい」という風潮もありましたが、彼らはエンタメに振り切っていたと思います。あくまで当時の私の感想ですが。
好きなこと、自分の好きな世界を、こんなに胸を張って大声で叫んでいいんだ、表現していいんだ。
私この時、自分を肯定されたように感じたんですよね。
💫役者 窪寺昭
このフォンテーヌの舞台では3人の役者さんがアンドレ初舞台を踏んでいます。
私にチケットを売りつけた売ってくれたOK野郎(電話で話した時、『OK』という一言がすごいイケボだったので友達との間ではそう呼んでいました笑)
今でも役者を続けられている中川えりかさん。
それから窪寺昭。
お芝居は新選組をテーマとした和風劇でしたが、岡田以蔵役がめちゃめちゃカッコよくて。
女友達3人と行ったのですが、観劇後3人とも口を揃えて
「以蔵カッコよかった!」
ってきゃいきゃいしちゃいました笑
窪寺演じる岡田以蔵・・・人斬り以蔵ですから刀を持ったシーンが多いのですが、刀を構えている時よりも、むしろだらりと刀は手に持っただけで、ゆらりと立ち相手を無言で睨め付ける。
その立ち姿と身にまとう空気が本当にカッコよかった・・・!
バイト仲間のOK野郎にもきゃいきゃいしたまま「以蔵カッコよかったわー😻」と言ったら、「あいつモデルやから」とつまらなさそうに(思い出補正かも笑)言われました🤭
モデルとしては単体で大きな広告に載ったという記憶はないのですが、池袋の地下通路に掲載されたポスターに複数の内の一人として出たので見に行きました。
アンドレはとくに初期は和洋問わず時代物を得意としていたし、窪寺はその堀の深い顔や出で立ちから「キャラの尖った」役が多かったように思います。
2002年の公演「PSY・S」でのアルセーヌ・ルパン役もとても合っていて、友達がドはまりしてVHS(!)を買ったほどでした。
一方で純朴な青年を演じる時には、眼差しに意外なほどの繊細さ、慈愛のような光を見せる時があってドキっとしたものです。
窪寺は2020年11月13日に永眠しました。
アンドレの座長西田大輔は2015年に「DisGOONie」を設立しています。
2021年1月、窪寺も出演を予定していたDisGOONieの舞台「GHOST WRITER」をEX THEATER ROPPONGI に観に行きました。
ラストシーン、誰もいない舞台に響き渡った足音。
確かな足取りを感じさせる足音、弱々しくなんかなかった。
まるで舞台を守るようだった。
あの足音が聞けて良かった。
あの公演を観に行って本当に良かったです。
🔶map
地図を描いて気づいたのですが、アトリエフォンテーヌとEX THEATER ROPPNGI は近いですね。
六本木駅近くの俳優座劇場にはアンドレの「堕天・神殿」再々演を2003年に観に行っています。
再々演が20年前なことにびっくり。
この時も窪寺は相変わらずの、いや役者として磨きのかかったカッコよさで岡田以蔵を演じました。
2017年に閉館したZeppブルーシアター六本木にはDiSGOONieの公演を何本か観に行きました。
記憶はすべて過去だから、思い出すとたくさんのものが「もうなくなってしまった」と思うこともあります。
けれど思い出すことで、新しい発見があることもあります。
もしくは私なりの色付けが出来ることもあります。
絵を描く時、とくに色に関しては現実を忠実に再現しようとは思っていません。
ほかの人とは違っても私に見えている景色を、色を描きたい。
そして、私が付けたいと思っている色を付けたい。
世界は美しいものに溢れている。
けれど美しいばかりではない。
むしろ目に映るものの多くは美しくないかもしれない。
その中で煌めく美しさを、儚く消えてしまうかもしれない美しさを描き留めたい。
そう思ったことがnoteを作った始まりでした。
窪寺・・・私はちゃんと美しさを残せたかな?
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