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アイディアは思いつくのではなくて 理詰めで探し出すもの

〈思いつかない企画者〉として、かれこれ20年以上、「企画」の仕事をやってきた私の「アイディアを出す」方法です。汎用性があるのかどうかは、分かりません。

①このネタでアイディアを●個出す、と決める。ぱっと思いつきそうな数の3倍くらい。

②条件を確認。対象とする人の年齢・性別・シチュエーション・場所や予算の制限。でも最初に確認だけしたら、アイディアを出す時には忘れてもいい。

③大事なのは目的。このアイディアによって、何を達成しようとしているのかを理解する。

④ネタは書きだす。ポストイットじゃなくてもいい。紙に箇条書きでもいいし、ワードでもエクセルでも構わない。ちょっとしたイラストとか模式図を描いた方が分かりやすい場合は、手書きの方がまどろっこしくない。ツールが自分の思いつくスピードについて来てくれることが大事。それを満たすなら、何でもいい。

⑤思いつかなくなってからが勝負。困ったら目的に立ち返る。無意識のうちに「これは無理」「やったことがない」「手間がかかりすぎる」「きっと
予算が合わない」などと、排除していたものも採用しないと、目標の数に届かなくなる。採用する。

⑥この段階で、「こういうこと出来そうな気がするんだけど、ほんとにできるのかなー?」と思ったら、ネットでいいので調べてみる。(アイディアが、ぽんぽん湧いている時は、調べなくていい。勢いをそいでしまうから。)
実現できないかもしれないけれど、周辺情報に詳しくなる。周辺情報に詳しくなれば、そこから新しいアイディアが浮かぶ。(例えば、ナスやキュウリなど実を食べる野菜の葉っぱを使った料理ができないかなー、と思って調べてみる。葉っぱは難しそうだけれど、花を食べられる野菜があると知る。花を使った料理のアイディアを思いつく。野菜の花を切り口して、新しいことを思いつく。みたいな感じ。)

⑦それでも思いつかなければ図書館に行き、そのテーマに関連する子ども向けの図鑑やウンチク本などを読む。本は、自分にはない切り口でまとめてくれているので、自分だけでは思いつかなかった事柄と結び付けてくれることもある。(雪について調べているうちに、水や氷を使った科学手品に詳しくなったり。)

⑧そんなこんなで、何が何でも目標数だけのアイディアを出す。
一般的には、アイディアの数を出すことで、脳を働かせて、思いもよらない発発想が浮かぶことが大事だと言われているけれど、私は自分のアイディア脳をそんなに信用していないので、外部の知識を借りてきてもいいと思っている。目標数のアイディアを出すために、気が付いたら周辺のことまで調べて周辺知識に詳しくなっている。対象のことをよく知っていれば、それだけ発想も浮かぶ。

⑨アイディアを出したらしばらく寝かす。

⑩寝かしから、改めて見て、良さそうなものを選ぶ。複数のアイディアを組み合わせてもいい。というか、当然、組み合わせたくなるし、そこから良いものが生まれる。そして、必ず実験してみる。じゃないと分からない。

そんなこんなで、「これを考えました」と言えるアイディアになる。なんだかんだ、しんどいけれど、楽しい。人によって楽しいポイントは違うと思うけれど、私は、自分が対象のことにどんどん詳しくなっていって、詳しくなればその分だけアイディアも浮かぶ、という、過程がとても好き。

アイディアをぽんぽん思いつける「企画の天才」は確かにいる。でも残念ながら私は天才ではないので、革新的で魅力的なことが、ぱっと思いつくわけではない。仕方ない。考える。「絞り出す」というのも、ちょっと違う。いくら絞ったって、カラカラの雑巾から水は出ない。自分が運欲く思いつくことに望みをかけるのではなく、理詰めで探し出すものだと思う。

アイディアを理詰めで探す方法には再現性がある。器用ではないし、この方法では120点のアイディアは浮かばないかもしれない。けれど、どんなジャンルでも、安定して80点の企画案を出すためには、こんな風に理詰めで探し出す方法には、それなりに意味があると自負している。

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