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経営コンサルが推薦するビジネス書10選

自らの視点・視野・視座を広げる・高めるためには、たくさんの書籍をインプットすることが必須だと思っている。自らの思考・行動・経験による気づきには限界があるので、他人(著者)の思考・行動・経験からの気づきが詰まった書籍を読むことは非常に有益である。ある意味、疑似体験をしているようなものだと私は捉えている。

経営コンサルタントとして様々な書籍に触れてきたけども(年間200冊くらい)、その中でも選りすぐりの書籍を今回は紹介していきたいと思う。ちなみに、私は学術的なもの、小説的なもの、SF的なものはあまり好まない。過去に何度もトライしたことはあるけども、どうしても眠くなってしまうので、実践的な書籍に偏っていることは最初に触れておく。これは良し悪しではなく、相性の問題だと思う。

①経営者になるためのノート

ファーストリテイリングの柳井さんの書籍。リーダーシップとは何か?、マネジメントとは何か?、経営者になるために何が必要か、などが実体験をもとに書かれている。特に自分が、経営コンサル会社でマネジャーからディレクターになるときにメチャクチャ刺激を与えてくれた一冊。今、自分が企業向けに提供しているマネジメント研修の内容も、この本で得た気づきを自ら実践し、”やっぱりそうだな”とか、”自分なりの表現はこうだな”というものを一部盛り込んでいる。また、本編はメモ書きができるようになっており、まさに”ノート”である。経営者を目指される方にはホント必見。

②経営戦略立案シナリオ

経営戦略に関連する書籍はたくさんあったけども、個人的には抽象的な議論や学術的な議論が多く、今一つピンときていなかった。そんな折に出会った一冊。経営戦略とは何か差別化の類型パターンとは何か、それを具体的な戦術に落とすにはどうしたらいいかなどを解説した良書。私が実行支援系のコンサルファームから、戦略系のコンサルファームに移った時にかじりついて何度も読み返した一冊。それ以来、佐藤義典さんの本は全て読んでおり、どれも分かりやすい。この本以外にも【マーケティング脳”を鍛える バカ売れトレーニング】には随分助けられた。週2回配信のメルマガも購読しているくらい大好きな著者である。

③変な人が書いた驚くほどツイてる話

毎年長者番付にのる斎藤一人さんの書籍。コンサルとして初めてのプロジェクトで、右も左も分からず、価値づけする方法も分からなかった頃、上司に薦められて読んだ1冊。シンプルに”ツイている”と毎日呟くピンチの時にも敢えてそう呟くということが書かれていた。非科学的であり、コンサル的ではないかもしれないけども、私はとにかくこれを実践した。そうしたら、自分が呟くことで、周りの人がそう呟くようになり、その結果、ツキを呼ぶことが本当にできた。その当時、担当した事業所はずっと赤字だったけども、初めて黒字になるのを目の当たりにした。もちろん、具体的な施策・行動があったからだけども、ツキを呼び込んだ感覚は今でも覚えている。それ以来、”ツイている”と呟くことを長年継続している。

④イシューからはじめよ

安宅和人さんの処女作。そもそもイシューとは何か、会社や組織が設定しているイシューは正しいのかイシューをどう分解し、どう効率的に解を導き出していくのかなどが具体的に分かりやすく描かれている。”理論と実践の両輪を回すことができる方が書くとこういう本になるんだ”と感じたものである。最近出版された【シン・ニホン】も、安宅さんなりのイシューが設定され、たくさんの事実をもとにそれを解き明かしているので、セットで読むとより理解が進むだろうと思う。多分、「〇〇ドリブン」の走りとなった一冊。

⑤半径3mの「行動観察」から大ヒットを生む方法

高橋広嗣さんの書籍。インタビューやデータやアンケートだけではなく、行動観察から大ヒットを生み出す手法や事例が書かれている。仕事柄、従業員の行動観察はよくやってたけど、ちょっと視点を変えて、消費者の行動を観察することで、新しいインサイト(=真相心理)の発見に繋がり、新しい商品・サービスを生み出すことに繋がることを気づかせてくれた1冊。いわゆるエスノグラフィーの手法である。”あの商品も、この商品もそうなんだー”と驚いたのを覚えている。机上の空論になりがちな時には、商品/サービスが使われている【現場】や社員が行動している【現場】に出向くことはやっぱり大事。

