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子どものあそび環境が整いすぎているから あえて 秩序のない場を作っている

紙をびりびり びりびりと ちぎる遊び。私が「くしゃくしゃとびりびり」と呼んでいる、年齢を問わずに遊べて、自由度が高くて、ひとりひとりが違った楽しみ方を見つけやすい遊び。
その遊びを、親子で楽しんでみよう、という会を実施した。

主催は、市の教育委員会の生涯学習課。家庭教育講座、という取扱いの1コマ。市内の親子から参加者を募って、開催された。

前半は、親子あそび。後半は、大人たちは「あそび」についての講座。私がいつもお話ししている「あそびの魅力」と「豊かなあそびのために大人ができること」のお話。大人たちが講座を受けている間、子どもたちは、同じお部屋で、遊び続ける。

最初の親子あそびの時に、大人の方たちにお伝えしたことがある。
1つ目は、大人も、保護者という立場として見ているだけではなく、自分自身が目一杯楽しんでもらいたい、ってこと。

2つ目は、何をしてもいい、ってこと。安全に関わる時だけは、「そんな風にすると、ちょっとあぶないよ」って声をかけることがあるかもしれないけれど、基本的には何をしてもいい。材料も勝手に使っていい。「ちゃんと使っていいですか、って聞きなさい」って言わなくていい。好きなだけ使っていい。「1人で何枚も使っちゃだめよ」とか言わなくていい。「その使い方は違うんじゃない?」とも言わなくていい。遊びに間違いも正解もない。使いたいように使えばいい。

そう言って、少し子どもたちの緊張をほぐすようなやりとりをしてから、紙を1枚ずつ配る。「この紙、どうやって遊べばいいかな?」って声をかける。

子どもたち同士もほとんどが初対面なので、少し回りに遠慮している。どうしようかな、と、様子を見るような感じになる。そういう時は、こちらから、あれやこれやと、仕掛けていく。まるめてボールにして、キャッチボールしたり。ビリビリに細かくちぎって紙吹雪にして降らせたり。

そうやって、少しずつ子どもの緊張がとけていき、この「紙」を使ってどうやって遊べばいいものかが分かってくる。だんだん楽しくなり、紙を増やしたり、セロテープを使ったり、違う色の紙を出してきたりして、調子が出てくる。
そうすると、だんだん、私の役割がなくなる。あとは、子どもたちに任せておけばいい。

後半の講義の時に大人の方たちにお伝えしたのは「子どもたちには、本来、
ルールのない遊び場が必要」だということ。かつてそれは、学校の裏山であり、空き地だった。〈大人の作った秩序〉というもののない場所で、子どもたちは、自分たちでルールを作ったり、何をするか考えたりして、遊んだ。

でも、今の子どもをとりまく環境において、そんな風に〈ルールのない遊び場〉って、なかなか見つけられない。防犯や安全上の問題もあり、公園で遊ぶ時だって、ある程度の年齢までは親が付き添っている。

だから、今の子どもたちに対しては、あえて、わざわざ「ぐちゃぐちゃな場所」を作ることって大切だと思うんだよね。
使っていいものは何か、どうやったら楽しいのか、何をしてはいけないのか・・・そんなことは、決めない。何も決まっていない場。だからこそ楽しい。

子どもたちのあそびの環境は整備され、安全、安心になった。だからこそ、あえて、整備されていない場所を作ることは、今だからこそ必要だと、考ええている。

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