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外務省勤務で最も楽しかった5つの業務とは?

私は、8年以上の在外勤務を含め、約14年間外務省で勤務をしました。

14年間で楽しいことも大変だったこともたくさんありました。

今回は、外務省勤務で特に楽しかった業務5選についてご紹介したいと思います。

元職員の体験として、外務省での勤務にご関心のある方々の参考になると嬉しいです。


1 在外研修及び大使館勤務

先ず、外務省といえば、海外の日本大使館での勤務機会が必ずあります。

また、外務総合職及び専門職として入省すると、全員が2~3年の期間、在外研修として海外の大学・大学院で勉強する機会が得られます。

在外研修期間は、自分の専門言語(各職員が1つの専門言語を割り当てられ、それを海外に留学して学ぶことになります)を習得しつつ、大学院や大学などで学ぶことになります。

現地の友人を作って一緒に遊んだり、旅行したりしながら、その国の文化や価値観を学ぶことも研修の目的にも含まれているので、私も研修先の国内各地を現地の友達と一緒に旅行したりしました。

私が研修した2年間は、人生で最高の2年間でもありましたし、また今の私の人生・キャリアを最高にするための2年間でもありました。

在外研修のあとは、学んだ語学や知識を活かしながら、大使館での勤務となります。

新米外交官として、大使やベテランの外交官の下で、外交官としての活動をイロハを学ぶことになります。

国によっては皇族や総理大臣、外務大臣などが訪問するなど、大きなイベントに対応する機会もありますし、日本政府の代表として、相手国政府関係者との折衝などにもあたります。

他国の大使館のレセプションに参加したり、大統領や大臣の表敬に同席するなどして、とても貴重な経験を積むことができる大使館での勤務は、とても楽しく、多くのことを学ぶことができます。

また、私生活面でも、現地の人や他国の外交官など、多くの友人を作ることができ、また日本から旅行で行きにくいような国や場所を観光などで訪問することができます。

こうした在外研修と在外勤務は、外務省生活で最も楽しい仕事の一つでした。

2 大型外交イベント

続いて、G7/G20サミットやTICAD(アフリカ開発会議)などの大型外交イベントへの対応もとても面白い仕事の一つです。

日本などで大型外交イベントが開催される場合には、そのイベントの事務局が外務省内に設置され、多くの職員がイベント開催の準備に対応します。

私も、G7伊勢志摩サミット、横浜やナイロビでのTICADなど、数多くの外交イベントに従事する機会がありました。

伊勢志摩サミットでは、某国際機関の代表の案内役として、現地でのサポートや通訳などを行い、オバマ元アメリカ大統領やメルケル元ドイツ首相などの世界の首脳が集う会議場の中を歩き回ったり、他のイベントでは某国の外務大臣のリエゾンとして東京都内を案内しつつ表参道を一緒に散策するなど、貴重な経験をすることができました。

また、ケニア(ナイロビ)やモザンビーク(マプト)で日本が主催するTICADの事務局で勤務した時には、世界各地の日本大使館から応援として駆け付けた同僚と一緒に様々な業務を行い、とても勉強になりました。

大型外交イベントに参画することは、他の組織では経験することが難しい外務省ならではの業務であり、大きな遣り甲斐を感じることができた経験の一つです。

3 通訳 

総理大臣や外務大臣が他国の政府要人と会談を行う際、外務省職員が会談での通訳を行うこととなります。

私も、専門言語の通訳専門官に任命され、数多くの通訳を行う機会がありました。

総理大臣や外務大臣の会談は、とても緊張しますが、終わった後の達成感と解放感はとても大きかったのを覚えています。

また、外務省職員でも中々乗ることができない政府専用機に乗って外国を訪問したことも貴重な経験です。

そして特に貴重な経験だったのが、天皇皇后両陛下への通訳を行ったことです。

私は通訳の関係で3回皇居に行く機会がありましたが、通訳でなければ皇居の中に入る機会なんてそうそうありません。

もう外務省を離れてしまったので、皇居の中に入る機会なんて一生ないと思いますが、天皇皇后両陛下や政府要人に通訳を行ったことはとても楽しく光栄な経験でした。

4 海外出張

外務省で勤務をすると、部署や担当にもよりますが、海外出張する機会がたくさんあります。

私は北米、南米、ヨーロッパ、アフリカなどに海外出張する機会がありました。

旅行では行かないような国や施設を訪問したり、在外勤務時代に知り合った他国の外交官と再会したり、大きな国際会議に参加したりしたことはとても思い出に残っています。

本省で原子力関係の部署に勤務していたため、アメリカの国立研究所を訪問したり、日本国内でも福島、福井、大阪などの原子力関係施設を訪問できたことはとても貴重な経験でした。

外務省に限ることではありませんが、出張で世界各地を訪問することができるのも外務省の醍醐味の一つだと思います。

5 政府要人の国外訪問への同行

外務省で勤務をしていると、北米局や欧州局、中南米局、アフリカ部などに配属となり、ある国を担当する機会があります。

私は中南米の大国の一つを担当しました。

そして、国担当にとって一番大きな仕事の一つが、相手国の大統領が訪日したり、総理大臣・外務大臣が自分の担当国を訪問することです。

事務レベルで調整がストップしてしまい前に進まないような案件であっても、ハイレベルの要人が訪問することで政治的な決定により案件が一気に進展することもあります。

私は大使館時代に総理大臣の受け入れ業務を3か国で行いましたが、本省では外相の担当国の訪問を担当しました。

外務省にいる間に、いつかは政府のハイレベル会談に(通訳ではない形で)参加し、サブ面で貢献したいと考えていました。

私の外務省人生最後の仕事が、当時の外務大臣の担当国訪問で、大使館の同僚と連携しながら準備を進めたり、大臣用の発言ポイントを作成したり、全ての会合やイベントの同席して会談記録作成を行うなどして、多くの業務と残業に追われていましたが、ハイレベルの訪問が終わり、日本と担当国の関係強化に資することができて、大きな達成感を感じました。

自分が在外研修・勤務で約6年間過ごした国に、担当として訪問し、外務省人生最後の大仕事として外務大臣訪問を成功裏に終えることができたことは、とても大きな思い出であり、楽しく印象深い仕事でした。


以上、簡単ですが、外務省時代の面白かった仕事について記載しました。

もちろん、大変なことも大きなストレスを感じたこともたくさんありましたし、東京で勤務をする間は連日のように遅くまで残業していました。

しかし、楽しい仕事もたくさんありましたし、転職した今も外務省時代の仕事をとても恋しく思うこともあります。

今回の記事が、外務省での勤務に関心のある方にとって少しでも参考になると嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

カニマンボ!


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