⑥革命のファンファーレ 現代のお金と広告

2年前に西野亮廣さんの活躍をあまり知らずに読んで、衝撃を受けた一冊。正直、お笑い芸人としか思っておらず、”最近TVに出ないな”ぐらいにしか思っていなかったけど、読んでみたら完全に魅了されてしまった。そこには、経営コンサルとして私が知っているビジネスの世界とは全く違うビジネスの世界が語られていた。とにかく、消費者心理を洞察する力、時代の流れを先読みする力、何でも行動し実験する力、当たり前を疑う力、批判されても本質を見抜く力、メチャクチャ努力をする力などの西野さんのビジネスセンスに驚いた。その後、オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」にも入会したし、他にも幾つかオンラインサロンに入り、観察をし、エッセンスを抽出した。そのエッセンスを参考に立ち上げたオンラインサロン「右腕倶楽部」のきっかけとなったのがこの本。

⑦USJを劇的に変えた、たった1つの考え方

P&Gのヘルスケアのマーケターから、USJに転職され、見事に復活・成長させた森岡さんの書籍。マーケティング思考とは何か、マーケターの役割とは何か、マーケティングの基本とは何かなどが書かれている。つまり、「商品やサービスが自然に売れるようにするための技術」が解説されている。この書籍だけでなく、【USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?】も合わせて読むとより理解が深まると思う。

⑧∞アイデアのつくり方

バンダイの高橋さんの書籍。数あるアイデア発想法の中でも、個人的には一番アイデアを出すことができる方法が書かれた本。「しりとり」と「組み合わせ法」を合体させた手法は秀逸である。アイデアを量産することが、良いアイデアを発想する近道であることに気づかされた一冊。アイデアを出すことが得意ではなかった自分が、自信をつけることができた。感謝、感謝である。先日、ツイッターで絡みに行ったら、フォローして頂き、感激した(こういうことができるのもツイッターの良さ)。

⑨チームのことだけ、考えた。

サイボウズの青野さんの一冊。高い離職率に直面した際に様々な思考と試行を繰り返した青野さんの奮闘記。「100人いれば100通りの人事制度」という究極の絵姿を描こうとされている取組みに感銘を受けた。世間が「働き方改革」に着手しようとしている頃に、もっと先の「働きがい改革」を挑まれた歩みから学ぶべきことは多い。この一冊に出会わなければ、チームメンバーのことを今より考えることはなかったのではないかと思う。

⑩大前研一敗戦記

20代前半の頃に大前研一さんの「サラリーマンサバイバル」を読んで以来、ほぼ全部の書籍に目を通している(最近は読んでないが)。国家戦略、ビジネス戦略、個人としての生き方戦略など、メチャクチャ多くの刺激をもらった。その中でもかなり毛色が違う一冊。恐らくビジネスの世界では負けなしでこられた大前さんが、都知事選に出馬し、負けた後に”終わったな”と世間から思われていただろう時に書かれた本。リアルタイムで読んだ訳ではないが、連戦連勝でこられた大前さんが、負けるプロセスや仲間に言われて傷ついたことなどが赤裸々に綴られている。大前さんが敗戦をどう振返り、どうゼロリセットし、どう再起動しようとしていたのかは非常に参考になった。大小はあれど負けは誰にでもある。また、他候補者よりも、明らかに東京都のビジョンを明確に掲げ、誰よりも具体策を掲げていても、都民を動かし、ムーブメントにできなかったことから学ぶべきことは多い。人を動かすのは戦略的な正しさや具体性だけではないということに気づかされた。正直、この本は泣けます。この頃、大前さんが都知事をやっていたら、全く異なる景色が見えていたのではないかと思う。

総括

紹介できていない書籍も多々あるけども、今の自分が敢えて10冊に絞るとした場合の推薦図書である。ビジネス戦略を描く立場の方、組織を動かす立場の方、会社に依存しないスキルを見つけたい方にはいい刺激となる書籍ばかりだと思う。ただし、読むだけでは勿体なく、そこから自分が何を学んだのか、どう解釈したのか、どう活かしていくのかをノートやevernoteに書き留めたり、パワポで整理したり、ツイッター等で呟いたり、何かしら残る形でアウトプットした方がより「自分のモノ化」ができると思う。

最後に、私が若手に薦めている書籍リストも合わせて共有しておく。どれも刺激的な本達ばかりである。

書籍リスト


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