手作りおもちゃが びりびりになった
仕事として「あそびの専門家」を名乗るよりも、もっとずっと前。
仕事というよりも趣味のような気持ちで、後輩と一緒に「絵本と手遊びの会」を開催していました。
毎回のテーマを決め、テーマに合わせた絵本を持ち寄り、手遊びやパネルシアターなどを織り交ぜて30分くらいの構成です。
ある時、「いないいないばぁ」の絵本のあそびができる、簡単な、おもちゃみたいなものを作っていきました。「いないいない」と「ばぁ」の絵を描いた紙を、棒の両側に貼り、おもて/うらを交互に見せて「いないいないばぁ」あそびができるものです。
一通り遊んだあと、子どものうちの1人が、いないいないばぁのおもちゃが、びりびり破けることに気づきました。楽しかったんでしょうね。ビリビリと破くことに熱中しはじめました。
そのうち、他の子たちも、「おや?なんだか楽しそうなことをしているぞ」という感じで、ずりずりと這いながら集まってきた。そして、あれよあれよという間に、みんなでびりびりに破いて、作っていったものは、全部、すっかり紙屑の山となりました。
私は何とも思っていなかったのですが、その場に参加していたお母さんに、後から「ハッとする時間でした」とお話頂きました。
「最初は、あぁ破いちゃだめ、って思ったんです。でも、みえさんが、平気で見ていたから、あぁいいのかな、って思って。それで、子どもを見てみたら、どの子も、とても楽しそうで、本来の使い方じゃないかもしれないけれど、あぁ、びりびり破くことを本当に楽しんでいるんだな、って分かったんです。」
そうなんですよね。子どもたちにとっては、時にびりびり破くことが、楽しいあそびになることもあります。(積み木を壊したりすることも好きなお子さん多いですよね。)悪いことをしているとか、そんなつもりではなく、純粋に楽しいんだと思うんです。だって、見た目も形もどんどん変化していくんですもの。
子どものための手作りおもちゃを作る機会は多々あると思います。ただ、子どもたちのあそび方は、本当に自由です。0歳や1歳だったら、クチで確かめて、そのままずーっと噛んでいることが楽しい場合もあります。好きすぎて興奮して、扱いが手荒になることもあります。
時間をかけて、こだわってこだわって作ったおもちゃが、壊れたり、使えなくなったりしたら、当然がっかりしますよね。だから、0~1歳くらいの、ごくごく小さい年齢のお子さん向けのおもちゃは、「壊れても苦にならない程度の労力でできるもの」がいいよね、とお伝えしています。
例えば、空き箱に子どもがクチにいれてもあぶなくないサイズのものを入れて、箱が空かないようにテープなどでとめておけば、振ると音がでます。
いくつも作って、箱を並べたり重ねたりしても遊べます。
それから、新しい靴下に、ちょっと目をくっつければ、口がパクパクするお人形になります。
それくらいの「作るのも大変じゃないし、壊れてもまぁいいか、って思える」くらいの手作りが、ハードルが低くてちょうどいいんですよね。
手作りおもちゃのいいところは、身近なものを使って楽しめること。子どが楽しんでくれたら余計に嬉しいこと。そして、我が子がどんなあそびが好きかな、どうしたら喜ぶかな、と、あれこれ思いめぐらす時間を楽しめることです。作るだけで充分にすてきなこと。
だから、「壊れたらもったいないから、子どもには使ってもらいたくない」というおもちゃではなく、「作ったとも言えないくらい、家にあるものそのままだけれど、子どもが楽しそうだからおっけー!」」って思えるくらいの手作り感がいですね。
長く続けるためには、無理のないことって、大事だと思うんです。子どもとのあそびは、まだまだ続きます。無理なく親子の良い時間を過ごせる方法の1つとして、「壊れても苦にならないくらいの手作りおもちゃ」も、取り入れてみると楽しいかもしれませんね。