2021年12月16日〜母の腫瘍は頭蓋底腫瘍
母の様子は相変わらずだ
朝食の声をかけるまでは間違い探しをしている
それが唯一の気持ちを紛らわす方法だ
そろそわそれとやり尽くしてしまいそうだ
新しい本を見つけなきゃと思った
一緒に朝食を取って出勤まで一緒にテレビを視る
それが朝のルーティンのようになった
いつまでこれが続くのか?
昼に戻るとやはり母は間違い探しをしていた
『赤鉛筆と拡大鏡が何処かに行っちゃった』
私に気づくと開口一番に母は言った
『不思議だねぇ、さっきまであったのに』
私も一緒に探したけれど結局見つからなかった
認知ではないと思うけど多少不安を感じた
先日買った拡大鏡は2個セットだった
赤鉛筆は別のものを母に渡した
母は東京で血圧の薬や色々な薬を飲んでいた
それを最初の脳神経科で繋ぎで処方してもらった
しかし総合病院では処方して貰えなかった
繋ぎも切れそうなので最初の所に相談していた
そして午後4時半頃のアポイントを取っていた
仕事を早退して家に戻った
母は既に準備をして待っていた
保険証と診察券を確認して家を出た
病院に行く前に郵便局に立ち寄った
母の郵便物をこちらに転送してもらうためだ
本当は住民票も移した方がいいんだろうと思う
でないとここでの行政サービスが受けられない
でも母の逃げ道を奪うようで忍びなかった
時間の10分前に病院に着いた
しかし呼ばれたのは時間の40分過ぎだった
『これは新潟ではまず切るところはないですね』
総合病院のT医師に言われた
これは切らなくてもいいから切らないのか?
切ることが出来ないから切らないのか?
ずっとモヤモヤとしていたので単刀直入に訊いた
どうやら後者に近いようだ
切れないということは言わなかった
母の腫瘍は髄膜腫と推定され頭蓋底部が病巣だ
頭蓋底腫瘍は脳腫瘍の中でも厄介なものらしい
それも小さなものではなく広がっている
頭蓋底は様々な神経が集まっているところ
そこに手を入れることはリスクが高いらしい
症状が軽ければ触らぬ神に祟りなしということだ
『東京の大学病院なら切るところもあるだろう』
脳神経クリニックのS先生は言った
脳幹の圧迫が痺れの要因ではあるかもしれない
でも耳乗りとの因果関係は考えにくいらしい
強迫性障害についてはよく判らない
リスクと年齢を考えれば経過観察だ妥当だと言う
私としては切れるものなら切ってほしい
でも別の障害の可能性を言われると声が続かない
会計までの待ち時間に頭蓋底腫瘍を検索した
東京の大学病院は手術第一主義のところが多い
スーパーDr.のような情報も散見していた
でもこんな大先生に診てもらう事は無理だろう
大人しく耳鼻科と精神科でいいのだろうか?
しかし今は素直にそれに従うしか術がない
手術なり他の治療なりがあれば希望が持てる
経過観察 … 聞こえはいいが要するに放置だ
人は先のが見えれば頑張ることが出来る
しかし今は目の前は霧に包まれている
私は自他共に認める心配性だ
このまま頑張っていけるのだろうか?
大門未知子はテレビの中にしかいない
ドクターXは罪作りなドラマだ
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