『影と陰』
漢字作品シリーズの続きです。
「影」と「陰」の違い
「影」と「陰」、どちらも訓読みでは「かげ」と読みますが、その意味合いはちょっと違っているんですよね。
「影」という字は、光という意味を表す「景」と、彩りや飾りを表す「彡(さんづくり)」で構成されていて、「光によってできる模様や映し出される像(カタチ・シルエット・スガタ)」という意味を持つのに対して、
「陰」はモノにさえぎられて光が当たらない暗い部分、目立たない部分を指します。
今回は「影」という字が降りてきました!!(笑)
映し出される
私達は、日々、夥しい数の写真や映像、液晶パネル上に映し出されたものを見ていて、
また、目をつむって寝ている時でさえ、どこに映し出されたのか分からない奇想天外な「夢」という映像を見ます。
もっと言えば、実際、今見ている現実さえ、目、網膜いう感覚器官からの情報を視神経を通して脳内スクリーンに映し出した像を見ている、とも言えますよね。
ひょっとしたら、現実と思い込んでいる今も、何かに映し出された幻想かもしれない……
映画『マトリックス』や、老子のいうところの『胡蝶の夢』のように。
そんなことを思いながら創ったのが次の作品です。
『be projected(映し出される)』
2022年
洋紙・パステル
39.0cm×51.5cm(本紙) 44.5cm×56.5cm(額サイズ)
ここには影という漢字を書いている。 「影」とい文字は、光という意味を表す「景」と、彩りや飾りを表す「彡(さんづくり)」 で構成されており、「光によってできる模様や映し出される像
という意味を持つ。
日常生活を送っていると、時折自分は「夢を見ているのか」と疑う場面がある。
現代の拡張現実(AR)や仮想現実(VR) などの急激に進歩するテクノロジーの前に、仮想と現実が交錯することが当たり前の世の中に我々は生きている。
この現実世界 も、何ものかによって仮想され「投影されたもの」なのでは?と訝しんだりもしてしまうのだ。
その中にあって、私は思い通りに影を作り、何かを照らすべきと思いながら「彡」の線を引いた。
自由意志
上の作品のステイトメントの最後に書いた文章にあるように、たとえこの世界が何者かによって計画され仮想された世界や、自身が見ている夢であろうと、せめてその中で都度都度、直感と意志で「選択」することと、それをしっかり自分の前に映し出す自由があると思いたいものです。
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