踏み台昇降は健康にいいけど無意味だぞという話
ちょっと前に、Xで踏み台昇降がややバズっていました。
ネット上では定期的に踏み台昇降の価値が見直されているイメージなのですが、踏み台昇降について書いてみようと思います。
踏み台昇降はダイエットに有効だという話
「アニメダイエット」との出会い
私が初めて、健康維持のために踏み台昇降が有効だということを意識したのは、20年以上前の「アニメダイエットに関する覚え書き」という記事です。(あまりにも記事が古すぎて、noteのリンク先サムネイル表示がくずれてしまっています…。)
「アニメダイエット」という強烈なタイトルですが、
を言います。これがなぜいいかというと、
とのことで、まとめると
「アニメを見る」という報酬を「ダイエット」という課題とリンクさせることで、ダイエットへのモチベーションを保つことができる
アニメは1話25分なので、軽くやりたいときは1話分、じっくりやりたいときは2話分続ければ、時間的にちょうどいい
というなかなか巧妙な仕組みです。アニメに興味ない方は、TVドラマでもバラエティ番組でも、同じくらいの区切りの番組なら何でもいいと思います。
私が「アニメダイエット」に出会ったときはまだ20代で、健康にはほとんど不安がなかったために感心しながらもスルーしていました。しかし、40代になって
血糖値がやや高めだと判明した
山登りが趣味になったのだが、脚力不足を自覚していた
だからといって、仕事から帰宅後、着替えてランニングするのはハードルが高い
ことから、自宅で気軽にできる運動が何かないか考えていたところ、20年前のアニメダイエットの話を思い出したという次第です。
踏み台昇降(「アニメダイエット」)やってみて気づいたこと
実際やってみると、「アニメダイエットに関する覚え書き」に書かれていたこと以外にもいろいろとメリットがありました。
アニメを集中して見ることができる
集中力のない人あるあるだと思うのですが、アニメ見ながら他の作業(インターネット等)をやってしまったために、重要なシーンを見逃すということがよくありました。踏み台昇降をすると体は拘束されるために、ネットサーフィンなどの作業は同時にできなくなります。しかし、アニメ鑑賞に使う視聴覚はフリーなので、体の使用する機能がちょうど補完的で相性がいいのです。負荷調整が簡単
ある程度続けると足が鍛えられて、最初はしんどく感じた踏み台昇降が物足りなくなってきます。その場合も踏み台の高さをあげる、リュックサック等で重い荷物を背負う、アンクルウェイトを装着する等の方法で、手軽に負荷調整ができます。脚力がつく
これは当たり前ですが、2か月も続けると足の筋力が段違いに強くなります。階段の登りだけでなく、街を歩き回るのも苦痛でなくなります。
あと、もともと私はダイエットを目的にしていなかったのですが、10kgほどやせました(これは食事を変えたことの影響もあるので、純粋に踏み台昇降でどの程度効果があったのかはわからないのですが)。全身の有酸素運動なので、ダイエットに効果があるのも当然です。
デメリットは
集合住宅に住んでいる場合は、階下への影響に注意が必要なこと
膝への負担がやや大きいこと
くらいでしょうか。
踏み台昇降による体力テストは無意味
平成以降生まれの人は、踏み台昇降を知らない?
そもそも、「アニメダイエット」の記事を見る以前は、私は踏み台昇降を体力測定の手段だと考えていました。
昭和61年の漫画「陸軍中野予備校」では、踏み台昇降で勝負する場面があります。
私が小学生だったころ、体力テストでこのような踏み台昇降をやった記憶があります。漫画の中に「カッカッカッチーン」と書かれているのですが、これも体力テストでつかわれたカセットテープの音源そのままです。これに、「イチ、ニ、サン、シ」という女性の掛け声や、「ピッ、ピッ」という笛の音が重なり、テンポを守った踏み台昇降を促す仕組みでした。安静時の心拍数と踏み台昇降後の心拍数を比較して、その差が小さければ小さいほど心肺能力が高いと判断されたのです。
しかしながら、ネットで見つけた「新体力テスト」の記事によると、
とのことで、平成11年度からは20mシャトルランに置き換わったそうです。
踏み台昇降による心肺能力測定の妥当性について
いろいろ探してみると、1987年の「踏台昇降運動テストの妥当性の検討」という報告にて
と書かれており、古くから踏み台昇降による体力テストの有効性に疑問が持たれていたようです(この報告の著者も「踏み台昇降運動の妥当性は認められない。」という結論に達しています)。上記報告の
という主張に対しては、それを言うなら持久走も垂直飛びも体重が重いと不利なのは同じだし、反復横跳びは足が長いほうが有利なのだから、体力テストから体格による有利不利を完全に除くことは不可能だという反論がありそうですが、ほかにも「踏み台昇降運動テストスコアと昇降運動後の心拍数減衰速度との相関」という報告でも
と書かれており、踏み台昇降で体力テストすることに意味がないというのが定説になったのは間違いないようです。
放棄された「踏み台昇降による体力測定装置」の特許
鉄道に関する技術を研究する公的機関である「鉄道総研」は、なぜかかつて踏み台昇降に関する特許を取得していました(特許4011251号)。
「パテントシリーズ 持久性体力測定装置」から紹介文がダウンロードできます。平たく言うと、測定時間を従来より短縮したことと、腕時計型の脈拍測定装置を用いることが新しい点です。しかし、これが鉄道と何の関係があるかも謎ですし、なぜ体力テスト項目から踏み台昇降が外れたあとの2007年になっても特許取得したのかも謎です。
J-PlatPatという日本特許の検索サービスを用いて調べると
2007/09/05 登録料納付
2010/09/14 年金不納による抹消
ということで、わずか3年で年金支払い停止により放棄されてしまいました。いったい何を意図していたのかはよくわかりませんが…。
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