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時間がなんとかしてくれる

最近、煮卵を作るのが上手になった。
黄身が流れ出す寸前くらいのトロトロで、白身にもしっかり味が染みている。我ながらおいしい。

上手になった、と言っても、何か作り方を大きく変えた訳ではない。
ただ、時間をかけるようになった。最低でも2日は冷蔵庫に入れておく。それだけのことだけれど、味がよくしみて、おいしい。

今までは、半日くらいで食べようとして全然味がしみていなかったり、短い時間で食べようと、漬け汁の味を濃くしすぎてしょっぱくなってしまったりしていた。加熱したら早く味がしみるかも、って思って、漬け汁に卵を入れて、もう1回火にかけたりしたら、せっかくの半熟卵が固ゆで卵になってしまった。
余計なこと、何もしない方がよかったんだ、と気づく。
ただ、ただ、何もしないで待つことが必要だった。

そういうことって、他にも沢山ある。
あれこれと、何かするのではなく、ただ時間を置く。待つ。焦らない。

子どもの育ちに関わることって、特にこの「待つ」が必要な場面が多い。
例えば、環境の変化への適応。新しいことを始めてみる?って聞いた時の決断までの時間。心の動きがともなうものって、子ども1人1人ペースが違う。そして、多くの場合、大人よりも、時間がかかる。子どもの心に、しみこむまで、ゆっくりゆっくり待つしかない。

待ちきれなくなって「ねぇ、どうするの?」とか「早く決めてよ」って急かすと、あと少しで決断できそうだった気持ちがぷしゅーっとしぼんでしまって、結局、いい結果にならないことも多い。余計なことしない方がいい。

「待つ」って何もしていないようで、何よりも忍耐力が試される。そして、ただただ「待つ」間、子どもの近くに寄り添っていたり、言葉には出さないけれど自分の中であれこれ考えたり、子どもは何を考えているんだろうかと慮ったりする、その時間が、きっと、大人たちの心も変えるんだと思う。ちょっとだけ、子どもの心の動き方に共感できるようになるんじゃないかな。
何もしていないようで、実は、大きく変化しているんだと思う。

時間がなんとかしてくれることって、沢山ある。そういう時は、焦って余計な振る舞いをしないことが、大事。できることは、待つこと。
だからさ、きっとうまくいくさ、と信じて、待とう。


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